個別授業

モデルプラン:【発展】110分×6回

ベイズ統計学の基礎

公開日

2021年7月30日

更新日

2026年7月26日

ベイズ統計学の基礎|「検査で陽性」は「病気」を意味しない

精度の高い検査で陽性と出ても、実際に病気である確率が半分ほどにとどまることがあります。直感が外れるのは、もともとの割合を計算に入れていないからです。ベイズ統計は、事前の情報と新しいデータを組み合わせて確率を更新する考え方を扱います。

受講内容

この講座では、ベイズ統計を公式の暗記からではなく、実際に人数を数えてみると直感がどう外れるかという体験から入り、事後分布の計算や実務での使い方まで進みます。

よく使われる例で確かめてみます。ある病気の有病率が1%、検査の精度が99%だとします。この検査で陽性と出たとき、本当に病気である確率はどれくらいでしょうか。多くの方が99%前後と答えます。ところが1万人で数えると景色が変わります。病気の人は100人、そのうち99人が正しく陽性になります。一方、健康な人は9900人いて、その1%にあたる99人がまちがって陽性になります。つまり陽性と出た198人のうち、本当に病気なのは99人――およそ50%です。もともと病気の人が少ないぶん、健康な人の誤判定が同じくらいの人数になってしまうのです。

1万人で数えて検査陽性のうち本当に病気の人が約半分になることを示したベイズの定理の図解

授業ではこの感覚を出発点に、条件つき確率とベイズの定理を整理し、事前分布・尤度・事後分布という枠組みへ進みます。ベータ分布や正規分布を使った共役事前分布、信用区間の読み方、そしてMCMCによる数値計算までを、目的に応じて扱います。頻度論の検定との考え方のちがいも、どちらが正しいという話ではなく「何を確率とみなすか」の立場のちがいとして丁寧に比べていきます。RやPythonでの実装をご希望の場合は、そこまでご一緒します。

この講座が効いてくる場面

  • 医療・検査の読み解き
    陽性的中率や偽陽性という言葉の中身が、人数のイメージとして理解できます。健康診断や人間ドックの結果を、必要以上に恐れず受け止められるようになります。
  • 少ないデータでの判断
    データが十分に集まらない場面でも、過去の知見を事前分布として活かせます。新商品や新規事業のように前例が少ない領域で力を発揮します。
  • 機械学習・迷惑メール判定
    ナイーブベイズ、ベイズ最適化、ベイジアンネットワークなど、応用は広い範囲に及びます。仕組みがわかると、なぜその手法が選ばれているのかが見えてきます。

ベイズの考え方は、統計検定準1級・1級の出題範囲であると同時に、機械学習の確率モデルや意思決定理論を理解するための共通言語でもあります。

なお、受講に前提知識は必要ありません。条件つき確率の意味から、人数を数える形で確認して進められます。


よくある質問

Q.ふつうの統計(頻度論)を学んでからでないと、ベイズには進めませんか。
A.そんなことはありません。むしろ「確率を信念の度合いとして扱う」というベイズの発想のほうが直感に近いと感じる方も多くいらっしゃいます。両者のちがいは授業のなかで比べながら整理しますので、どちらから入っても大丈夫です。

Q.事前分布は主観で決めてよいのですか。恣意的になりませんか。
A.もっとも本質的なご質問です。事前分布の置き方で結論が変わり得るのは事実で、だからこそ根拠を明示し、複数の事前分布で結果がどう変わるかを確かめる(感度分析)のが実務の作法です。授業ではその手順まで扱います。

Q.積分やMCMCが出てくると聞き、身構えています。
A.目的に応じて深さを調整します。考え方の理解が目的であれば、人数を数える形と図で十分に到達できます。実装まで進みたい場合に、MCMCを道具として導入します。

Q.仕事でどう使えるのか、具体的なイメージが持てません。
A.初回に、扱っていらっしゃるデータや意思決定の場面をうかがいます。少数のデータから判断を求められる場面、過去の知見を織り込みたい場面がベイズの得意分野ですので、そこに合わせて例を組み立てます。

※内容はお客様のご要望等によって変更することがあります。

受講対象

・検査結果や確率のニュースを正しく読み解きたい方
・データが少ない場面での意思決定に統計を使いたい方
・頻度論とベイズの考え方のちがいを整理したい方
・機械学習の確率モデルを基礎から理解したい方
・統計検定準1級・1級の受験を考えている方

必要な数学知識

発展

モデルプラン

【110分×6回】

1) ベイズの定理〜感度・特異度、スパムフィルターなど〜
2) 確率分布の計算準備〜期待値、最頻値、分散など〜
3) ベイズモデル〜ベータ二項、ガンマポアソンなど〜
4) ベイズ推定法〜MAP推定、信用区間など〜
5) サンプリング〜MH法、ギブスサンプリング など〜
6) ベイズ統計応用〜階層ベイズ、ベイジアンネットワークなど〜

参考テキスト

入門ベイズ統計―意思決定の理論と発展
予測にいかす統計モデリングの基本(樋口知之/講談社)
予測にいかす統計モデリングの基本―ベイズ統計入門から応用まで

担当講師

※日程により一部講師が変わる事があります。

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