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ビジネスパーソン向けAI入門:第3回「ChatGPTユーザーに贈る次世代AIツールDifyの魅力」

公開日

2025年5月28日

更新日

2025年5月23日

Difyで仕事はこう変わる

 ビジネスパーソン向けAI入門第3回の本記事では、今注目されているAIツール:Difyについて解説していきます。ChatGPTを使って情報収集や文章作成を行っている皆さん、AIエージェント「Dify(ディファイ)」をご存じでしょうか。ChatGPTは優秀な相棒ですが、業務に深く組み込んで効率化・自動化するには少し物足りないと感じたことはありませんか?本記事では、より業務に直結したAI活用を可能にする注目のDify について、できるだけわかりやすく紹介します。

▽第1回はこちら▽

ビジネスパーソン向けAI入門:第1回「AIとは何か?ビジネスパーソンのための基礎知識」

▽第2回はこちら▽

ビジネスパーソン向けAI入門:第2回「AIエージェントとは何か?ビジネスで使える最新AIツール徹底解説」

Difyとは何か?簡単に言うと

 Difyは、プログラミングの知識がなくても直感的に使えるAIアプリ開発プラットフォームです。オープンソースで提供されており(つまり誰でも無償でソースコードを利用できます)、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)を活用した高度なAIアプリを手軽に構築できます。例えば、チャットボット、文章や画像の生成ツール、データ分析ツールなど様々なアプリケーションを組み合わせて、ユーザーの思った通りのタスクを行ってくれるアプリを簡単に作成・運用できるのが特徴です。 Dify最大のポイントは、その使いやすさと多機能さにあります。ウェブ上の専用画面でブロック(部品)をドラッグ&ドロップしていく感覚でAIのワークフロー(処理手順)を組み立てられるため、プログラミングを行わずにAIエージェントを設計可能です。専門のエンジニアでなくても操作できるよう工夫されており、非エンジニアのビジネスユーザーでも高度なAIアプリを作ることが出来ます。

Difyで何ができるのか?~業務効率化・自動化の可能性~

 Difyを使うと具体的に何ができるの? ChatGPTとの違いは?――そんな疑問を持つ方も多いでしょう。Difyは、一言でいえば「自社専用のChatGPT的なAIツールを作れるプラットフォーム」です。単なるチャットbotに留まらず、業務フロー全体を自動化するエージェントを構築できる点が大きな強みです。 特徴をいくつか挙げてみます。

複数のAIモデルに対応:
DifyはOpenAI GPTモデルはもちろん、Anthropic社のClaudeやGoogle Gemini等、さらには画像生成のStable Diffusionまで、様々なAIモデルを裏側で利用できます。これらを一つのプラットフォーで組み合わせられる柔軟性が魅力です。GPTモデルで文章を生成して、挿絵はStable Diffusionで作る、といった一連の処理を自動で行わせることもできます。

ナレッジベース機能(社内データの活用):
RAG(Retrieval-Augmented Generation; 検索拡張による生成)と呼ばれる仕組みを作ることもできます。RAGとは社内規定のような独自知識に基づかせてAIに回答をさせる技術のことです。例えば社内の業務マニュアルや業務規程などをアップロードしておけば、その内容に基づいて質問に答える社内専用チャットボットを作成可能です。最近様々なサービスで見えてきた、社内サービスについて回答させるAIチャットボットサービスもこのRAGの仕組みを使って作られているものです。

外部ツールとの連携:
Difyは社内データだけでなく、インターネット上のサービスや社内システムとも繋げられるよう設計されています。例えばGoogle検索やSlack、メールサービスなどをDifyエージェントに組み込むことで、AIが自律的にウェブ検索して最新情報を取得したり、Slack上で自動応答したりするといった動きも可能です。社内の顧客管理システムやスケジュール管理ツールと連携し、AIがデータを読み取って処理することも考えられます。これにより「調べて入力して報告する」といった一連の作業を丸ごと自動化することもできるでしょう。

ワークフローの自動化(エージェント機能):
ChatGPTはユーザーとの対話が基本ですが、様々な一連の行動を連続で行うことは難しいです。その点Difyでは複数のタスクを順番に実行するワークフローを構築できます。例えば「1. ユーザーから問い合わせを受け取る → 2. 社内データベースを検索する → 3. 必要ならネットから最新情報を取得する → 4. 回答を生成して提供する」といった流れを一つのエージェントに組み込んで実行できます。複雑な処理をいくつもつなぎ合わせ、一連の業務プロセスをAIに代行させることができるわけですね。

これらの機能により、人が逐一操作しなくても、条件に応じて次のアクションを判断して実行する自律エージェントを作成することが出来ます。その活用方法は無限大で、「○○ができたらいいな」というアイデアを形にしてくれるのがDifyなのです。

Difyが仕事にもたらす変化:どんな業務がどう変わる?

 Difyを導入すると具体的にどんな業務が楽になるのか、いくつか例を挙げてみましょう。営業や事務、サポートなど、幅広い職種でAIエージェントが活躍できるでしょう。

営業部門のサポート:
顧客情報の整理から提案書の下書き作成、日々のデータ入力まで、営業現場には時間のかかる事務作業が山ほどあります。Difyを使えば、これら手間のかかる業務を生成AIに繋いで自動化することが可能です。例えば、営業アシスタントAIが顧客から聞いたヒアリング内容を自動で要約し、提案書のドラフトを用意してくれるかもしれません。データ入力も、メールやフォームからAIが情報を抜き出してシステムに登録する、といったことが期待できます。「AI秘書」のような存在が営業担当者を支援し、より多くの時間を顧客対応や商談準備に割けるようになるかもしれません。

事務作業・情報整理の効率化:
総務や経理などのバックオフィス業務でも、Difyエージェントは力を発揮します。例えば会議の後、Zoomの文字起こしデータから議事録を自動作成するAIを考えてみてください。Dify上で「テキスト抽出→要点抽出→フォーマット整形」といったワークフローを組めば、会議終了後に録画データさえ用意すればAIが素早く議事録をまとめてくれます。発言の聞き取りミスや不要な部分をフィルタリングし、議題ごとに整理されたレポートが得られるでしょう。これまで人手で何時間もかけていた資料作成やデータ集計も、AIが下準備を代行してくれるため確認・修正だけで済むようになります。大量のテキストから重要ポイントを抜き出したり、複数ファイルの情報をまとめたりする情報整理業務が劇的にスピードアップすると期待できます。

カスタマーサポートの強化:
お客様からの問い合わせ対応に追われていませんか?Difyを使えば、自社のFAQやナレッジベースを学習したチャットボットを構築し、24時間体制で問い合わせに自動対応させることが可能です。例えば製品の使い方やトラブルシューティングの質問に対し、AIが即座に回答を返します。人間のオペレーターはAIでは対処できないイレギュラーなケースに専念できるため、サポート業務全体の効率が大幅向上します。顧客を待たせる時間も減り、満足度向上にもつながるでしょう。社内向けのヘルプデスクとしても活用でき、社員からの質問(「◯◯の手続き方法を教えて」など)にAIがマニュアルを参照して答えるといった運用も可能です。

 以上のように、Dify導入により様々な部門・業務で「AIアシスタント」が実現します。雑多なルーチンはAIが肩代わりし、私たち人間はより創造的なコア業務に集中できるようになるでしょう。「自分にもそんなことができるの?」と思われるかもしれませんが、Difyならそれが意外に簡単にできてしまうのです。

実際に進む導入事例:どんな企業が使っている?

 「とはいえ、本当に使いこなせるの?」という声もあるかもしれません。もちろんツールを使いこなすにはある程度の勉強が必要となるかもしれませんが、現在既にDifyを活用し始めている企業や組織も出てきています。

 たとえば、日本最大級のグルメサイト「食べログ」では、社内でのAI活用にDifyを取り入れています。技術ブログによると、Dify Community (日本版コミュニティ)の立ち上げにも参画しており、単に社内利用するだけでなく国内コミュニティ形成にも関わっているそうです。大規模Webサービス企業でも注目されるその姿勢から、Difyの実用性と将来性がうかがえます。引用:Difyの全社活用について、Dify Meetup Tokyo #1で発表しました

 また興味深いことに、東京都もDifyの活用を検討中です。2024年末に開催された「東京都AI戦略会議」の資料にDifyの名前が登場しています。東京都は、AI活用の推進にあたり、他の自治体や国とも連携し、オープンな議論と成果の共有を進める方針だそうです。
引用:youtube_東京都AI戦略会議 第1回

 このように様々な領域でAIエージェント活用の期待が高まっており、それらを気軽に作ることが出来るという意味でDifyが注目されているのでしょう。今やAIはを使うことは一般的になってきたように思えますが、これからはAIを自分で作ることも一般的になっていくかもしれないですね。

最後に

 いかがでしたでしょうか? Dify は、ChatGPTでAIの便利さを知ったビジネスパーソンにとって、次なる一歩としてうってつけのプラットフォームです。最初は小さなタスクでも、Difyエージェントに任せてみることで、「こんなことまでAIにできるんだ!」という発見があるでしょう。

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