【和から株式会社】Excelで学ぶアート数学-ストリングアート・発展編-講義抜粋
公開日
2024年11月26日
更新日
2025年4月16日

過去に開催された「Excelで学ぶアート数学-ストリングアート・発展編(開催終了)」の講義抜粋動画を文字起こししたものです。 入門編の続編として、円以外の様々な曲線について考察し、アートの範囲を広げることが目的です。
※動画と一緒にご覧いただくとより興味いただけると思います。
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この記事の主な内容
Excelで楽しむストリングアートの世界
今回は、Excelを使ってストリングアートを作成する実践的な講義の一場面をご紹介します。数値を入力することで図形がどのように変わるのかを確認しながら、アートとしての面白さも体感できる内容です。
まずは、1行目のセルをダブルクリックしてみてください。一見すると何も起こっていないように思えるかもしれませんが、操作が正しくできていれば、すべてのセルに「GQ」という文字が表示されているはずです。この時点で、図形が描かれる準備が整っています。
うまく設定できているかどうかを確かめるには、実際に図形が綺麗に表示されているかを見るのが一番です。もし思うように描画されていない場合は、コピーや数式の設定に誤りがないかを確認してみましょう。
数値の変化が生み出すアートの多様性
さあ、ここからは自由に数値を変えて、図形がどう変化するのかを試してみましょう。たとえば「5」や「20」と入力すると、図形の見た目がふわっと変わるのが分かります。その変化の瞬間がとても面白く、思わず夢中になってしまいます。
実はこの図形、正100角形をもとに作られているため、100の約数にあたる数を入れると、単純で分かりやすい形になります。「20」を入れれば五角形、「5」では20角形のような形が現れます。どちらも幾何学的な美しさがあり、眺めているだけでも楽しいです。
ただし、見た目が大きく変わっても、実際には釘の位置(頂点の配置)はまったく変わっていません。変わっているのは、糸を結ぶ順番、つまり周期です。この仕組みを知ると、「同じ頂点でも、つなぎ方を変えるだけでこんなにも印象が変わるのか」と驚かされます。
「37」のような素数を入れてみると、さらに複雑で予想外の模様が現れます。一方で、「1」を入力すれば、すべての頂点を順番に結んだ元の形が表示され、アートの原点を確認できます。そこから再び数値を変えていくと、まるで図形が成長していくような感覚が味わえます。
規則とズレに注目してみよう
これらの図形は「ハイポサイクロイド」と呼ばれるカーブに似た特徴を持っています。たとえば「2」を入力すると、中央に一直線に並ぶような形が現れ、シンプルな美しさがあります。さらに数値を変えることで、正五角形のような形も現れ、数の選び方によって幾何学的なバリエーションが楽しめます。
また、「2」や「3」のような数値を入れた際に、図形全体が少し下にずれて表示されることがあります。これは、座標軸の原点が内部的に変化してしまっているためです。操作を繰り返すうちにこのズレが蓄積し、思わぬ表示結果になることもあります。
美しい配置とバランスの工夫
私がこのストリングアートを仕上げる際には、原点の位置や全体のバランスにもこだわっています。具体的には、第1象限から第4象限までバランスよく釘を配置し、どんな数値を入力しても偏りのない、美しく調和の取れた形になるよう工夫しています。
こうした配置の工夫によって、ストリングアートは単なる数値の視覚化を超えた、美しいアート作品へと昇華します。Excelという身近なツールを使いながら、数と図形のつながり、そして自分だけの作品を生み出す楽しさを味わってみてください。
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