テキストデータ分析のキホン-第5回:問い合わせを整理したら“同じ問題が繰り返される理由”が分かった話【統計学をやさしく解説】
公開日
2026年2月3日
更新日
2026年2月27日
前回は、日報の自由記述を分析することで、
「忙しさの原因」が一部の作業に集中していることが分かったケースを紹介しました。
今回は、もう一つ多くの現場で頭を悩ませがちなテーマ、
問い合わせ・クレーム対応を取り上げます。
テーマは、こんな悩みです。
「同じような問い合わせが、何度も何度も来る」
この記事の主な内容
丁寧に対応しているのに、問い合わせが減らない
あるサービス企業のカスタマーサポート部門では、
問い合わせ対応に多くの時間が割かれていました。
・一件一件、丁寧に返信している
・対応品質に大きな問題はない
・それでも問い合わせ件数が減らない
担当者の実感は、こんなものでした。
「対応が悪いわけじゃない。
でも、同じ説明を何度も繰り返している気がする」
今回使ったデータは「問い合わせメールの文章」
今回使ったのは、次のデータです。
・問い合わせメールの本文(テキスト)
・件数:数百件
・期間:数週間〜数か月
内容はさまざまですが、
一つひとつ読むだけでは、全体像はなかなか見えてきません。
まずやったこと①:内容ごとに「ざっくり分ける」
最初に行ったのは、問い合わせを細かく分析することではありません。
まずは、
・どんな種類の問い合わせがあるのか
・大きく分けると何パターンくらいか
を、ざっくり整理しました。
専門用語では「分類」と呼ばれますが、
ここではラベルを付けるくらいの感覚で十分です。
まずやったこと②:よく出てくる内容を数えてみる
次に、分類した問い合わせが、
それぞれどれくらいの件数あるのかを見てみました。
すると、意外な偏りが見えてきました。

【図1:問い合わせ内容をカテゴリ別に集計した棒グラフ】
見えてきたのは「個別対応では解決しない問題」
集計して分かったのは、
・問い合わせの多くが、同じ数種類の内容に集中している
・特定の操作やタイミングで、つまずきやすい
ということでした。
つまり、
一人ひとりの質問は違って見えても、
原因はほぼ同じ
だったのです。

【図2:複数の違って見える問い合わせ、不満の共通点を見つける】
似た問い合わせをまとめると、「仕組みの問題」が見えてくる
さらに内容を整理すると、
・説明が分かりにくい
・操作の流れが想像しにくい
・事前に知っていれば防げる内容
といった特徴が浮かび上がってきました。
実際にやった改善は「対応を頑張ること」ではなかった
分析結果を受けて、現場が選んだ対応は、
「もっと丁寧に返信する」ことではありませんでした。
代わりに行ったのは、
・よくある質問をFAQとして整理
・問い合わせ前に目に入る導線を追加
・メールの定型文を見直し、自己解決を促す
という、仕組み側の改善です。
その結果、
・同じ内容の問い合わせが減少
・対応時間が短縮
・担当者の心理的負担も軽減
という変化が起きました。
このケースから分かること
この事例が示しているのは、
・問い合わせは「問題の山」ではない
・繰り返される声には、必ず理由がある
ということです。
テキストデータ分析を使うことで、
「誰が悪いか」ではなく、
「どこを直せばいいか」
に目を向けられるようになります。
次回予告
次回はいよいよ、このシリーズのまとめです。
ここまで紹介してきた事例を振り返りながら、
テキストデータ分析を仕事に定着させるための考え方を整理します。
「難しそう」「続かなそう」と感じている人ほど、
読んでほしい回です。
<文/岡崎 凌>





