ガロア理論
公開日
2021年5月7日
更新日
2023年1月6日
中学校で学ぶ二次方程式の解の公式は紀元前エジプトで計算法として使われており、7世紀のアラビアで現在のような公式として明示されました。同じように三次方程式、四次方程式にも解の公式があり、これらは16世紀のイタリアで発見されています。
四次方程式の解の公式の発見からおよそ250年以上も後にガロア、アーベルによって独立に「五次方程式には解の公式がない」という驚きの事実が証明されました。ガロア理論はこの時にガロアが用いた数学理論を後の時代に整理したものです。
ガロア理論を学ぶことで、五次方程式に解の公式がない理由、その意味を理解することができますが、ガロア理論は数論で道具としても活躍しますし、暗号理論にも応用されています。
ガロア理論は一言でいうと群と体の間の精緻な関係についての理論になりますが、それ自身とても美しくぜひ多くの方に学んでいただきたい数学分野です。
受講内容
まずはガロア理論の理解に必要な最低限の群論を学習します。
次に体の概念を学び、体の代数拡大、分離拡大、単拡大など様々な拡大を学びます。
その後体の上の自己同型写像を学び、そこからガロア群を定義します。ガロア対応と呼ばれる体とそのガロア群の対応関係を証明し、ガロア群を調べることで体の拡大の性質を取り出します。
代数方程式の可解性の証明のため巡回拡大、べき根拡大を学び、最後に五次方程式に解の公式が存在しないことの証明を行います。
※内容はお客様のご要望等によって変更することがあります。
受講対象
・大学のレポート問題が解けない方
・五次方程式に解の公式がないという意味を知りたい方
・抽象数学を学んでみたい方
・数論を学んでみたい方
必要な数学知識
モデルプラン
1)対称性と、代数方程式の解の公式
・群論と方程式
・3次方程式,4次方程式の解法
・対称式の視点から見た3次方程式,4次方程式
2)体
・Q (√2)
・既約多項式
・ユークリッドの互除法と分母の有理化
・体K上の線形代数と次数公式
3)作図への応用
・作図可能な数
・倍積問題
・多項式の既約性判定法と角の三等分
・円積問題
4)ガロア理論の基本定理
・体の準同型
・K(α) からのK上の体の準同型
・体の自己同型とその個数の評価
・体の自己同型とガロアの基本定理
・ガロア拡大とガロア群の例
5)正17角形の作図
・1のn乗根と円分多項式
・正17角形
6)ガロアの定理
・有理関数体と対称式論の基本定理
・5次以上の方程式の解の公式
・ガロアの定理
セミナーの様子
参考テキスト
担当講師
※日程により一部講師が変わる事があります。