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テキストデータ分析のキホン-第5回:問い合わせを整理したら“同じ問題が繰り返される理由”が分かった話【統計学をやさしく解説】

公開日

2026年2月3日

更新日

2026年5月6日


この記事のポイント

・問い合わせメール150件から「同じ問題が繰り返される本当の理由」を見つけた実例
・テクニックは 「ざっくり分類 → 数える → 共通点を探す」 3ステップ
・解決策は「対応を頑張る」ことではなく 「仕組みを直す」こと
・FAQ整備や問い合わせ削減に取り組む人がそのまま使える手順

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丁寧に答えているのに、問い合わせが減らない

あるサポート部門のチームに、こんな悩みがありました。

・1件1件、丁寧にメール対応している
・お客様アンケートの満足度も悪くない
・なのに 問い合わせ件数が一向に減らない

追えど追えど終わらない問い合わせ。担当者は思っていました。「サービスが複雑だから仕方ないのかな」「もう人を増やすしかない?」

ところが、過去3か月の問い合わせメール約150件 を見直してみると、想像とは違う構造が見えてきます。Forrester Consultingの「Total Economic Impact」分析では、顧客サービスコールの 根本原因を特定して解消 し、セルフサービスを拡充することで、コールバック率が5〜7%低下し、3年間で約120万件のコンタクトが回避できる と試算されています。「個別対応の質を上げる」より、問い合わせの発生源そのものを減らすアプローチの効果が、定量的に示されているのです。

使ったデータは「問い合わせメール150件」だけ

データ 内容 取得コスト
問い合わせ件数 3か月で約150件 既に集計済み
メール本文 件名+問い合わせ内容 追加コストゼロ
満足度アンケート 「対応に満足」が多数 既存

何かを新しく集める必要はありません。すでに毎日届いているメール こそが、サポート改善の最大のヒント源です。

ステップ①:内容を「ざっくり分類」する

最初にやったのは、難しい分析ではなく 大まかなカテゴリ分け

・操作の質問
・契約・請求の質問
・トラブル報告
・要望・改善提案
・その他

1メール5秒以内で振り分けるのがコツです。完璧な分類は目指さず、「全体感」をつかむのが目的です。

図1:問い合わせ内容をカテゴリ別に集計した棒グラフ(操作の質問が突出して多い)

図1:問い合わせ内容をカテゴリ別に集計した棒グラフ

結果、約半数(76件)が「操作の質問」 に集中。トラブルでも要望でもなく、「どう使えばいいか分からない」という同じ系統の質問が大量に届いていました。

ステップ②:頻出する質問内容を「数える」

「操作の質問」76件をさらに細かく分類すると、特定の機能について 同じ質問が繰り返されている ことが分かります。

質問テーマ 件数
初回設定の手順 30 「最初の設定で詰まりました」
料金プランの切り替え方 18 「プラン変更はどこから?」
パスワード再設定 12 「ログインできません」
データ書き出し方法 10 「CSVに落とせますか」
その他操作系 6 細かな機能の使い方

ステップ③:共通点を「まとめる」

さらに分類して見えたのは、3つの共通パターンです。

図2:複数の違って見える問い合わせから、不満の共通点を見つける

図2:複数の違って見える問い合わせから、共通する根本原因を見つける

マニュアルに記載がない(探したけど見つからない)
マニュアルにあるが、検索しづらい(情報設計の問題)
画面UIが直感的でない(誘導が弱い)

個別の質問は違って見えても、根本原因はこの3つ に集約されます。これが「個別対応では解決しない問題」の正体でした。

結論:頑張ったのは「対応」ではなく「仕組み」

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チームが取り組んだ施策は、対応の高速化ではありませんでした。

当初の想定 実際にやったこと
対応スピードを上げる → しなかった
サポート人員を増やす → しなかった
頻出30問のFAQを整備
FAQ検索のキーワードを実際の質問に揃えた
初回設定画面に手順ガイドを追加

3か月後の結果:

・「初回設定」関連の問い合わせが 約7割減
・全体の問い合わせ件数も 3割減
・サポートチームの残業時間が大きく減少

1件1件への対応を頑張るのではなく、「同じ問い合わせが起きない構造」 を作った結果でした。

このケースから学べる3つのこと

1. 「問い合わせ件数」は症状、原因ではない
件数だけ追っても改善しません。中身のテキスト こそ次の打ち手を教えてくれます。

2. 違って見える質問でも、根は3つ程度
表面の言葉に惑わされず、共通の根本原因(マニュアル・UI・情報設計)を探します。

3. 個別対応より「仕組み」を直す
丁寧な対応はもちろん大事。でも、繰り返し起きる問題は「仕組みで起きないように」する方が圧倒的に効きます。

明日からできる3つのアクション

① 過去3か月のメールを5カテゴリに分類
完璧でなくてOK。10分かけて分けるだけで全体像が見えます。

② 上位3カテゴリの「件数」と「典型例」をリストアップ
「何にどれくらい時間が取られているか」が一目で分かります。

③ 上位1テーマだけFAQ化
全部やる必要はありません。最も多いテーマに先回りするだけで、件数は確実に減ります。

次回予告

次回はシリーズ最終回。第1〜5回で扱ってきた事例を振り返り、テキストデータ分析を「仕事に定着させる」考え方 をまとめます。

<文/岡崎 凌>

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