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データ分析に向いているのは?今更聞けないプログラミング言語「R」と「Python」の違い

公開日

2021年6月16日

更新日

2021年6月16日

データ分析を行うプログラミング言語といえば、多くの方が「R」と「Python」をイメージされるでしょう。実際に多くのデータサイエンティストがこれらの言語を用いており、例えば世界中のデータサイエンティストが集まるコンペティションプラットフォーム「Kaggle」において、参加するほとんどの方がこれらの言語を利用しています。

データ分析を学び始めた方から、「RとPythonは何が違うのか?」「どちらから始めたらいいのか?」というご質問をとてもよくいただきます。そこで、今回はこれらのプログラミング言語の特徴と、どういった点が異なるのか簡単に説明してみようと思います。

そもそも、プログラミング言語の違いって何?

現在世界には数百種類のプログラミング言語があります。言語によって記述しやすさや習得の難易度、使いやすい場面などが異なり、プログラマーは目的にあったものを選んで開発します。近年のデータ分析においては、「R」と「Python」がよく用いられています。

R言語とは?

R言語は1992年に「S言語」の派生として開発されました。統計学の英語「Statistics」の頭文字をとって名付けられている通り、主に統計解析の計算を行うために開発された言語です。S言語はかなり難易度が高く習得に時間がかかる言語だったため、大学院生など駆け出しの研究者がデータ分析に利用できるようにR言語が開発されました。アルファベット順で「S」の1つ手前ということで、「R」言語と名付けられています。

プログラミング言語R。

Python言語とは?

Python言語は1991年に「C言語」をベースに開発された言語です。C言語は現代でもアプリケーションやゲーム開発を含めたあらゆる用途に利用される一方、文法構造や仕組みが難解で初心者にとってやや敷居が高い言語です。そこでPython言語は、より簡単に記述できるような文法を採用し、より手軽に利用できる言語として開発されました。日本では来年から全国の高校生向けに始まるプログラミング教育でPython言語が採用されており、今後ますます人気が増すと考えられます。

プログラミング言語Python。

RとPythonで共通する部分は?

基本的にデータ分析で行えることについて、RとPythonで行えることはほとんど変わりません。データの集計やグラフの作成、統計学、機械学習など、どちらの言語でも問題なく利用することができます。さらに高度で専門性が高い分析に関しては、研究で利用されることが多いR言語の方がやや充実していると言えますが、研究機関でない限り使うケースはほとんどないでしょう。強いて違いを挙げるなら、データ分析の中でも人工知能の開発についてはややPythonが使用されることが多く、人工知能の開発を視野に入れる方にとっては現状Pythonがやや便利といえます。

また、プログラミング言語としての難しさも、ほぼ同じです。いずれも書いたプログラムを一行ずつ実行できるスクリプト言語であり言語仕様も似ている部分が多く、データ分析を行うために記述するコードの量もさして変わりはありません。プログラミングを書くための準備作業である環境構築についても、手間はほぼ同じです。

R言語のメリットは?

R言語の強みは何かというと、グラフやレポートの作成が非常に簡単で出力も綺麗なことが挙げられます。元々研究者向けに開発されているということもあり、そのまま論文に利用できるものが簡単に作成できます。グラフ作成に使用されるライブラリ「ggplot2」や、分析結果をレポートにまとめることができる「Rmarkdown」は、分析結果を報告する上で非常に便利です。

R言語のライブラリ「ggplot2」で作成したグラフ。(データは書籍「FACTFULNESS」より引用)

Python言語のメリットは?

Pythonを使用する利点は、汎用的なC言語をベースにしていることによって「他のアプリケーションやシステムとの連携が容易」であるということです。データ分析を行った際に、分析するためのデータをインターネットから取得したり、作成した機械学習モデルをシステムに組み込んだりする場合があります。Python言語は俗に「Glue言語(Glue:糊づけ)」とも呼ばれ、分析の前後の部分もまとめて1つの言語で行うことができるのは実際に活用する上で非常に大きなポイントです。

おわりに

よくご質問をいただく「RとPython、どちらを学んだらいいですか?」の結論としては、これからデータ分析やプログラミングを学ぶ方にとってはどちらも大きな差はない、ということになります。どちらの言語も基本的な分析はも十分可能ですし、片方が書けるようになれば片方を学ぶのは格段に楽になります。どちらも手軽に書いて試すことができるので、実際に触ってみて気に入ったものを学んでみるといいでしょう。

プログラミング言語を使ったデータ分析の進め方については、こちらの無料セミナーにて詳しく説明しておりますのでぜひ一度ご参加ください。

Pythonデータ分析超入門

Rデータ分析超入門

RやPythonに興味がある方は、こちらの書籍が2つの言語を見比べる上でも参考になるのでおすすめです。


RとPythonで学ぶ[実践的]データサイエンス&機械学習【増補改訂版】 有賀 友紀(著), 大橋 俊介(著) 技術評論社

それではごきげんよう。

<文/岡崎 凌>
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