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ベルヌーイ分布とは【統計学をやさしく解説】

公開日

2023年1月7日

更新日

2023年1月7日

ベルヌーイ分布とは

ベルヌーイ分布とは、離散型確率分布の一つでありベルヌーイ試行の確率を表しています。ベルヌーイ試行とは試行に対しての結果がちょうど\(2\)つであるような試行であり、コインの裏表やゲームの勝敗などが含まれます。ベルヌーイ分布では試行によって発生する\(2\)つの事象に対してそれぞれ確率変数\(X=\){\(0,1\)}と割り当てます。多くの場合、確率変数\(X=1\)となるのは勝利した場合や表が出た場合に対応します。また、\(X=1\)となる確率を\(p\)と置き、これがベルヌーイ分布のパラメータとなります。

具体的には、ベルヌーイ分布の確率密度関数は以下のように表されます。
\(f_X(x)=P(X=1)=p\)
\(f_X(x)=P(X=0)=1-p\)
その他すべての\(X\)で\(P(X)=0\)

また、ベルヌーイ分布の累積密度関数は以下のように表されます。
\(F_X(x)=0 X<0         \)                                                                                             \(F_X(x)=1-p 0≤X<1                \)                                                                  \(F_X(x)=1 X≧1               \)

ベルヌーイ分布の例

上で紹介したように、ベルヌーイ分布はコインの裏表やゲームの勝ち負けといった事象を表現するために用いられます。ベルヌーイ分布のパラメータ\(p\)は\(X=1\)に対応する事象の起こりやすさを表しますが、これを決定する様々な考え方があります。例えば、サッカーの試合であれば相手の強さやコンディション、相性などによって確率\(p\)が決定します。また、当たりクジとハズレクジが入った箱で当たりクジを引く確率が\(p\)だとすると、\(p\)は当たりクジの本数とハズレクジの本数の比によって決定されるでしょう。

ベルヌーイ分布の統計量

このセクションでは、ベルヌーイ分布の期待値、分散、モーメント母関数、確率母関数について導出を説明します。

ベルヌーイ分布の期待値は\(p\)です。
\(E(X)=\Sigma^1_{k=0}kP (X=k)=0*P(X=0)+1*P(X=1)=1*P(X=1)=p\)
以上のように、\(X=0\)と\(X=1\)の場合のみ考えればよいため簡単に計算できます。

次に、ベルヌーイ分布の分散は\(p(1-p) \)です。
分散と期待値の関係:\(V(X)=E(X^2)-E(X)^2\)を用いると、
\(E(X^2)=\Sigma^1_{k=0}k^2 P(X=k)= 0^2*P(X=0)+1^2*P(X=1)=1*P(X=1)=p\)
\(E(X)=p\)
より、\(V(X)=p-p^2=p(1-p) \)となります。

ベルヌーイ分布のモーメント母関数は\(1-p+pe^t\)です。
\(E(e^{tX})=\Sigma^1_{k=0} e^{tk} P(X=k)=e^{t*0}*P(X=0)+e^{t*1}*P(X=1)=e^0*(1-p)+e^t*p=1-p+pe^t\)となります。

このようにして、ベルヌーイ分布の統計量やモーメント母関数は\(X=0\)の場合と\(X=1\)の場合を足し合わせることで求められるため、いずれも簡単に計算することができます。

まとめ

ベルヌーイ分布の性質や統計量・モーメント母関数は二項分布や負の二項分布、ファーストサクセス分布など多くの離散型分布の考え方に応用されます。ベルヌーイ分布は確率分布のなかでも解釈が簡単で、計算が容易という特徴があります。ベルヌーイ分布をしっかりと理解して、その先の統計学の第一歩としましょう。

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<文/須藤>

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