【和から株式会社】数学的デザイン超入門
公開日
2024年11月30日
更新日
2025年3月18日

数学を用いたデザインアートをご紹介するセミナーの講義抜粋となります。
誰でも馴染みのある、でもすごい素敵な数学アートをお楽しみください。
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※動画でもご覧いただけます。
この記事の主な内容
デザインと数学
私たちは、ひらがなの「か」のように、単なる1文字から形を作り出し、それをデザインに昇華させることができます。このプロセスは、まさにモノづくりの考え方と通じるものがあります。
一方で、数学はその逆のアプローチを取ります。
つまり、モノづくりは具体化のプロセスであるのに対し、数学は抽象化のプロセスなのです。
この観点からすると、数学とモノづくりは「双対的な関係」にあるといえます。
これまであまり意識することのなかった関係性ですが、実は深く結びついているのです。
数学とアートの関係
数学とアートの関係について考えると、ファッションがその一例として挙げられます。
例えば、ファッションデザイナーでアーティストの やまりえ さんは、数学を取り入れたデザインを行っています。彼女は、らせん状の模様やフラクタル構造、結び目理論といった数学的概念を活用し、機能性と美しさを兼ね備えたデザインを生み出しています。
このようなアプローチは、数学的思考と芸術的感性が対立するものではなく、むしろ互いを内包するものであることを示しています。普段あまり耳にしない考え方かもしれませんが、実際には数学とアートは切っても切り離せない関係にあるのです。
また、数学はエンターテイメントとも深く関わっています。その一例が チームラボ の作品です。彼らの手掛ける光を駆使したインタラクティブなアート作品は、数学的な計算によって創り出されています。福岡城跡地や東京の常設展などで体験できる幻想的な空間演出も、数学が支える技術の結晶なのです。
数学と芸術の歴史的な関係
歴史を振り返ると、数学はさまざまな芸術作品に影響を与えてきました。
例えば レオナルド・ダ・ヴィンチ は、黄金比を活用した作品を多く残しています。
彼は数学者、建築家、物理学者、天文学者、そして芸術家でもありました。
彼の作品には、比率への深い関心が反映されており、数学を美の基準として追求していました。
また、シュルレアリスムの巨匠 サルバドール・ダリ も、数学と関わりが深い芸術家です。
彼の最後の作品とされる スワロウテイル は、数学のカタストロフィー理論をモチーフにしています。
さらに、数学記号のインテグラル記号をバイオリンの形に融合させるなど、数学を巧みに取り入れたユニークな作品を数多く制作しました。
マウリッツ・エッシャー も数学と密接に関係する芸術家です。
彼の有名な「だまし絵」は、数学的な構造を応用して制作されています。
特に「円の極限」シリーズでは、非ユークリッド幾何学の概念を取り入れ、双曲空間を視覚的に表現しました。白い部分が天使、黒い部分が悪魔になっている「天使と悪魔」という作品では、タイルのように同じ形が敷き詰められていますが、非ユークリッド幾何学の視点ではすべて同じ大きさであるという点が興味深いです。
エッシャーは数学者オクセンターと協力し、最先端の数学を芸術に取り入れる試みを行っていました。まさに、数学と芸術が融合した代表的な例といえます。
数式もアートの一部に
近年では、数式そのものがアートとみなされるようになっています。
例えば、ドラマ 『ガリレオ』 では、福山雅治さんが数式を書くシーンが印象的に描かれています。
また、映画 『奇跡がくれた数式』 では、インドの天才数学者 ラマヌジャン の生涯が描かれ、ポスターにも数式があしらわれています。
さらに、意外なところでは 仮面ライダー などの特撮作品にも数学が登場しています。
数式を使って和の概念を表現するなど、数学がビジュアルデザインにも応用されているのです。
こうした作品には、実際の数学者が監修を行い、数学的に正確な表現が取り入れられています。
また、名古屋大学のカフェでは、窓ガラスに無数の数式が書かれており、まるでアートのような美しさを醸し出しています。
このように、数式そのものがデザインの一部として取り入れられることで、数学が新たな形で私たちの生活に浸透していることがわかります。
建築と数学の関係
建築においても、数学は重要な役割を果たしています。
例えば、写真にある規則的なブロック構造とランダムな木の根の組み合わせは、斜めのラインが一定の方向を保ちながらも有機的な動きを見せており、数学的な美しさを感じさせます。
また、光の軌跡を捉えた写真を見ると、連続的な動きが美しい周期的な曲線を生み出していることがわかります。
例えば、遊園地のメリーゴーランドの光の軌跡は、数学的に解析すると非常に興味深いパターンを描いています。
さらに、道路設計には クロソイド曲線 という数学的なカーブが使われています。
これは、安全に運転できるよう設計された曲線で、私たちの日常生活の中で数学が実用的に活用されていることを示しています。
建築物にも数学的構造が多く見られます。
名古屋駅前の螺旋状のオブジェは、数学的に美しい形状をしており、擬球と呼ばれる数学的形状に似ています。
しかし、残念ながらこのオブジェは近々撤去される予定とのことです(※2022年10月下旬撤去されました)。
東京ミッドタウン裏の公園広場にも、数学的構造を持つオブジェがあります。このオブジェには、縦線や横線が座標のように配置されており、数学的な骨格が露わになっています。
こうしたデザインは、見る人に興味を抱かせる要素となっています。
さらに、街中のタイル貼りにも数学的な美しさが潜んでいます。例えば、銀座で撮影したタイル模様は、規則的なパターンが施されており、数学的なデザインの妙を感じさせます。
数学とアート、デザイン、建築は、実は密接に関係しており、私たちの身近なところでその結びつきを見つけることができます。
普段何気なく目にしているものにも、数学のエッセンスが隠されているかもしれません。