公倍数と公約数とは【算数からやさしく解説】
公開日
2022年3月31日
更新日
2026年7月26日
この記事の主な内容
この記事のポイント
・倍数は「整数倍してできる数」、約数は「割り切れる数」です
・公倍数・公約数は、2つ以上の数に共通する倍数・約数のことです
・公倍数の最小が最小公倍数、公約数の最大が最大公約数です
・最大公約数が1のとき、その2数は互いに素といい、約分や暗号の話につながります
結論|公倍数・公約数は「2つ以上の数に共通する倍数・約数」
公倍数(こうばいすう)・公約数(こうやくすう)とは、名前のとおり「倍数」「約数」に関する言葉です。ただし倍数・約数が1つの数について考えるのに対し、公倍数・公約数は2つ以上の整数について考えます。
・公倍数=2つ以上の整数に共通する倍数
・公約数=2つ以上の整数に共通する約数
頭についた「公」は「共通の」という意味だと思ってください。基本的に、公倍数も公約数も正の数の範囲で考えます。
前提のおさらい|倍数とは・約数とは
公倍数・公約数に進む前に、土台になる2つの言葉を整理しておきましょう。
倍数とは、ある数を整数倍してできる数です。3の倍数なら3、6、9、12…と続きます。数学の世界では0や−3、−6のような負の数も倍数に含めますが、算数では正の数だけを考えれば十分です。
約数とは、ある整数を割り切ることができる正の整数のことです。12の約数は1、2、3、4、6、12の6つ。どれも12を余りなく割り切れます。
両者の関係を一言でいえば、「AがBの倍数」であることと「BがAの約数」であることは同じです。12は3の倍数であり、3は12の約数——同じ事実を、どちらの数から見るかの違いにすぎません。倍数は外へ限りなく広がっていき、約数はもとの数の中に有限個だけ含まれる、とイメージすると混同しにくくなります。

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公倍数と公約数の例|4と6、3と5で確かめる
実際に、4と6の公倍数・公約数を求めてみましょう。
4の倍数を小さい順に並べると 4, 8, 12, 16, 20, 24, 28, …
6の倍数を小さい順に並べると 6, 12, 18, 24, 30, …
共通しているのは12, 24, …。これが4と6の公倍数です。
次に約数。4の約数は 1, 2, 4、6の約数は 1, 2, 3, 6 です。共通しているのは1, 2で、これが4と6の公約数になります。
もう1組、3と5でも確かめてみましょう。公倍数は 15, 30, 45, …、公約数は1だけです。どんな整数も1を約数に持つので、公約数には必ず1が含まれる——ここは覚えておくと便利なポイントです。
最小公倍数と最大公約数|「互いに素」とは
実際の計算でよく使うのは、公倍数・公約数そのものより最小公倍数と最大公約数です。
・最小公倍数(LCM)=公倍数の中でいちばん小さい数
・最大公約数(GCD)=公約数の中でいちばん大きい数
先ほどの例なら、4と6の最小公倍数は12、最大公約数は2。3と5なら最小公倍数は15、最大公約数は1です。
「最大」と「最小」がどちらにつくか混乱したときは、極端な例を思い出してください。公倍数はいくらでも大きくできるので「最大公倍数」は存在しません。公約数は必ず1を含むので「最小公約数」はいつも1になり、考える意味がありません。だから倍数は最小、約数は最大に注目するのです。
そして最大公約数が1であるとき、その2つの数は互いに素(たがいにそ)であるといいます。3と5は互いに素ですが、4と6は最大公約数が2なので互いに素ではありません。分数がそれ以上約分できない状態とは、分母と分子が互いに素になっている状態のことです。
約数の見つけ方|素因数分解を使うと速い
約数を求める最も基本的な方法は、1から順に割ってみるやり方です。12なら1, 2, 3, 4, 6, 12が見つかります。数が小さいうちはこれで十分です。
数が大きくなってきたら、素因数分解を使うのが近道です。素数とは1と自分自身以外に約数を持たない整数(2, 3, 5, 7, 11…)のことで、どんな整数も素数の積として表せます。たとえば12は 2²×3、30は 2×3×5 と分解できます。
素因数分解ができれば、指数の組み合わせから約数をもれなく列挙できます。12=2²×3なら、2の使い方が3通り(2⁰, 2¹, 2²)、3の使い方が2通り(3⁰, 3¹)で、3×2=6個。実際に12の約数はちょうど6個です。
最大公約数は共通する素因数を掛け合わせたもの、最小公倍数は両方に登場する素因数を指数の大きいほうで掛け合わせたものとして求められます。12=2²×3、18=2×3² であれば、最大公約数は 2×3=6、最小公倍数は 2²×3²=36 です。なお最大公約数は、ユークリッドの互除法という手順を使えば機械的に求めることもできます。
日常とビジネスでの使いどころ
公倍数・公約数は、学校の中だけの話ではありません。
最小公倍数が活きるのは、周期の異なるものが重なるタイミングを知りたいときです。4日おきの作業と6日おきの作業が同じ日に重なるのは12日ごと、といった具合です。分数のたし算で分母をそろえる通分も、最小公倍数の応用にほかなりません。
最大公約数が活きるのは、あまりを出さずに等分したいときです。12個のクッキーと18個のチョコを余らせずに同じ内容の袋に分けるなら、最大公約数の6袋が答えになります。
さらに現代の数学では、公倍数・公約数の考え方は中国剰余定理やRSA暗号といった分野に広がっており、私たちが日々使っているインターネット通信の安全性を支える土台にもなっています。身近な算数の話題が、そのまま社会インフラにつながっている——整数の性質のおもしろさはここにあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 倍数と約数のちがいは何ですか?
倍数は「ある数を整数倍してできる数」、約数は「ある数を割り切ることができる数」です。12を例にすると、倍数は12、24、36、48…と大きくなっていき、約数は1、2、3、4、6、12の6つで、必ずもとの数以下になります。「倍数は外に広がる/約数は中に含まれる」とイメージすると混同しにくくなります。
Q2. 公倍数・公約数とは何ですか?
2つ以上の整数に共通する倍数が公倍数、共通する約数が公約数です。4と6であれば、4の倍数(4, 8, 12, 16, 20, 24…)と6の倍数(6, 12, 18, 24…)に共通する12, 24…が公倍数。約数は4が1, 2, 4、6が1, 2, 3, 6なので、共通する1, 2が公約数になります。
Q3. 最小公倍数と最大公約数はどう違いますか?
公倍数のうち最も小さいものが最小公倍数、公約数のうち最も大きいものが最大公約数です。4と6なら最小公倍数は12、最大公約数は2です。「最大公倍数」や「最小公約数」を考えないのは、公倍数はいくらでも大きくでき、公約数は必ず1を含むので最小が常に1になってしまうからです。
Q4. 「互いに素」とはどういう意味ですか?
2つの整数の最大公約数が1であるとき、その2つは互いに素であるといいます。たとえば3と5は最大公約数が1なので互いに素ですが、4と6は最大公約数が2なので互いに素ではありません。分数を約分できるかどうかは、分母と分子が互いに素かどうかで決まります。
まとめ|「共通するもの」を見つける考え方
倍数は整数倍してできる数、約数は割り切れる数。そして2つ以上の数に共通するものが公倍数・公約数で、その中で注目するのが最小公倍数と最大公約数でした。
この考え方は、通分、約分、等分、周期の重なりなど、算数のさまざまな場面で顔を出します。ひとつずつ書き出して共通するものを探す——という素朴な作業から始めれば、けっして難しい話ではありません。「なんとなく苦手」と感じていた方こそ、12と18のような小さな数で手を動かして確かめてみてください。
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<文/尾崎 監修/和から株式会社 堀口智之>
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