【和から株式会社】デザイン数学セミナー-折り紙と模様の数理編-講義抜粋
公開日
2024年11月29日
更新日
2025年3月4日

過去開催した「デザイン数学セミナー-折り紙と模様の数理編-」の講義の抜粋です。 折り紙を用いた数学的な考え方から「ミウラ折り」「川崎ローズ」などを紹介・解説します。
※動画でもご覧いただけます。
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この記事の主な内容
折り紙の歴史と魅力
折り紙とは、紙を折ることで形を作り出す日本独自の文化の代表例のひとつです。もちろん、紙を折るという芸術は日本が最初ではないという説もありますが、現在では「折り紙」として世界的に認識されています。英語では「folding paper」と表現されることもありますが、今では「Origami」とそのまま名詞として使われるほど、日本文化の一部として広く知られています。
折り紙にはさまざまな古典的な形がありますが、中でも代表的なのが「伝承折り紙」です。「伝承」とは、時代を超えて受け継がれてきたものを意味します。古くから伝わる折り紙の中でも特に有名なのが「折り鶴」でしょう。皆さんも一度は折ったことがあるのではないでしょうか?
日本における紙の歴史
折り紙の歴史を考える上で、まず紙の存在が欠かせません。日本に紙が伝わったのは7世紀のことです。当時は紙を「折る」というより、「包む」ことに重点が置かれていました。貴族など限られた人々しか紙を手にできず、主に儀式などの場面で使われていました。庶民が自由に紙を使える時代ではなかったのです。
室町時代になると、紙を包む作法が整備され、「小笠原家」や「伊勢家」などの名門家がその文化を発展させました。聞いたことがある方もいるかもしれませんね。その後、江戸時代になると、ようやく庶民にも紙が普及し、色付きの紙も登場しました。この頃から、折り紙が遊びの一環として楽しまれるようになりました。
近代の折り紙とミウラ折り
折り紙は伝統的な形だけでなく、現代にもさまざまな応用があります。その一例が「ミウラ折り」です。これは地図などに使われることが多く、一瞬でパッと開けるのが特徴です。もしかすると、皆さんも無意識のうちに目にしたことがあるかもしれませんね。
本日の後半では、実際にミウラ折りを体験してみたいと思います。特別なルールはありませんので、自由に折ってみてください。そして、折り終わったら開いてみましょう。どうですか?光の加減によって宝石のように見えたりして、美しいと感じる方もいるのではないでしょうか。
折り目を観察すると、線が集まる部分がいくつかあるのが分かると思います。このような点を「頂点」と呼びます。しかし、平面上で紙を押しつぶすようにすると、なかなかうまく形になりません。これは、吉村パターンと呼ばれる構造にも通じる現象です。
折り紙の科学的な応用
吉村パターンでは、紙の凹凸が規則的に配置されることで、効率よく折り畳むことができます。三浦先生は、このパターンに着目し、折り紙の構造を科学的に研究しました。本日の実験では、実際に紙を折ってこのパターンを観察し、その仕組みを理解していきましょう。
折り紙は、単なる遊びではなく、建築や宇宙工学、医療分野など、さまざまな分野で応用されています。紙を折るというシンプルな行為の中には、奥深い科学と歴史が詰まっているのです。
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