日本はまだ年功序列なのか?-ビジネス情報収集入門②-
公開日
2022年2月14日
更新日
2022年2月14日
和からの綱島です。前回のビジネス情報収集入門①では、年収データを把握することを書きました。
※前回のビジネス情報入門①-年収データ把握編-はこちら↓↓↓
今回は、ビジネス情報収集入門シリーズ第2弾として、「民間給与実体統計調査」から「年功序列」について考えていきたいと思います。
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この記事の主な内容
1.年功序列とは
簡単に言うと「年齢」・「勤続年数」に応じて役職や給与が上がる人事制度です。
もちろん、個々の能力も関係はするものの若い優秀な人材がいても、一定の年齢と勤続年数にならないと大きく昇格や昇給しない、もしくはし難いことです。
私が昔在籍していた企業も、入社から5年経過しないと主任試験が受けれない・・・とか、主任にならないと大きく給与が上がらないとか、1年ごとに給与が少しずつ上がるとか、多くはそのような仕組みでした。この場合、入社10年目の先輩と、入社2年目の後輩が全く同じ仕事をしていた場合でも、10年目の先輩の方が給与は高いということになります。しかしながら、企業の業務への貢献度で言えば同じなため、本来は同じ給与でよいことになります。
ただ、近年は実力主義の企業が増えた・・・などの情報もちらほら見かけます。昔と比べるとかなり年功序列が改善されているような気がしますが、どうなっているのか見ていきましょう。
2.10年前と比較して考えると
ところで、近年では労働力の不足も言われ、働く人口が減っているニュースもよく見ます。
これも本当なのかデータで確認してみると、10年ほど前の平成22年は給与所得者数が4552万人だったものの、令和2年では5244万人で692万人も増えていることになります。
このように見ると、平成22年と令和2年では近年の方が労働者は増えています。ただ、令和元年と令和2年を比較すると少し減っています。これはコロナの影響で働く環境が減ったことも影響していると考えられ、労働力が不足しているかどうかはわかりません。意外とニュースなどで言われていることも、しっかりと情報を読み解かないと真実ではないこともあります。考察すると、今後10年においては高齢化の関係もあり労働力が不足していくことは考えられますが、現時点では職種によって不足人材が目立ってきましたが、全体としてはそこまで不足していないと言えるかもしれません。
(求める人材がいない点は別の問題)
3.年齢別データを確認する
民間給与実態統計調査には年齢別の平均給与のデータも掲載されているため、そちらを見て見ましょう。男性・女性・合計のそれぞれ年齢別の平均給与が出ています。そこから男女をそれぞれ分けてグラフにしてみました。
(引用元:e-Stat 政府統計の総合窓口 民間給与実態統計調査)
・年齢階層別の平均給与(男性)
・年齢階層別の平均給与(女性)
それぞれかなり異なる傾向のグラフになっています。さて、これをどのように読解するかが見る方によって分かれるスキルです。
男性は19才以下から徐々に平均給与が上がっていき、60才~64才以降下がります。
女性は25歳以上59才まであまり平均給与が変わらず60才以降で下がっていきます。
・男性給与所得者数3076万人(内非正規371万人)
・女性給与所得者数2167万人(内非正規831万人)
一般論でいえば、非正規雇用は大幅な給与アップが難しいため、女性の場合は38%ほどが非正規である影響が少なからずあることと思います。
男性は非正規が10%程度であるため、おおむねの傾向は捉えられている気がします。59才までは年齢とともに平均給与が上がっているといえるのではないでしょうか。
4.勤続年数の平均給与は?
民間給与実態統計調査には勤続年数別の平均給与のデータも掲載されているため、そちらを見て見ましょう。(とにかく給与データであればかなりの内容が記載されています。)男性・女性・合計のそれぞれ勤続年数別の平均給与が出ています。また男女をそれぞれ分けてグラフにしてみました。
(引用元:e-Stat 政府統計の総合窓口 民間給与実態統計調査)
・勤続年数別の平均給与(男性)
・勤続年数別の平均給与(女性)
今回、金額は異なるものの、グラフは男女ともに似た傾向になっているのがわかります。つまり、勤続年数は長くなれば給与も上がっていき、35年以上で大きく下がります。当たり前ですが、勤続年数が長いということは年齢も高いことを意味するため、やはり年功序列の傾向は未だにあると言えるのではないでしょうか。
5.まとめ
さて、今回は民間給与実態統計調査の中から年齢と勤続年数の平均給与を見てみました。そこから考慮すると、給与所得者は転職することがある点と、女性はここ10年で働く方も増えたことから年齢別給与平均では女性の傾向はあまり出ませんでした。ただ、勤続年数では男女ともに平均給与は高くなっている点から、年功序列が未だに残っているのが窺えます。徐々に成果報酬型に変えている企業もあることと思いますが、全体の平均に影響を与えるほどではないことがわかります。
とはいえ、グラフの読み解きや読解力はそれぞれ見る方によっても異なる点があり、本日のは私が考えた一例ですが、収集した情報を思考する「考える力」が重要です。このようなスキルを身に着けたい方は「統計的読解力」が近道なのでぜひお薦めです。弊社で「ゼロからはじめる統計学」をご受講いただくことで習得可能ですので良かったらご参加ください。
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<文/綱島佑介>