テキストデータ分析のキホン-第3回:商品レビューから“売れなかった本当の理由”が分かった話【統計学をやさしく解説】
公開日
2026年2月1日
更新日
2026年2月27日
前回は、アンケートの自由回答を分析することで、
「機能」ではなく「使い始めの分かりにくさ」が改善ポイントだと分かった事例を紹介しました。
今回は少し視点を変えて、商品レビューや口コミを使ったケースを見ていきます。
テーマは、こんな悩みです。
「評価は悪くないのに、なぜか売れない」
この記事の主な内容
★3.5。悪くないはずの商品が、なぜ伸びなかったのか
あるECサイトで販売されている新商品。
レビューの平均評価は★3.5。
極端に低いわけではなく、クレームが多いわけでもありません。
それでも、
・思ったほど売上が伸びない
・リピートも少ない
という状況が続いていました。
商品企画担当者は、こう感じていました。
「レビューは一応読んでいるけど、結局どう判断すればいいのか分からない」
今回使ったデータは「商品レビューの文章」
今回使ったのは、次のデータです。
・ECサイトに投稿された商品レビュー
・件数:約300件
星の数(★評価)は数値データですが、
レビュー本文はテキストデータです。
ここには、点数だけでは分からない「評価の理由」が書かれています。
まずやったこと①:ポジティブとネガティブを分ける
最初に行ったのは、レビューを大きく2つに分けることでした。
・全体的に満足しているレビュー
・不満や違和感が書かれているレビュー
ここで重要なのは、★の数だけで判断しないことです。
★4や★5のレビューでも、本文を読むと、
「良いけど、○○が惜しい」
と書かれているケースが多くありました。
まずやったこと②:「良いけど○○」に注目する
次に注目したのは、こんな表現です。
・「機能は良いけど…」
・「品質は満足。ただし…」
・「期待通りだが…」
これらは、一見するとポジティブなレビューですが、
購入を迷わせる要因が隠れています。
こうしたレビューから、「ただし」の後に書かれている内容を抜き出しました。

図1:「良いけど○○」レビューで頻出する不満ワードの棒グラフ
見えてきたのは、機能ではなく「イメージとのズレ」
レビューを整理していくと、意外なことが分かってきました。
・性能への不満は少ない
・品質への大きなクレームもない
代わりに多かったのが、次のような声です。
・思ったより大きかった
・写真で見た印象と違う
・サイズ感が分かりにくい
つまり問題は、商品そのものではなく、
購入前のイメージとのギャップでした。
似た意見をまとめると、課題がはっきりする
不満点を内容ごとにまとめると、
・サイズ感に関するもの
・使用シーンが想像しにくい
・写真や説明文が足りない
といったカテゴリに集中していることが分かりました。

図2:レビュー不満内容をカテゴリ別にまとめた円グラフ
実際にやった改善は「商品説明の修正」だけ
分析結果を受けて、担当チームが行った改善は、とてもシンプルです。
・サイズ比較の写真を追加
・使用シーンが分かる画像を追加
・「どんな人に向いているか」を明記
商品自体は変えていません。
それでも、
・「思っていたのと違う」というレビューが減少
・購入率(CVR)が改善
・レビューの★評価も安定
という変化が起きました。
このケースから分かること
この事例が教えてくれるのは、
・売れない原因=品質とは限らない
・レビューは「不満探し」ではなく「ズレ探し」
ということです。
テキストデータ分析を使うことで、
「何を作り直すべきか」ではなく、
「何を伝え直すべきか」
が見えるようになりました。
次回予告
次回は、商品やお客様ではなく、
社内のテキストデータを扱います。
日報や業務メモを分析することで、
「なぜ忙しいのか分からない」
「改善ポイントが見えない」
という悩みがどう解消されたのかを紹介します。
<文/岡崎 凌>





