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文字を使った式 (歴史編) – 中学数学初級編 –

公開日

2020年8月23日

更新日

2020年8月23日

こんにちは。和からの西原です。
講師として、算数や中学数学の学び直しを担当しています。

前回は「文字を使った式」について、そのルールを確認していきました。今回は、「なぜxを未知数(わからない数)に使うことになったのか」を歴史と共に触れていきたいと思います。

文字を使った式 (ルール編) – 中学数学初級編 –

なぜ未知数(わからない数)にxを使い始めたのか。

これから中学数学を学んでいくうえで、「x、y、z」や「a、b、c」など文字を使って式を立てることが増えていき、教科書やテキストの中でも当たり前のように文字は表記されていきます。
これらの文字をどのように使うことになったのか。歴史と少しだけ関連づけたいと思います。

xはなぜ未知数に?

わたしたちは、「未知」の意味を持つものによく「x」をつけています。
「Xデー」や「Mr. X」の他にも、海外ではテレビやコミックに「X-MEN」、「X File」、「X Factor」など沢山あります。
では、この「x」は誰が最初に始め、なぜ「x」なのでしょう?
とても言いづらいのですが、「いつ?」、「誰が?」、「どのような理由で?」xを使い始めたのかは不明です。諸説ありますが、2つほど紹介します。

(1)アラビアンルート(勝手に名付けたものです)
11~12世紀に、アラビアからヨーロッパのスペインに数学に関わる多くの文献が伝わります。
この翻訳を担当したスペインの学者達は、あるアラビア語の翻訳に苦労します。
それが、まさか起源になるとは…

下の2つの単語が鍵です。 ※アラビア語はアルファベット表記します。

アラビア語:“shayun”は、日本語で”ある不特定で未知なるもの”を意味します。
この”shayun”に”al” 「その」の意味を加えると限定表現することができ、アラビア語:”al-shayu”は、 “その未知のもの”となります。
冒頭の「未知」を意味します。

【アラビア数字 アルファベット表記】

しかし、ここで問題が発生します。スペインには”sh(シ)”という発音がありません。
そこでスペインの学者達は、”sh(シ)”の代わりにギリシャ語の”ck[ク]の音を持つχ[カイ]という文字を借りることにしました。
後にヨーロッパの共通言語であるラテン語に翻訳する際にも、χ[カイ]をそのままラテン文字Xに置き換えました。

~アラビアンルートまとめ~
“その未知のもの”の意味を持つal-shayuの“sh(シ)”をスペイン人が発音できないため、代わり使ったck(ク)の音をもつχ[カイ]をそのまま使ったら、そのまま“その未知のもの = X”になった。

(2)印刷技術者の助言?
起源かどうかは不明になりますが、”x”を広めた人物として最も有名な人物として偉大な哲学者であり数学者であったルネ・デカルトは、なぜ”y”や”z”でなく”x”を最初の未知数として選んだのでしょう?
※ルネ・デカルトについての紹介は本記事では触れません。ご興味のある方はぜひ調べてみてください。

なんとなくですが、既知数(わかっている数)を何かの目的やメリットがあって、アルファベット順にa,b,cと表すのであれば、未知数(わからない数)はz,y,xのアルファベットを逆順にすればわかりやすい気がします。
15世紀に発明された活版印刷技術は、その後も世界中に広がっていきました。
デカルトは、さまざまな下書き原稿に未知数のみでなく既知数にもx,y,zを使用していました。使い分けも自由であまりルールは無かったようです。

そこで、本の印刷を担当していた技術者がデカルトに向かってこのように提案したそうです。
「xはyやzと比べると、活版印刷の植字であまり登場する機会がないから、良かったら未知数の1番最初に使ってみてはどうか。」

デカルトは下書き原稿でのx,y,zの使い方にもあるように、xであろうがyであろうが、あまりこだわりを持たずにいたのかもしれません。
真偽は不明ですが、意外とあっさりしていておもしろいなと感じました。

おわりに

今回は「文字を使った式」の中でも、多くの方が疑問に感じている「未知数はなぜxなのか?」についを歴史と関連づけて少しだけ紹介しました。
個人的な考えではありますが、「数学を勉強する」だけでなく、数学の「歴史」や「必要性」を少しでも紐づけると新たな関心を持つことができたり、ただ計算をするだけではないことが見えてくるかもしれません。
次回は、その「必要性」を「使い方編」と共に紹介したいと思います。

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