変革の歴史から読む、AI時代の生き残り戦略|第7回:インターネットが“場所”を溶かした日――新しい働き方の誕生
公開日
2025年12月14日
更新日
2026年4月25日
この記事の主な内容
この記事のポイント
・インターネットが「3つの場所」を溶かして、世界をどう変えたかを整理
・消えた産業・伸びた産業・新しく生まれた産業の 実例リスト
・インターネット革命とAI革命の 「同じところ」と「違うところ」 を見極める
・AI時代の働き方に必要な 「インターネット以降スキル」4つ
はじめに:「場所」が溶けた日
インターネットが普及する前の世界は、いまよりずっと 「場所」に縛られて いました。情報を得るには本屋や図書館に行き、買い物は店に出向き、仕事はオフィスに通う。それが当たり前の前提でした。
ところが 総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年7月公開)によれば、2024年の個人のインターネット利用率は 85.6%、その入り口は スマートフォン74.4% > パソコン46.8%。「場所が溶けた」社会は、もはや前提です。AI時代の働き方を考える前に、ここを起点に振り返ってみましょう。
インターネットが溶かした「3つの場所」

図1:インターネットが溶かした「3つの場所」
1.情報の場所が溶けた
本屋・図書館・新聞・テレビでしか得られなかった情報が、検索1回で手に入るようになりました。専門家しか知らなかった知識も、いまや公開情報で十分に追いつけます。情報の非対称性が一気に縮んだのです。
2.商取引の場所が溶けた
店舗まで行かなくても買えるECが普及し、地方からでも東京の商品が買え、世界のどこからでも日本の商品を売れる時代になりました。距離が、購入のハードルではなくなったのです。
3.働く場所が溶けた
コロナ禍で一気に加速した リモートワーク ですが、その下地はインターネット普及で20年かけて作られていました。「同じオフィスにいないと仕事ができない」という前提が崩れました。
消えた産業・弱くなった産業・強くなった産業
| 区分 | 産業の例 | 何が起きたか |
|---|---|---|
| 消えた/弱くなった | 町の本屋・レンタルビデオ・電話帳 | 情報・コンテンツがオンラインへ |
| 弱くなった | 新聞・出版・地上波テレビ | 広告と読者がデジタル媒体へ流出 |
| 強くなった | EC・物流・クラウド・SaaS | 「場所を溶かす」ビジネスが伸長 |
| 新しく生まれた | SNS・配信プラットフォーム・シェアエコノミー | 個人発信が産業になった |
この30年は、業界の地図が塗り替わった30年でした。「強かった会社」が必ずしも「強いまま」ではないことを、私たちは目の当たりにしてきました。
インターネット革命とAI革命:似ている点・違う点
| 切り口 | インターネット革命 | AI革命 |
|---|---|---|
| 変化の本質 | 場所を溶かす | 判断・思考の一部を肩代わり |
| 必要な操作 | 検索・閲覧・送信 | AIに 頼む・評価する |
| 影響を受ける仕事 | 場所に依存していた業務 | 定型的な思考・判断業務 |
| 普及の速さ | 15〜20年 | 2〜3年で職場に浸透中 |
| 共通点 | 「使う人」と「使わない人」で 3〜10倍 の生産性差が生まれる | |
インターネット革命は「場所」を、AI革命は「思考」を分散・自動化します。影響を受ける範囲はAIのほうが広い と言えます。
AI時代に求められる「インターネット以降スキル」4つ

図2:AI時代に求められる「インターネット以降スキル」4つ
1. 情報を扱う力(情報編集能力)
情報があふれる時代だからこそ、必要なのは「集める力」より 「選ぶ・整理する・つなげる力」 です。AIが集めた情報を、文脈に沿って組み立てるのが人間の仕事になります。
2. ネットワークを活かす力(発信・接続・協働)
インターネットがあれば、社外の人とすぐ協働できます。SlackやTeamsはもちろん、SNS・コミュニティで 「適切な人とつながる」 力が、組織内での価値を高めます。
3. 個人として価値を出す力
note・YouTube・SNSの普及で、個人ブランドが組織を超える事例が増えました。「自分の名前で何ができるか」 を意識することが、長く働ける土台になります。
4. AIを使いこなす力(生成AIリテラシー)
これは インターネット以降の集大成 といえるスキルです。情報・ネットワーク・個人ブランドが揃ったうえで、AIを上手に使う人がいちばん速く動けます。
明日からできる3つのアクション
① 自分の業務で「場所に縛られている」工程を書き出す
本当に対面が必要な仕事と、そうでない仕事を分ける。リモート化の余地がある業務を1つ見つけます。
② AIで「下書き」を毎日1本作る
文章・資料・調査メモなど、何でも構いません。続けると、AIに頼む感覚が自然に身につきます。
③ 月1で「自分の名前で発信」してみる
社内のSlackや業界コミュニティで、学んだことを1つ発信。個人ブランドの最初の一歩になります。
次回予告
次回(第8回/最終回)は、ここまで紹介してきた 7つの変革の歴史 を総まとめします。生成AI時代に 本当に必要なリスキリング原則7つ と、明日から使えるチェックリストをお届けします。
<文/岡崎 凌>
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