【マスログ】任意の奇数はメルセンヌ数の約数になる
公開日
2025年2月7日
更新日
2025年3月9日

【マスログ】任意の奇数はメルセンヌ数の約数になる!?
こんにちは!今回は「任意の奇数はメルセンヌ数の約数になる」という話をしていきます。
前回の記事では、電卓を使って n乗根を求める方法 を紹介しました。そして、その中で n乗根を求められる条件がメルセンヌ数の約数になること だと判明しました。
では、なぜ 任意の奇数 がメルセンヌ数の約数になっているのでしょうか? そして、それがどんな意味を持つのでしょうか? これを証明しながら、数学の奥深さを感じていきましょう!
メルセンヌ数とは?
まず、メルセンヌ数について復習しておきましょう。
メルセンヌ数は、次の形で表される自然数です。
M_p = 2^p – 1
ここで、p は自然数 であり、一般的には 素数 を取ることが多いです。例えば、p = 2, 3, 5, 7 のとき、メルセンヌ数は以下のようになります。
M_2 = 2^2 – 1 = 3
M_3 = 2^3 – 1 = 7
M_5 = 2^5 – 1 = 31
M_7 = 2^7 – 1 = 127
このように、メルセンヌ数は特定の素数に対して現れます。しかし、今回のテーマは「奇数全般」です。つまり、どんな奇数でも メルセンヌ数の約数として登場する という驚きの事実を証明していきます!
なぜ奇数がメルセンヌ数の約数になるのか?
「奇数がメルセンヌ数の約数になる」と言われても、直感的にはピンとこないかもしれません。しかし、これを数学的に説明すると、意外と シンプルな法則 によって成り立っていることが分かります。
ここで、数学の強力な道具 オイラーの定理 を使います。
オイラーの定理とは?
オイラーの定理とは、互いに素な2つの数 a, m に対して、次の関係が成り立つというものです。
\[
a^{\varphi(m)} \equiv 1 \pmod{m}
\]
ここで、 \varphi(m) はオイラーのトーシェント関数と呼ばれるもので、「mと互いに素な数の個数」を表します。
例えば、m = 12 の場合、12と互いに素な数は 1, 5, 7, 11 の4つなので、
\varphi(12) = 4
となります。
この定理を使うと、「任意の奇数がメルセンヌ数の約数になる理由」が明らかになります!
証明:奇数はメルセンヌ数の約数になる
奇数 m を考えましょう。 m は 2とは互いに素 なので、オイラーの定理を適用できます。
すると、
\[
2^{\varphi(m)} \equiv 1 \pmod{m}
\]
が成り立ちます。
ここで、メルセンヌ数の形を思い出してください!
M_p = 2^p – 1
この式と見比べると、明らかに \varphi(m) を p にすればメルセンヌ数の形になっている ことが分かります!
つまり、
M_{\varphi(m)} = 2^{\varphi(m)} – 1
は、 m で割り切れる、すなわち m はメルセンヌ数の約数になるのです!
これで、「任意の奇数がメルセンヌ数の約数になる」ことが証明されました。
具体例で考えてみる
証明だけだと分かりにくいので、具体例を見てみましょう。
例えば、奇数 m = 5 の場合 を考えます。
1. まず、オイラーのトーシェント関数を求めます。
• \varphi(5) = 4 (1, 2, 3, 4 のうち 5 と互いに素な数は 4つ)
2. メルセンヌ数 M_4 を計算します。
M_4 = 2^4 – 1 = 15
3. すると、確かに 15 は 5 で割り切れる ので、5 はメルセンヌ数の約数になっていることが分かります!
このように、どんな奇数 m を選んでも、必ずメルセンヌ数の約数になる ことが分かります。
まとめ
今回の内容を整理すると、
• メルセンヌ数は「 2^p – 1 」の形をした特別な数
• オイラーの定理を使うと、「任意の奇数がメルセンヌ数の約数になる」ことが分かる
• 実際に計算すると、奇数ごとに 対応するメルセンヌ数 が存在し、約数になっている
つまり、どんな奇数を選んでも、それが 必ずどこかのメルセンヌ数の約数として登場する という、驚きの事実が明らかになったのです!
数学の世界では、何気ない数の関係が 意外なところでつながっている ことがよくあります。次回は、これをさらに発展させて、もっと深い数学の話に触れていきましょう! お楽しみに!