「主成分分析と因子分析って何が違うの?」—多変量解析を使いこなすためのポイント
公開日
2025年2月16日
更新日
2025年2月13日
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みなさんこんにちは!和からの数学講師の岡﨑です。
和からでは、学びに来る皆様のさまざまな「分からない」に答えるべく日々授業を行っています。今回はその中の一つ、似たような分析手法の使いわけについて聞かれた時の話をご紹介しましょう。
この記事の主な内容
1.「主成分分析と因子分析の違いがわかりません!」
Aさん:先生、主成分分析と因子分析の違いがどうしても理解できません!どちらも項目数が多いアンケートなどのデータに対して圧縮をかけて減らすような、似たような計算をしていますよね?
先生:そうですね。
Aさん:教科書を読んでも、主成分分析と因子分析の違いがいまいちピンとこなくて…
Aさん:なるほど…。それなら、それぞれの分析手法がどのように利用されるか、ビジネスの場面で使うことを想像しながら比べてみましょう。
2.商品の評価に関するアンケート結果を使って考える
先生:たとえば、Aさんはマーケティング部門のデータアナリストだとします。
Aさん:分かりました!頑張ります!
先生:今、ある会社が新しく発売したスマートフォンについて、利用者に次の 5つの項目で構成されている評価をアンケートで回答してもらったとしましょう。
先生:あなたはアナリストとして、このデータから新商品についてどういう特徴があるのかを知りたいとします。
3.主成分分析を使うと?
先生:まず、主成分分析を使うとどうなるか考えてみましょう。主成分分析は、データのばらつきを最大限に説明する新しい軸(主成分)を見つける手法です。
Aさん:つまり、データの情報をなるべく損なわずに、項目の数を減らすってことですか?
先生:その通りです。たとえば、次のような主成分が得られます。
Aさん:なるほど、もともと5つの評価項目があったけど、それを2つの主成分にまとめたんですね。主成分1を見るだけでまず全体的な評価の高さを判断できて、さらに主成分2を見ればデザインと操作性をどれだけ重視しているかが分かりそうです
先生:そう。主成分分析では、データのばらつき(分散)を最もよく表している方向を探し、そこに沿ってデータを圧縮することができます。
Aさん:ということは、主成分分析はデータのばらつきを基準にして、新しい軸を作っているわけですね!
4.因子分析を使うと?
先生:では、因子分析を使うと何が違うのか説明しましょう。因子分析は、観測データの裏にある『隠れた共通因子』を見つける手法となります。
Aさん:隠れた因子というのはどういうことですか?
先生:例えば、このスマートフォンの評価には、ユーザーの『求める価値』が影響を与えていると考えられます。
Aさん:写真たくさん撮る人はカメラの性能やバッテリーの持ちを求めるとか、仕事で頻繁に使う人はデザインの分かりやすさや操作のしやすさを求めるとか、そういうの?
先生:その通りです。たとえば、次のような因子(共通の特性)があると考えられます。
Aさん:ということは、主成分分析では データのばらつきを説明する新しい軸を作るのに対して、因子分析では評価を生み出している隠れた要因を探すんですね!
Aさん:『全体的な評価』が第1主成分となった主成分分析の結果と比較すると、因子分析の方がより具体的に”ユーザーがスマートフォンに何を求めているのか”を理解することができそうです。
先生:そういうことです! 主成分分析はデータそのものの構造を重視し、因子分析はデータの背景にある要因を重視する分析と言えます。
5.まとめ
Aさん:ということは、
Aさん:データの構造を調べたいなら主成分分析、データを生み出す要因を知りたいなら因子分析を使うんですね!
先生:そう!分析の目的に応じて使い分けることが大事です。
6.さいごに
身の回りのちょっとしたことに置き換えることで、数学はもっと身近に、理解して活用することができるようになります。
データ分析を「なんとなくやる」から「しっかり理解して活用する」へ。
そんな学び方をしたい方は、ぜひ私たちのもとへ!
和からでは、こうした高校や大学以上の数学を個別授業形式が学習することができます。お客様に合った授業が実現できるように柔軟に対応することができますので、個別授業に興味のある方はぜひ一度無料カウンセリングにご参加ください!
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<文/岡﨑 凌>