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【連載第5回】課題を“経営視点”で発見する管理職になる

公開日

2025年8月9日

更新日

2025年10月14日

前回は、ChatGPTを思考のパートナーとして活用するための「プロンプト設計力」に焦点を当てました。今回は、いよいよ本質的なテーマである「課題発見力」について取り上げたいと思います。

管理職として、現場の状況に日々向き合いながら「どの課題が重要か」「どこにメスを入れるべきか」を判断する力は極めて重要です。しかし、現実には、目の前の業務や問題に追われ、経営視点で課題を見抜くことが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。

その力を補完・強化する手段として注目されるのが、「コンサルタント的思考」です。そして、それを支援してくれるのが、生成AI、特にChatGPTのようなツールです。

本稿では、管理職が「社内コンサルタント」として課題を“経営視点”で捉えるための3つのアプローチを紹介します。

  • コンサル思考の基本である「論点整理」と「MECE」の考え方
  • ChatGPTを使って“問い”を生み出すための対話術
  • 自分の現場を「言語化」する力の重要性

これらを軸に、「考える管理職」がどのように課題を見つけ、周囲を巻き込みながら改善を推進できるかを掘り下げていきます。

コンサル思考①:「論点整理」と「MECE」の基礎

経営コンサルタントが課題発見において必ず行うのが、「論点を立てる」作業です。論点とは、「本質的な問い」であり、「議論すべき核心」です。

たとえば、売上が下がっているという事象があったとします。その場合、「売上減少の原因は何か?」と問うのではなく、

  • 「売上減少は『客数減少』か『単価下落』のどちらが主因か?」
  • 「顧客離れの要因は商品、価格、販促のどれか?」

といったように、より具体的で“解像度の高い問い”に分解していくことが大切です。

このとき役立つのが、MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)という考え方です。日本語では「モレなくダブりなく」と言われます。課題を見落とさず、重複せずに整理するフレームワークです。

ChatGPTに相談する際にも、この「論点を立てる力」と「MECEの視点」があるかどうかで、得られる示唆の質が大きく変わってきます。

ChatGPTに“問い”をつくらせる対話術

「良い問いを立てるのが苦手だ」という人こそ、ChatGPTを活用する価値があると私は考えます。

たとえば、以下のようにChatGPTと対話しながら、問いを磨いていくことが可能です。

ステップ1:「現象」を投げる

「店舗の売上が2か月連続で前年割れしています」

ステップ2:「原因をMECEで分類して」と依頼

「売上低下の要因を、内部要因と外部要因に分けて挙げてください」

ステップ3:「それぞれの要因ごとに問いを立てて」と依頼

「それぞれの要因について、深掘りするための論点を5つずつ考えてください」

このように、問いを自分で作るのではなく、「問いをつくるための補助輪」としてChatGPTを活用することで、徐々に“問いの感覚”が養われていきます。

自分の現場を「言語化」する力の重要性

課題を発見するうえで、最も重要なのは「現場で何が起きているかを、抽象度を上げて言語化する力」だと私は考えます。

たとえば、「スタッフがよく辞める」という状況も、

  • 「エンゲージメントが低い」
  • 「人材定着施策が不十分」
  • 「管理職の関わり方に改善の余地がある」

といったように、“構造化して言語化”することで、打ち手が見えてきます。

ここでもChatGPTは役に立ちます。

「スタッフの離職が続いている現場について、組織運営・評価制度・業務設計の観点で問題を整理してください」

といったように、ChatGPTに問いかけることで、構造化された視点を得ることができます。これを繰り返すことで、自分の思考の中にも「構造で捉える習慣」が芽生えてくるのです。

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まとめ:課題発見こそ管理職の仕事の本質

現場に近い管理職こそ、経営的な視点を持って課題を発見し、上位戦略との接点を見出すことができます。そのためには、

  • 論点を立てる思考力
  • MECEなどの構造化フレームの活用力
  • 現象を抽象化して言語化する力

が必要であり、これらはChatGPTを活用することで十分に補えるものだと私は考えます。

「課題を見つけて、言葉にして、仮説を立てて、周囲と共有する」

この一連のプロセスができる管理職は、AI時代においても変わらず価値を発揮し続ける存在になっていくのではないでしょうか。

次回は、実際の事例を交えながら、管理職やチームがAIを活用してどのように変革を実現しているかをご紹介する予定です。どうぞお楽しみに。

<文/綱島佑介>

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