集計と可視化から始めるデータ分析超入門
公開日
2024年11月29日
更新日
2025年3月4日

好評開催中の集計と可視化で学ぶデータ分析超入門の講義風景抜粋記事になります。
※抜粋動画でもご覧いただけます
この記事の主な内容
データ分析を始める前に大切なこと
さて、ここから「データの利活用とは何か」「データ分析はどのように進めるべきか」「正しいデータの活用方法とは何か」について、具体例を交えながら考えていきたいと思います。
では、皆さんにデータを一つお見せしましょう。このデータを業務に活用してくださいと言われたら、皆さんは何をしますか? ぜひ一緒に考えてみてください。
例:メールクーポンの効果測定データ
今回のデータは、メールでクーポンを送った際に、どれくらいの人がその後購入に至ったのかを記録したものです。
例えば、1行目のデータを見ると、「Segment(セグメント)」の項目には「Women’s Email」と書かれています。これは、女性向けのメールクーポンを送ったことを示しています。そして、「Conversion(コンバージョン)」の項目には、購入した場合に「1」、購入しなかった場合に「0」が記録されています。
つまり、このデータには「誰に」「どんなメールを送ったか」と、「その後購入に至ったかどうか」の情報が記録されているわけです。
さて、ここで考えてみましょう。このデータが社内にあるとして、皆さんならどのように活用しますか? データをどのように業務に役立てるか、一緒に考えていきましょう。
データ分析のよくある間違い
データ分析を学んだ人が陥りがちな間違いの一つに、「とりあえず分析手法を適用してしまう」というものがあります。統計学を学ぶと、「じゃあ、さっそくこのデータに分析手法を使ってみよう!」と考えがちですが、実はこれはあまり良いやり方ではありません。
なぜかというと、データ分析を行う際に最も重要なのは「何のために分析をするのか」という目的を明確にすることだからです。
目的が定まらないまま分析を始めてしまうと、何を知りたかったのかが曖昧になり、時間がかかるだけでなく、適切な結果が得られないことが多くなります。
つまり、データ分析を行う際には、まず「このデータから何を知りたいのか?」を明確にすることが大切なのです。
データ分析の正しい流れ
データ分析とは、問題解決の手段の一つです。ビジネス上の課題を解決するために、データを活用するのが本来の目的です。
データ分析の正しいサイクルは以下のようになります。
①ビジネス上の課題を明確にする
例:「クーポンの効果を高めるにはどうすればいいか?」
課題を解決するために、現状を把握するデータを集める
例:「過去のクーポン配信データを取得する」
②データを分析し、課題解決のための仮説を立てる
例:「特定のセグメントには割引率を変えたほうが良いのでは?」
分析結果をもとにビジネスアクションを実行する
例:「次回のクーポン配信戦略を変更する」
③アクションの効果を検証し、改善を繰り返す
例:「実際に購入率が向上したかを確認し、次の施策に活かす」
このように、データ分析は「分析すること」自体が目的ではなく、課題を解決するための一連のプロセスの一部なのです。
データ分析の間違った流れ
一方で、データ分析がうまくいかないケースでは、次のような流れになってしまっています。
①分析手法を学ぶ
②とりあえずデータを分析してみる
③得られた結果をどう活用するか考える
このような流れだと、「分析をすること」が目的になってしまい、本来解決したい問題を見失いがちです。結果として、分析をしたものの、ビジネスに活かせないという状況に陥ることが多くなります。
料理に例えるデータ分析
この話を、料理に例えてみましょう。
例えば、誰かに料理をふるまうとき、まず最初に「何が食べたい?」と聞きますよね。相手が「さっぱりしたものが食べたい」と言えば、「じゃあサラダを作ろう」と考え、必要な食材(野菜)を買いに行きます。そして、適切な調理器具(包丁やまな板)を使って料理をします。
この流れが、データ分析の正しいサイクルと同じなのです。
一方で、「新しい出刃包丁を買ったから、これを使いたい!」という理由で魚を買いに行くとどうなるでしょうか? 相手が「今日は肉が食べたい気分だった」となれば、せっかく作った料理も喜ばれません。これは、分析手法ありきでデータを分析してしまうのと同じことです。
まとめ
データ分析は、あくまで課題解決の手段です。
最も重要なのは、分析の目的を明確にすること。
目的を決めずに分析を始めると、結果をうまく活用できない。
データ分析の流れは、料理のプロセスと同じ。まず「何が必要か」を考えることが大切。
データを活用する際には、この正しいサイクルを意識しながら取り組んでいきましょう。