【AIエージェント解説】Difyで有名数学者チャットボットを作ってみよう!
公開日
2025年6月11日
更新日
2025年6月4日

昨今、大規模言語モデルを活用したアプリ開発が注目されています。Difyは、そんなAIアプリをノーコードで手軽に構築できるツールです。専門知識がなくても直感的な操作でアプリを設計することができるため、今ビジネス現場で注目されています。
本記事では、Difyを使ったAIチャットボット作成の手順を紹介します。テーマは「有名数学者になりきってユーモアを交えながら質問に答えるチャットボット」です。
18世紀の天才数学者レオンハルト・オイラーになりきり、ユーザーからのどんな質問にも数学者らしいウィットに富んだ回答を返してくれるAIを作ってみましょう。ChatGPTで遊んだ経験があれば、Difyを使うことで自分だけの個性派AIを作れる楽しさを感じていただけるでしょう。
Difyって何?という方は以下の記事をご覧ください。
ビジネスパーソン向けAI入門:第3回「ChatGPTユーザーに贈る次世代AIツールDifyの魅力」
この記事の主な内容
Difyの特徴と基本操作
Difyの魅力は何といってもノーコードで高度なAIアプリを構築できる点です。Difyアカウントを登録すれば無料で試すことができるため、初学者では始めやすいことが特徴です。
では早速Difyの基本的な使い方を見ていきましょう。まずは公式サイトにアクセスし、アカウント登録を行います。
Dify公式サイト
右上の「始める」ボタンからアカウント登録をしましょう。Difyクラウド版はGitHubまたはGoogleアカウントで簡単にサインアップ可能で、登録を行うと200回分のOpenAI モデルを無料で試すことができます。
アカウントが登録できたらOpenAIモデルをインストールしましょう。
図のように設定をクリックし、そこからOpenAIモデルプロバイダーをインストールします。
これでOpenAIのモデルプロバイダーがインストールされました。これで無料で200回分のOpenAIのモデルを利用することができます。
ちなみに、OpenAIとかモデルプロバイダーとか無料200回とか、何を言っているんだ?という方もいらっしゃると思うので、そのあたりを簡単に説明しておきます。
そもそもDifyとはAIを使ったアプリケーションを作ることができるツールですが、Dify自体がAIモデルではありません。AIモデルとはChatGPTのように文章を入力するとそれに応じた返答が返ってくるモデルのことで、これはOpenAI社が提供するGPTモデルや、Anthropic社が提供するClaudeや、Googleが提供するGeminiなどを指します。
Difyとはこれらのモデルを貸してもらって自由にアプリケーションを作るツールなのです。したがって、本来はOpenAI社やAnthropic社のようなモデルプロバイダーに使用料を払って、モデルを借りてアプリ開発をするのですが、Difyのアカウントを作成した際に、サービスとして200回分のOpenAI社のGPTモデルを使うクレジットが配布されるというわけです。先ほど行ったのはOpenAI社のモデルが使えるようにする設定だったわけです。
いずれにせよこれで初期設定は終了です。ここからアプリを作成してみましょう。
驚くほど簡単なアプリ開発
いよいよアプリを作成しましょう。 Difyのホーム画面で「最初から作成」をクリックし、アプリ名(例:「テスト」)を入力、アプリタイプとして「チャットボット」を選択します。
これでアプリを作成することができました。このアプリはOpenAI社のGPT4o-miniモデルを使用したチャットボットとなっています。右下の欄にテキストを入力するとChatGPTのように回答を返してくれます。
たったこれだけでチャットボットを作ることができましたが、これではただのChatGPTと変わりがありません。Difyが面白いのは、このGPTモデルを自分好みに作り替えることができる点にあります。ここからチャットボットの挙動を操作してみましょう。
プロンプトの設計
チャットボットの振る舞いは、左の画面のプロンプトというところで制御できます。プロンプトとは、AIに対する役割や口調、回答内容のガイドラインを示す文章のことで、Difyでは、このプロンプトを工夫することでAIの回答の専門性やトーンをコントロールします。例えば以下のようなプロンプトを入力してみましょう。
「どんな質問にも丁寧に、博士のような振る舞いで答えてください。語尾に必ず「~なのじゃ」とつけて話してください。」
するとAIはユーザーが指定した依頼を守ってふるまってくれます。
もう少しチャットボットにキャラクターを付けてみましょう。例えば「有名な数学者として振る舞いユーモアを交えて答える」というキャラクター設定を、プロンプトで設計してみます。
難解な数学用語もできるだけ噛み砕いて、数学の魅力が伝わるように楽しく説明します。
常に親しみやすい語り口調で、時にはジョークも交えながら回答してください。
これでオイラーチャットボットが完成しました。いくつか質問を投げかけてみます。
質問1「数学って何に役立つんですか?」
オイラーになりきって?質問に答えてくれました。言っている内容はまともですがジョークのセンスは少し微妙です。。
(※これはオイラーになりきったAIですから、オイラーが寒いわけでは決してありません。)
質問2「無限って、本当にあるんですか?」
正しく数学についての議論がしたければこのようなキャラクター付けは良くなかったかもしれませんね。
最後にもう一つ。
オイラーは晩年視力がとても悪かったようですが、そのあたりを聞いてみます。
質問3「あなたは晩年視力がとても悪かったそうですが、数字は見えていたんですか?」
※こちらはオイラーの回答ではなく、あくまでもオイラーになりきっているAIの回答です。
回答は微妙なものもありましたが、Difyではこのように言葉(プロンプト)だけでAIの挙動を制御し、様々なアプリケーションを作成することができます。
今回は実験ということで実用的なものを作ったわけではありませんが、Difyを使えばアイデア次第で様々なキャラクターAIを作成できます。例えば歴史上の偉人になりきる教養チャットボットや、ファンタジー小説の登場人物になった対話AIなど、プロンプトを変えるだけで趣向を凝らしたチャット体験を生み出せます。ビジネスシーンにおいては、業務知識を持ったバーチャルアドバイザーや新人教育用のメンターAIを作ることも可能でしょう。
また、「自社のFAQを答えてくれるチャットボットを作りたい」といったニーズにもDifyは応えます。Difyには独自知識を連携する機能があり、社内ドキュメントや業務マニュアルを読み込ませることで、AIの回答をその範囲内に限定することができます。これを使えば社内FAQに即した回答だけを返すカスタマーサポートBotを作る、といったことも簡単です。
このようにDifyは操作が簡単で、拡張性も高いので、使いこなすことで業務効率化や新規サービス開発につながる強力なプラットフォームとなるでしょう。
おわりに
今回は、Dify入門ということで簡単なDify操作について解説しました。最新のDify情報を学べる以下のセミナーも開催していますのでご興味のある方はぜひチェックしてみて下さい。
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