「大雑把」でOK!?柔らかい頭で楽しむトポロジー入門
公開日
2025年12月11日
更新日
2025年12月9日
みなさんこんにちは!和からの数学講師の岡本です。今回は、数学の中でも一際不思議で、そして魅力的な分野「トポロジー(位相幾何学)」の世界と、近日開催されるトークライブについてご紹介します!
この記事の主な内容
ドーナツとコーヒーカップは「同じ」形?
みなさんは、「ドーナツとコーヒーカップは同じ形である」という話を聞いたことがありますか?普通に考えれば、食べるドーナツと飲み物を入れるカップが同じはずはありません。しかし、トポロジー(位相幾何学)という数学の世界では、これらは「同じ」とみなされます。一体何が同じなのでしょうか?
それは、「穴が1つ空いている」という、大雑把な構造において同じなのです。

1.「大雑把」だからこそ宇宙の形が見えてくる
数学では、このような「大雑把な構造」を理解することが、実は非常に重要です。細かいデコボコや長さを無視することで、本質的な形が見えてくるからです。
例えば、「宇宙はどんな形をしているのだろう?」という、手の届きそうにない壮大な問題を考えてみましょう。私たちは宇宙全体を外から見ることはできません。しかし、トポロジーの考え方を使えば、内側から推測することができます。
想像してみてください。宇宙空間に向けて、非常に長いロープを投げ、手元に戻ってきたロープを引っ張ってみます。もし仮に、どこかで引っかかり、どう頑張ってもロープが一点に縮まらない(戻ってこない)とします。このとき、空間には「穴が開いているのではないか?」と考えることができます。
このように、長さを測らなくても、「連続的なつながり方」を調べることで、空間の性質を知ることができるのです。

2.柔らかい幾何学「トポロジー」のルール
トポロジーの世界では、基本的に距離(長さ)を考えません。そのため、立体を粘土のようにコネコネして形を変えても、基本的には同じものであると考えます。
これを数学的に表現すると、「連続的な変形で移り合うものは同じ」であると考えます。ただし、ルールがあります。それは、「貼り付けたり、切り取ったりしてはいけない」ということです。あくまで、グニャグニャと変形させることで重なる図形同士を「仲間」だとみなすのです。
この世界では、裏表のない「メビウスの帯」や、壺の内部と外部がつながっている「クラインの壺」、さらに不思議な「射影空間」など、常識を覆すような図形がたくさん登場します。

3.12月開催!マストークでトポロジーの神秘に触れる
そんな不思議で面白いトポロジーの世界を、もっと深掘りしてみませんか?
2025年12月に、トポロジーをテーマにしたトークライブ(マストーク)を開催します!専門的な知識がなくても楽しめるよう、岡本が熱く、わかりやすく語り尽くします!さらに、本編の前にガイダンス回も開催します。「いきなり本編はハードルが高いかも…」という方は、まずはこちらのガイダンス回でトポロジーの雰囲気を味わってみてください!
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<文/ 岡本健太郎>



