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論理的思考術 帰納法と演繹法って何?

公開日

2020年7月22日

更新日

2020年7月22日

皆さんこんにちは。和からの数学・統計講師の川原です。

以前私は論理的な思考力を身に着けるための算数的思考力という記事をマスログで掲載しました。

論理的思考力に必須の算数的考え方とは?

本日はその論理的思考をもう少し深入りしてお話してみようと思います。

論理的思考とは?

論理的思考とはロジカルシンキングとも呼ばれ、物事を客観的に見て、矛盾や飛躍がないように道筋を立てて考える思考法のことです。その歴史は古く、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが三段論法を中心に論理学を始めたことに由来すると言われています。

現代ではそのルーツを持つ論理学は米国の大手コンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーによってビジネス領域で使えるように体系化され、問題解決法のフレームワークとして広く活用されています。論理的思考を学ぶと、考えを整理することができるようになったり、考えた内容を分かりやすく人に伝えることができるようになったりとその恩恵は限りなく大きいです。そのとても大切な論理的思考の中に帰納法、演繹法という考え方があるのですが、本日はこれらがどういった考え方なのかを解説してみます。

帰納法・演繹法とは

皆さんは数々の可能性や事実をもとに何か結論を出すことがあると思いますが、その結論を導く際の考え方は大きく分けて2つの種類に分けることができます。それが帰納法と演繹法です。この2つの考え方は明確な違いがあるのですが、それを詳しく見ていきましょう。

帰納法とは次のような結論の導き方です。

①ソクラテスは死んだ

②プラトンは死んだ

③聖徳太子は死んだ

結論 よって人は必ず死ぬ

これはどのような推論を行っているかというと、①~③は具体的な事例です。これらに共通することを抽出して「人は必ず死ぬ」という一般的、普遍的な結論を導いています。つまり「具体的な数々の事実から、それらに共通する一般論や普遍的な法則を見つける」という方法が帰納法と呼ばれます。帰納法とは次の図のような構造をしています。

 

 

帰納法とは別に演繹法という結論の導き方もあります。これは別名「3段論法」とも呼ばれ、次のような結論の出し方です。

①野菜には栄養がある

②モロヘイヤは野菜である

結論 モロヘイヤには栄養がある

これは何をやっているかというと、①「野菜には栄養がある」という一般的なルールと②「モロヘイヤは野菜である」という具体的な事実から、「モロヘイヤには栄養がある」という具体的な事象に関する結論を導きだしています。つまり「一般論や普遍的な法則と具体的な事実から、具体的な事象の結論を導く」という方法が演繹法なのです。ここで①を大前提、②を小前提と呼んだりもします。演繹法は次のような構造を持っています。

演繹法と帰納法の関係

演繹法で使う大前提はどのようにして作られるのでしょうか?実はこの大前提は帰納法によって生み出されたものを使うことが多く、帰納法と演繹法は密接にかかわっています。次の例を見てみましょう。

①Aさんはクリスマスに彼女にプレゼント贈り忘れて1週間口を聞いてもらえなかった。

②Bさんは結婚記念日をすっかり忘れてしまい奥さんに怒られた。

③Cさんはホワイトデーに奥さんにお返しを忘れていて次の年からバレンタインチョコはもらえなかった。

④Dさんは仕事場から帰ってきて家の玄関の前で今日が奥さんの誕生日だったということを思い出した。

これからDさんの身にどんなことが起こるでしょうか?おそらくDさんは今日奥さんと仲良く過ごすことはできなさそうだということが予想できるのではないでしょうか。この推論は帰納法と演繹法の合わせ技となっています。

①~③までの具体的な事実から帰納法によって「女性は記念日を忘れられると怒る」という一般論が推論できます。そしてこの一般論を大前提として、④のDさんは奥さんの誕生日を忘れているという小前提から、演繹法により「Dさんは今日奥さんに怒られる」という結論が導かれます。

 

このように帰納法と演繹法はそれぞれが独立しているものではなく、お互いに関係しあっています。

これらの考え方はビジネスにおいても重宝されており、特にデータ分析と組み合わせることによってより高い信頼性を持つ結論を出すことができます。例えば次のような例です。

①アンケートによる市場調査では約7割の人が飲料水を日常的に購入している

②小売店のPOSデータより年々飲料水の売上は伸びてきている

③別のアンケート調査によると約8割の人が水道水を飲むことに抵抗があると答えている

④自社の次の新商品は飲料水である

これも上の例と同じく帰納法をもちいて、①~③より「飲料水の需要が高まってきている」という一般論が推論出来て、これと④から演繹法により、「自社の新商品は売れる」という結論を導き出します。

 

 

ここで大切なことは①~③までの具体的な事実の信頼性が低ければ出てくる結論も信頼性が低いものになってきます。また上記の①を「どんな飲料水を日常的に購入しているか」、②を「売上の伸び方はどのようなものか」、③「どんな人が水道水を飲むことに抵抗があると答えているか」のようにもっと詳しく見ることができれば、結論も「〇〇な飲料水が売れるだろう」というようにもっと詳しいものを出すことができるでしょう。このように個々具体的な事実を把握するデータ分析の力と組み合わせることでより大きな恩恵を受けることができるのです。

最後に

この帰納法と演繹法は日常生活で無意識に使っていることもあるのですが、これらの考え方を改めて見直して意識的に使えるようになると場面場面によって適切な結論が出せるようになります。「思考がまとまらない」、「言っていることが分からないとよく言われる」などというお悩みを抱えている方は一度論理的思考を身に着けてみるのはいかがでしょうか?また論理的思考につながるデータ分析も近年話題になっている領域です。興味ご興味ある方はぜひ下記無料セミナーにご参加下さい。

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(文/川原祐哉)

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