テキストデータ分析のキホン-第4回:日報を分析したら“忙しさの正体”が見えてきた話【統計学をやさしく解説】
公開日
2026年2月2日
更新日
2026年2月27日
前回は、商品レビューを分析することで、
「商品が悪いわけではない」「伝え方とのズレ」が売れない原因だった、というケースを紹介しました。
今回は、お客様ではなく、社内のテキストデータに目を向けます。
テーマは、多くの現場でよく聞くこの悩みです。
「毎日忙しい。でも、なぜ忙しいのか説明できない」
この記事の主な内容
残業が減らない。でも理由が分からない
ある部署で、こんな状況が続いていました。
・残業時間がなかなか減らない
・現場は「忙しい」と言っている
・でも、具体的な原因が見えない
マネージャーは、こう感じていました。
「一人ひとりがサボっているわけではない。
でも、どこに問題があるのか分からない」
実はこの部署では、毎日日報が書かれていました。
今回使ったデータは「日報の自由記述」
今回使ったのは、次のデータです。
・日報の自由記述欄(文章)
・人数:数十人分
・期間:数週間〜1か月程度
日報には、
「今日は〇〇の対応に時間がかかりました」
「想定外の作業が発生しました」
といった文章が毎日のように書かれていました。
ただし、これまでは個別に読まれるだけで、
全体として整理されることはありませんでした。
まずやったこと①:「時間がかかった」表現に注目する
最初に行ったのは、日報の中から、次のような表現を含む文章を抜き出すことです。
・「時間がかかった」
・「想定外だった」
・「対応に追われた」
・「急な依頼が入った」
ポイントは、
「忙しい」という感想ではなく、忙しさが生まれた場面に注目することです。
まずやったこと②:よく出てくる作業内容を並べてみる
次に、抜き出した文章の中で、
どんな作業が繰り返し登場しているかを整理しました。
すると、ある作業が何度も出てきていることに気づきます。

図1:日報内で「時間がかかった」と一緒に出てくる作業内容の頻度を示した棒グラフ
見えてきたのは「一部の作業への集中」
整理した結果、分かってきたのは次のことでした。
・忙しさの原因は全体に散らばっていない
・特定の作業に「想定外」「手戻り」が集中している
つまり、
「仕事量が多すぎる」のではなく、
つまずきやすい作業が放置されていた
という状態だったのです。
似た内容をまとめると、改善ポイントが具体化する
日報の内容をもう一段整理すると、
・確認不足によるやり直し
・ルールが曖昧な作業
・人によってやり方が違う作業
といったカテゴリに分けられました。

図2:「忙しさの原因」をカテゴリ別にまとめたシンプルな円グラフ
実際にやった改善は「仕事を増やすこと」ではなかった
分析結果を受けて行ったのは、
人を増やすことでも、残業を禁止することでもありません。
実際にやったのは、
・曖昧だった作業ルールを1枚に整理
・つまずきやすいポイントを事前に共有
・判断に迷う部分の基準を明文化
といった、小さな改善でした。
その結果、
・日報に書かれる「想定外」が減少
・同じ質問・確認が減少
・結果として残業時間も減少
という変化が起きました。
このケースから分かること
この事例が示しているのは、
・忙しさの原因は「人」ではない
・文章をまとめると、問題は意外と限定されている
ということです。
日報は「読んで終わり」ではなく、
現場改善のヒントが詰まったデータにもなります。
次回予告
次回は、問い合わせメールやクレーム文を整理することで、
「同じ問題が何度も起きる理由」が見えてきたケースを紹介します。
テキストデータ分析が、
責任追及ではなく、仕組み改善につながることを感じてもらえる回です。
<文/岡崎 凌>





