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一般相対論的宇宙論セミナーご紹介

公開日

2021年5月2日

更新日

2021年5月2日

※本記事はロマ数トレラン「一般相対論的宇宙論入門セミナー(Ⅰ)」の講師である酒井義彦先生によるセミナーの紹介記事になります。ご興味を持った方は是非ゼミにご参加ください。ガイダンス回は無料となっております。

ロマ数トレラン「一般相対論的宇宙論入門セミナー(Ⅰ)」の詳細、お申し込みはこちらのページよりお願いいたします。⇒https://peatix.com/event/1906756/view

はじめに

1920年代から30年代にかけてハッブルにより行なわれた銀河の分布や運動の観測と、それによってもたらされた宇宙膨張の発見は、一般相対論と直ちに結びつき、宇宙の相対論的力学モデルを生み出しました。

また、1940年代にガモフらにより行なわれた熱い宇宙モデルの研究が、1965年の3K宇宙背景放射の発見により一躍注目を浴び、1960年代後半から70年代にかけて、熱いビッグバンモデルとよばれる宇宙進化の標準モデルが作られました。
1980年代に入ると、素粒子の統一理論の登場により、物質の起源や宇宙の一様等方性の起源が宇宙論の対象として研究されるようになりました。特に、インフレーションモデルと呼ばれる新たな宇宙モデルの登場は、宇宙のすべての現象を基礎法則から再構成できるのではないかという希望をもたらしてくれました。

一体、宇宙はどのようにして出来て、これからどのように進化していくのでしょう?これらの内容を学んでいくことにより、現在の宇宙を浮き彫りにして、一緒に謎を解明していきましょう。宇宙はロマンだ!!

膨張宇宙モデルとは

アインシュタインの宇宙方程式(重力場の方程式)をフリードマンが宇宙項のない方程式を解き、膨張している解を導き出しました。その後、ルメートルが宇宙項のある方程式を解き、これも膨張している宇宙を見いだしました。その後、まもなくハッブルが実際に宇宙が膨張していることを発見しました。

この先、宇宙はどのようになっていくのでしょう?このまま膨張し続けるのでしょうか?それとも縮んでしまうのでしょうか?皆さん知りたくありませんか?
好奇心がつきることがありません。

NASA提供

一般相対性理論

アルバート・アインシュタインが考えた一般相対性理論を使って宇宙論の話を進めます。一般相対性理論とは、加速度系を含めたいかなる座標系においても,物理法則は同形でなければならないという一般相対性原理と,一様な加速度をもつ座標系と、一様な重力場とは同等であるという等価原理の2つを柱として作られた理論で、重力場の理論とも言われています。この理論から導かれた重力場の方程式は難解な数式ですが、工夫することで解くことでき、ブラックホールの存在が予言されたり、膨張宇宙が議論出来ます。本セミナーで、宇宙を解明するための不可欠なこの理論を使いこなしましょう。

重力場の方程式
\[
R_{\mu\nu}-\frac{1}{2}g_{\mu\nu}R+\Lambda g_{\nu\mu}=\frac{8\pi G}{c^4}T_{\mu\nu}
\]

粒子・反粒子の対生成・対消滅

我々の体を含め、すべての物質は(今のところ)究極にはクォーク、レプトン(電子)から出来ています。そしてこれらの素粒子には必ず反粒子が存在します。例えば、クォークの反粒子は反クォーク、電子の反粒子は陽電子と呼ばれています。光子、グルーオン、Zボソン(ウィークボソンの一種)、ヒッグス粒子のように、たまたまその反粒子と自分自身が同じ素粒子もあります。宇宙の温度が高くて、これ以上のエネルギーを持った光子が沢山いれば、トップと反トップ・クォークによる対消滅が、また光子同士の対生成が頻繁に起こっていて釣り合っています。

この温度(エネルギー換算で175GeV)より低くなると、トップと反トップ・クォークを対生成できるだけのエネルギーを持った光子がいなくなって、上の対消滅だけが起こります。最後に約3億度まで冷えたところで電子と陽電子の対生成が起こらなくなります。
もし対消滅が終わる前に粒子と反粒子の数が全く同じだったとすると、どうなるでしょう?
すべて対消滅して光子になってしまい、星や銀河、私たちの体も出来なかったことになります。ところが私たちは存在しています。

つまり私たち自身が対消滅が完全に起こらなかったことの証拠なのです。素粒子論が初期宇宙の解明に繋がっていくのです。難解な数学を使いますが、本セミナーでは、宇宙論を全部で30回に分けて行ないます。ゆっくり時間をかけることで、マスターしていきましょう。

インフレーションモデル

インフレーション理論では、宇宙は誕生直後の\(10^{-36}\)秒後から\(10^{-34}\)秒後までの間にエネルギーの高い真空(偽の真空)から低い真空(真の真空)に相転移し、この過程で負の圧力を持つ偽の真空のエネルギー密度によって引き起こされた指数関数的な膨張(インフレーション)の時期を経たとされています。現在の理論で過去の宇宙をひもとくことが出来そうです。もっともっと宇宙を知りたいですね。どこまで解明できるか分かりませんが、宇宙初期がどのようになっているか知るだけでもロマンがありますね。私たちで宇宙を学んでいきましょう。

<文/酒井義彦>

ロマ数トレラン「一般相対論的宇宙論入門セミナー(Ⅰ)」の詳細、お申し込みはこちらのページよりお願いいたします。⇒https://peatix.com/event/1906756/view

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