コロナの感染確率とゼロリスクへの向き合い方
公開日
2020年6月7日
更新日
2020年6月7日
緊急事態宣言が徐々に解除され、都内でも解除から10日ほどが経ちました。街は少しずつ日常を取り戻しつつあります。コロナウイルスの新規感染者数状況も少し落ち着いてきてはおりますが、いつ第二波がきてもおかしくない状態ではあります。決して安心ができない日常で心が疲弊してしまっている方も多いかもしれません。
「いつまた感染者が増えてしまうのか?」
「第2波の時期はいつか?」
「県外に旅行にいけるのはいつか?」
「海外旅行に安心していけるのはいつ頃になるのか。」
様々な日常への不安、将来が読めない不安が襲ってきてしまう方も少なくありません。
逆に、意外と感染者数は少ないから大丈夫!と思っている方でも、自粛活動が続けば、一部の方を除けばほとんどの業種・業界に多大な影響が出てしまっていることでしょう。弊社でもオンライン教室が既に多くの方の問い合わせをいただいており、zoomを用いたオンラインセミナー・個別授業が主流になっていくのかもしれません。これも正直なところわからず、不確定な状況ではあります。
今回はコロナの「感染確率」と「ゼロリスク」について他の事例も参考にしながら考察してみたいと思います。
この記事の主な内容
ゼロリスクへの認知
さて、コロナウイルスについて、「ゼロリスク」を過敏に感じ取る大きな社会不安を感じています。
「外でも常にマスクをつけなくてはいけない。」「海水浴は控えなければならない。」「県外にいってはならない。」
など、過剰ともいえる自粛活動も緊急事態宣言中に実施されました。
もちろん、リスクはなるべくゼロにしなければいけません。しかし、人が生きている限り、経済活動をしている限り、ゼロにはできません。人とのかかわりの中で我々は生きているわけですから、どこまでリスクを下げられるか、具体的な数値みたいなものが必要になってくるわけです。
例えば、1000万分の1だったら比較的安全と言える、とか、100分の1ならかなり危険とか。
喫煙に対するがんリスクはどのくらいか?
まずはこんな問題を考えてみます。たばこを吸っていることにより、がんになるリスクはどのくらい大きくなるか(※1)。
実は、1.5倍となっています。
たばこはあれだけ危険というニュースもありながら、1.5倍の違いでしかないというのも驚いた方も多いのではないでしょうか。(※日本のがん死因の第一位を占める肺がんについては、相対リスクは4~5倍とのことで、特に喉頭がんでは少なくとも10倍以上と考えられています。)
このたった、1.5倍をどう考えるかは人によることでしょう。少しでもリスクを避けたいなら、喫煙しない生活を試みることは大切です。では、コロナは生活環境の違いによってこの1.5倍の違いはもたらされるのでしょうか。
餅が喉につまって搬送されるリスクを計算する
次に、餅を喉に詰まらせるリスクを考えてみます。(※2)
高齢者の話ではありません。若い方、20代の方でも餅を喉に詰まらせるリスクがあります。意外なことに、お餅を喉につまらせるのは、高齢者だけではなく、若い人も十分餅を喉につまらせる可能性を持っています。東京都では、過去5年間で4人となっています。東京に住んでいる20代は約170万人(※3)となっていますから、1年間に、餅を喉に詰まって緊急搬送される確率は、約200万分の1です。
さて、どう思うでしょうか。
もしかすると、いや、たったの200万分の1でしょ?と思うかもしれません。・・・そうです!そういう風に確率的に感染リスクを冷静にとらえていくことが大切なのです。ゼロではないのですが、確率は大きくありません(笑)同様に、日本人に1億人に1人が感染していたら「日本はやばい状況」と言えるのでしょうか。仮に1人だったとして、その一人になることを怖がるのはちょっとナンセンスと言えます。1億人に一人は極めて低い確率です。であれば、もっと様々なリスク、就職・転職や生活習慣、病気、事故など様々なずっと大きな確率で起こるリスクにもっと重点を置きながら考えたほうがよいでしょう。
コロナに感染する確率はどういう生活環境であれば高いのか
では、コロナウイルスに感染する確率はどのくらいなのでしょうか。10万分の1なのでしょうか、それとも、1万分の1なのでしょうか。(ちなみに、10万分の1と1万分の1という表現でも10倍違います。全く違うものです。)
先ほどの餅の事例で考えていきます。餅を喉に詰まらせるリスクを「ゼロ」にする方法を知っていますか?それは、十分警戒することではなく、「お餅をそもそも食べなければよい。」ということです。コロナウイルスでも全く同じことが言えます。つまり、危険な行為、クラスターが発生しうる状況などはある程度明らかにはなっているので、その状況を避けるように行動することは重要です。
特に夜のお店で頻発していると最近ニュースになっています。夜のお店の代表格でもある歌舞伎町など、顔を接近させて飲食を行うなど、接触感染、飛沫感染が極めて起きやすい環境などがあります。おそらく感染リスクは、夜の街に繰り出してしまえば、おそらく感染リスクは日常生活をふつうに歩むよりもずっと高くなると考えられます。歌舞伎町の1日の来訪者は約40万と言われており(※)、仮にその半分が5月終わり頃、訪れていたとすると、東京都民約1400万人に対するインパクトは約1.5%となります。感染者数の1.5%が歌舞伎町原因であってもおかしくはありませんが、実際はそれよりもずっと高い確率となっています。
6月6日には、東京の感染者26人中12人が歌舞伎町のホストクラブで働く男性が感染というニュースがありました。もちろん十分なデータがないのでわかりませんが、最低でもリスクは数倍~10倍以上はありそうです。(ここの計算はかなり大胆な計算ですのでお許しください。)
ある意味、自粛を続けて感染が極めて起きにくい状況を長期間作っていたとしても、リスクの高い環境に飛び込んでしまえば、それだけで自宅にいるよりも一気に数倍、数十倍もの感染リスクが高まってしまうと考えられます。
元々を言ってしまえば、家にいても感染リスクは0ではありません。コロナの感染者の家が近くにあったとき、ちょうど換気をしていたならば、その空気が家に入ってきてしまうかもしれません。でも、そんな状況を恐れている人はあまりいないはず。ごく自然にその確率は非常に小さく無視してもよいとしているからです。
確率が10倍、100倍という度合いに応じて危険対策の度合いを変えることが大事で、すべて危険にしてしまえば、安心して暮らすことがままなりません。コロナの戦いは長期戦であることが多くの専門家の方が口にしている通りです。ずっと緊張感のある日常はきっとつらいはず。長期戦には安心感のある環境が必須なのです。
会う人数にも(おそらく)気を付けたほうがよい
あと、会う人数などもこれから大きな焦点、ファクターになってくると思います。単純に言えば、1人会う場合のリスクを「1」とすると、10人で会えば、リスクは「10」です。10倍も違います。(正確には、座る席によって、相手とのソーシャルディスタンスが保てているかなどといった状況次第で、10よりは小さいと思います。)10人や20人といった人数がおおければ多いほど、感染者が混じっているリスクも高くなるので、リスクが高まります。会うのは一人、だとしても、3密(密閉、密集、密接)を満たす条件のお店に10人いれば同様です。人とリアルに会うのであれば会う人数は1人、2人などなるべく少ない方がよいでしょう。せっかく自粛を続けてきたのであればリスクの高い環境は避けたいところですよね。
本当は、場所や人数によるリスクの高さみたいなものが指標としてどこかにまとめてあればよいのですが。(実際に指標を出すのは難しいことと承知しておりますが)
まとめ
以上、さまざまな数字のロジックなどを用いましたが、繰り返しブログでもお伝えさせていただいている通り、このコロナウイルスの恐ろしいところは、指数関数的に患者数が一気に、爆発的に増加してしまうことであり、リスクが高くなければ必ず安全、OKと、単純な結論は出ませんが、あくまで参考としていただきながら、リスクの高いところをできる限り避ける、低い環境をつくることを徹底しながら、日常を安心して過ごしていただけたらと思います。
<文/堀口 智之>
参考リンク
※1 国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター>科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究>喫煙と全がんリスク
※3 東京都-住民基本台帳による東京都の世帯と人口(町丁別・年齢別)
※4 事例番号 053 官民連携で治安確保と文化の創造・発信 (東京都新宿区歌舞伎町)※pdfファイル
※ 前回のコロナ関連の記事