藤井聡太竜王の唯一の弱点がわかったかもしれません【千日手の勝率分析をしてみました】[youtube公開]
公開日
2022年6月29日
更新日
2022年6月29日
みなさんこんにちは、大人の数トレ教室の堀口です。
今回は、「藤井聡太竜王千日手に持ち込めば勝てる説」について話していきたいと思います。
この記事の主な内容
藤井聡太竜王の戦歴
今大活躍中の藤井聡太竜王は、2022年6月4日の棋聖戦第1局で負けてしまいました。
実は、これは驚くべきことなんです。というのも、藤井聡太竜王の特徴として、タイトル戦にとても強いことが知られています。
戦績としては、勝率は84.8%(2022年6月8日現在)となっており、つい最近まで本当に負けなしだったわけです。
ところが、藤井竜王は棋聖戦(タイトル戦)の第1局で負けてしまったわけです。
そこには負けてしまった原因があるわけなんですが、もちろん永瀬王座が非常に強いという要因はあります。
しかしそれ以外にも原因がありまして、なんと今回の対局ではタイトル戦で約20年ぶりの2回連続の「千日手」が起こってしまったんです。
千日手の特徴
まず初めに、千日手とは以下のようなものです。
この、指し直しの局では先手と後手が入れ替わるというルールが重要になってきます。
将棋には先手・後手がありますが、実は先手の方が勝率52%~53%と少しだけ高いんですね。
つまり、先ほども見たように千日手の後では先手と後手が入れ替わるので、基本的には後手の棋士に千日手に持ち込みたいモチベーションがあるわけです。
両者がどんな手を指しても不利になってしまう場面などで、ある意味で両者が協力することで千日手になるのだと思います。
なぜ千日手を選んだのか
しかしここで、ある疑問が出てきます。実は、棋聖戦第一局は永瀬王座が先手番だったんですね。
先ほどのことを踏まえれば永瀬王座はなるべく先手番のままで戦いたかったはずなんですが、いわゆる藤井竜王の千日手の誘いに乗る形で千日手を選んだということになります。しかもそれを2回も行なったということなんですね。
もちろん先ほども話したように、千日手は両者の思惑があって成り立つものではあるんですが、なぜ千日手を選んだのかが気になりますよね。
これらのことから、もしかすると今回の千日手というのは、長瀬王座の戦略として元からあったのではないかという仮説が立てられると思いました。
どういうことかというと、千日手になるとそれまでの対局が一回すべて無しになって完全に一からの勝負になるわけで、対局が長時間化して集中力が切れたりするので体力勝負的なことに持ち込めるわけです。
千日手の時の実際の戦績
ここで今までの藤井竜王の千日手があった時の戦績を見てみると以下のようになっています。
このデータを見てみると戦績は7戦4勝3敗で勝率が約57%となっていて、藤井竜王の普段の勝率である8割から考えるとかなり勝率が下がっていることがわかります。
このことから、もしかすると藤井竜王は千日手に対して弱いのではないかという仮説が見えてくるわけです。
さらに今回の永瀬王座との対局を含めれば4勝4敗となります。つまり、過去のデータを見てみれば、藤井竜王は千日手に持ち込むことで5割の確率で負けてしまうということがわかるわけです。
実は、千日手というのがほぼ弱点ない藤井竜王の唯一の弱点なのではないかということで、千日手が起こる確率はおそらく2~3%程度でそこまで多くはないのですが、今後藤井竜王と対局する棋士の方で自ら千日手を選ぶ方も増えるかもしれません。
藤井聡太竜王と千日手の関係についてYouTubeでも解説しているので、是非ご覧ください。
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<文/堀口智之>