不可能図形鑑賞会~不思議な世界をデザインする~
公開日
2021年4月19日
更新日
2021年4月19日
こんにちは。和からの数学講師の岡本です。今回は、M.C.エッシャーの「だまし絵」の作品でも知られる「不可能図形」というものについてお話をしていこうと思います。
この記事の主な内容
1.不可能図形鑑賞会
まずはいろいろな絵を鑑賞していきましょう。
何やらおかしなことになっていますね!フォーク自体もなんだか変ですし、なにより直方体の棒がフォークに縫い込まれています。通常、1列に並んだまっすぐな棒の間をまっすぐな棒が縫うように通ることはできません!不可能です!
これもなにやらおかしいですね。紐であればただの結び目なのですが、見た目はまっすぐな棒です。本当であれば、曲がっていないと交差などできません!不可能です!
こちら一見して何の変哲もないように見えますが、良く見るとおかしな点があります。綺麗に立方体が前に前に並んでいるように見えますが、いつの間にか最初の立方体の後ろに回っているようです…!不可能です!
なんだか不思議な感覚がして面白いですね!
2.不可能図形の作り方
このような不思議な絵は意外にもかんたんに描けます。描き方の技法はいくつかありますが、ここでは、「入れ換え操作」をご紹介します。
例えば、なにも不思議ではない、四角い縁をもってきます。4つの隅の形状が大きな特徴になっていて、それぞれのパーツを3本の線で結んで描かれています。
そこで、同じような部分を適当に入れ替えてみます。例えば、緑の部分を赤の部分に
あるいは、黄色の部分を青の部分に
赤と青の部分だけを使ってもいいですね。
こうしてできた図形を線で結ぶと何やらおかしな図形の完成です!
不可能図形というのは、いわば「間違った絵」なので、「正しい絵」に対して積極的に間違った組み合わせを考えていけば不可能な図形が出来上がります。
3.PowerPointを使って作成してみる。
たとえば、1節でお見せした以下のような図形がPowerPointで簡単に描くことができます。立体のオブジェクトを使い、コピー&ペーストを行うことで、立方体を生成できます。しかし、通常新しいオブジェクトは手前に配置されていくので、以下の図の(A)のような状況になります。
この部分を上図(B)のようにできれば完成ですが、一筋縄にはいきません。そこで、この部分の簡単な動画を作ってみました。
なにをやっているのかというと、調整したい立体をコピーし、「図としてペースト」します。ペーストされた図はオブジェクトではなく「図」なのでトリミングが可能になります。これを使って、図の一部を前に、残りを後ろに配置するような表現が可能となります。
4.さいごに
いかがでしたでしょうか?今回は「不可能図形」という内容でしたが、本格的に不可能図形を描くには数学的な捉え方や計算が入ってきます。こういった理論的な部分も抑えたいという方にオススメの本がこちらです!
エッシャー・マジック―だまし絵の世界を数理で読み解く 杉原 厚吉(著) 東京大学出版会
また、今回はPowerPointを使ったデザインを行いました。このようなExcelやPowerPointという、比較的身近なソフトを工夫して使うことで、綺麗な、また不思議な図形を描くこともできます!和からではこのような数学的デザインに関するセミナーを行っております!興味のある方は是非無料セミナーへご参加ください!
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<文/岡本健太郎>