因果関係とは何か|相関の次に学ぶべき「勘違いしない力」
公開日
2025年12月27日
更新日
2026年1月23日
「この施策、効いてますよね?」
会議でよく聞くこの一言。グラフを見ると、数字はたしかに動いている。右肩上がりだし、相関もある。でも──どこか引っかかる。
それ、本当に“原因”ですか?
相関や回帰を学んだビジネスパーソンが、次につまずきやすいのがこのポイントです。数字を読めるようになったからこそ、因果関係を「わかったつもり」で語ってしまう。この勘違いが、意思決定を静かに狂わせていきます。
数字は嘘をつかない。でも、勘違いは簡単に起きる。
この記事の主な内容
相関があっても、原因とは限らない
まず、超シンプルに整理しましょう。
・相関:AとBが一緒に動いている
・因果関係:Aが起きたからBが起きた
一見、同じように見えます。でも決定的に違います。
たとえば──
・気温が高い日は、アイスがよく売れる
・気温が高い日は、ビールもよく売れる
アイスとビールの売上には相関があります。でも、アイスを売ったからビールが売れたわけではありません。本当の原因は「暑さ」です。
このように、一緒に動いているだけなのに、原因と結果だと勘違いしてしまう。これがビジネスで最も多い落とし穴です。
なぜビジネスでは因果を間違えやすいのか
理由はシンプルです。
①「成果を出した理由」を今すぐ知りたい
ビジネスでは、
・何が効いたのか
・何をやめるべきか
・次に何を打つべきか
を早く決めなければなりません。そのため、数字が動いた瞬間に“答え”を欲しがる。
② 数字があると、正しそうに見える
グラフや表があると、人は安心します。
「データで示されています」
この一言で、議論が止まることも珍しくありません。でも実際には、データは“事実”を示しているだけで、理由までは教えてくれないのです。
因果関係のいちばんやさしい定義
難しい言葉を使わずに言うなら、因果関係とはこうです。
「Aがなければ、Bは起きなかった」
ここが重要です。
・Aがあった → Bが起きた
・Aがなかったら? → Bは起きなかった?
この「もしも」を考えない限り、因果関係は語れません。
たとえば、
・新しい研修を始めた
・その後、成果が上がった
これは事実です。でも、
・研修がなかったら成果は上がらなかったのか?
ここまで考えて、初めて「研修が原因かもしれない」と言えます。
「やったから伸びた」は、いちばん危ない
多くの施策レポートは、こんな構成です。
・施策を実施した
・数字が改善した
・だから施策は成功した
このロジック、実はかなり危険です。
なぜなら、
・たまたまタイミングが良かった
・別の施策が効いていた
・市場や環境が変わっていた
可能性をすべて無視しているからです。
「やった」と「効いた」は、似ているけど別物。
因果を考えると、会議の景色が変わる
因果関係を意識し始めると、会議でこんな質問が浮かぶようになります。
・それ、本当にその施策が原因?
・他に考えられる理由は?
・やらなかった場合と比べている?
これらは、相手を否定する質問ではありません。意思決定の精度を上げるための質問です。
数字を疑うのではなく、解釈を疑う。
この姿勢が、ビジネスパーソンとして一段レベルを上げてくれます。
次回予告|犯人は、グラフに映らない
次回は、
「1on1を増やしたのに、なぜか離職が止まらない」
という事例から、
・相関があるのに因果が逆転する理由
・データに映らない“黒幕”の正体
を解説します。
相関を知っている人ほど、ハマりやすい罠です。
相関を学んだあなたは、もう一歩先に進めます。
次に必要なのは、数字に振り回されない「勘違いしない力」。
このシリーズで、一緒に身につけていきましょう。





