平均を表す記号μ(ミュー)とは?mean・averageとの違いも解説
公開日
2020年11月21日
更新日
2026年10月10日
「μ」をギリシャ文字で書く理由を「神聖な意味を込める慣習」などとしていましたが、母集団の値をギリシャ文字、標本から計算した値をアルファベットで書き分ける統計学の慣習によるものなので、その説明に改めました。高校で「データの分析」が必修になった時期も、2012年度の入学生からに訂正しました。
こんにちは。和からの数学講師の岡本です。今日は「平均値」についてお話をします。
「平均値」という言葉は普段からよく耳にすると思います。データの中心部分を把握するときに使われる、最もポピュラーな要約統計量(データの特徴を表す指標のこと)の1つです。
実際に自然科学の世界から社会・人文科学、ビジネスの世界まで幅広く使われています。この平均について、知っておいた方がいい事項をまとめてみました。
この記事の主な内容
1.平均\(\mu\)の「\(\mu\)」って何?
統計学の教科書や参考書を読むとよく出てくる記号として「\(\mu\)」という文字があります。これが何者なのか、なんと読むのか、など気になる方も多いと思います。この「\(\mu\)」とはギリシャ文字で「ミュー」と読み、母集団の平均(母平均)を表す記号として一般的に使われます。
しかし、なぜこの記号なのか、疑問は次々溢れてきます。実はギリシャ文字のいくつかはアルファベットと対応があり、今回の「\(\mu\)(ミュー)」は「\(m\)(エム)」と対応します。いわれてみると形が似ていますよね!

ではなぜ「\(m\)」なのか。それは、「平均」を表す英語「mean」に由来します。
「mean」と聞くと「意味」という意味が真っ先に浮かぶ方が多いかもしれません(表現がややこしいですがご了承ください 笑)。しかし、「mean」には「意味」以外に「平均」という意味があります。そこで、「mean」の頭文字である「m」を平均値として採用する流れになりました。ただし、統計学で母集団の平均を表すときは、「m」に対応するギリシャ文字の「\(\mu\)」が使われます(理由は後述)。
2.Average(アベレージ)との違いは?
ここでまた1つ疑問が出てきます。平均値をExcelで出力する際に「AVERAGE」という関数を使います。いわれてみれば英単語の「Average(アベレージ)」も「平均」を意味します。
「Mean」と「Average」って何か違いがあるのでしょうか?
実は「Average」には「平均」以外も「平凡な」「標準的な」「並みの」という意味があり、統計学の世界では「代表値」というニュアンスで使われます。つまり、「Average」の方が広い意味があり「Mean」と「Average」は、正確には異なる用語として使い分けられています。
※しかし、そこまでこだわる必要はなく、どちらも一般には「平均」という意味で使われています。
3.\(\bar{x}\) と\(\mu\)の違いは?
教科書や参考書を読み進めていくと、また疑問が生じます。そうです、「平均値\(\bar{x}\)(エックス・バー)」の出現です。
この「\(\bar{x}\)」と「\(\mu\)」にも実は違いがあります。実は「\(\bar{x}\)」とは\(x_1, x_2, \ldots\,x_n\)で表されるサンプル・データ(標本)の平均値を表しています。そのため「標本平均」と呼びます。なお、データの記号が\(y_1, y_2\ldots, y_n \)であれば、\(\bar{y}\)といった具合で表せるので、記号として使い勝手はいいです。
対して、「\(\mu\)」は一部のサンプル(標本)ではなく、全てのデータ(母集団)の平均値を表し、「母平均」と呼びます。場合によっては直接求めることが困難なこともあり、文字通り、「母なる平均値」、あるいは「神のみぞ知る値」という位置づけになります。

マクドナルドのポテトの長さについて考えてみましょう。地球上に存在する全ポテト(母集団)の「平均の長さ」は、少なくともこの瞬間において存在しています。この平均値の事を「母平均(\(\mu\))」といいます。しかし、その値を測定することが現実的に不可能です。まさに「神のみぞ知るポテトの平均値」です。そこで、なるべく偏りのないサンプル・データ(標本)の平均(標本平均\(\bar{x}\))を使ってこの母平均を推測するのが統計学の「推定」の考え方です。視聴率調査や内閣支持率も同じような考え方です。
このように、「\(\bar{x}\)」と「\(\mu\)」は、「Average」と「Mean」よりも決定的な違いがあるので、使用する際は気を付けましょう!
補足ですが、統計学には、母平均\(\mu\)や母標準偏差\(\sigma\)のような母集団の値(母数)をギリシャ文字で、標本平均\(\bar{x}\)や標本標準偏差\(s\)のような標本から計算した値をアルファベットで書き分ける慣習があります。母平均をアルファベットの「\(m\)」でなく「\(\mu\)」で書くのはこのためです。
4.さいごに
いかがでしたでしょうか?今回は統計学で必須の概念である「平均値」の、普段あまり語られることのない話題についてお話をしてきました。現代の社会においては、さまざまなデータや情報が行き来しており、いかに正確に読み取るかが重要になってきます。その根本にある考え方は統計学と言っても過言ではないでしょう。実際に高校の数学の授業でも2012年度の入学生から「データの分析」が必須となり、仕事や生活の上でも統計学やデータ分析は今後もますます必須のスキルになってくると思います。そこで、和からでは初めて統計学を学ぶ、あるいはハードルが高くてなかなか勉強が進まないという方は是非、参加費無料の「統計超入門セミナー」にご参加ください!
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<文/岡本健太郎>
この記事に出てきたような統計のことばは、A4・2ページの「早わかりシート」に1枚でまとめてあります。平均・標準偏差・p値・相関などを、「一言でいうと」「どんなときに使う」「よくある勘違い」の3点で整理しました。
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