データ分析で失敗する理由
公開日
2016年3月30日
更新日
2016年3月30日
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データ分析したけれど、うまく仕事に結びつかない
その分析がうまくいかない2つの理由
ビジネスで統計が注目されてしばらく経ちますね。
ウェブサイトでは、統計的な分析手法を使った成功事例が多数取り上げられ、
雑誌や書籍でも、統計的なデータ分析手法を扱うものをよく見かけるようになりました。
データサイエンティストという職種にスポットライトが当たり、
「自分もデータ分析、とりわけ統計を勉強して仕事に活かそう」
「データサイエンティストとしてのキャリアを構築したい」
「自分でも分析をして、いい成果を出したい」
「うちの会社でも分析で売り上げを上げよう」
そんな気持ちにもなってきますよね。
ちなみに和からでも、そんな学びの意欲に応えられる講座を用意しています。
一方で、一足先に分析の勉強をして、仕事で分析業務に携わり人からは
「学んだ分析手法を使ってみたけど、いまいちいい結果につながらない」
という声が、しばしば上がります。
「分析に使うべきデータを間違えたんじゃないの?」
「分析手法に応じた前処理ができてないんじゃないの?
「出てきた統計量を読み間違えちゃったとか?」
分析がうまくいかないとなると、上記のように「正しくない分析」の可能性を
疑いたくなるのですが、実はビジネスにおいては、正しい分析をしたとしても、
成果に結びつかない、といったことがしばしば起こります。
特に、今回の事例で取り上げるマーケティング業務においては、
分析を依頼する「非分析官」と、分析を担当する「分析官」との間で
「ありがちなボタンのかけちがい」が起こります。
必死に勉強して、十分に学んだ事を発揮したにもかかわらず
うまくいかないのはなぜでしょう?
分析結果をビジネスの成果に結びつけるために必要な要素とは?
分析が成果に結びつかない理由を語る前に、まずは分析業務を大きく3つに分けて整理してみましょう。
1)分析の前行程
2)分析手法
3)分析の後行程
このうち、一般的な「分析講座」や「ビジネスで使える統計教室」で教えてもらえるものは、
2の「分析手法」に関することがほとんどです。
クラスター分析やコレスポンデンス分析、因子分析、決定木分析、アソシエーション分析といった多変量解析から
SVMやランダムフォレスト、ニューラルネットワークなどの機械学習手法まで、
それぞれの手法に必要なデータや、前処理、パラメーターの決め方など、分析手法それぞれの特徴をふまえて
適切なデータ処理方法を教えてくれます。
一方で、「分析の前行程」と「分析の後行程」については、企業や担当する業務による個別性が高いこともあり、
一般的な教室で取り扱うことは少ないと思うのですが、実は実務に生かすためには、分析の前行程・後行程にこそ
重要な要素が隠れていることが多いのです。
成果に繋がらない理由は『何をするのか把握しないまま分析を始めてしまう。』から
WEBマーケティグの業務を例にとって、マーケティング担当者と分析担当者間のやり取りの典型例を見てみましょう。
マ)(マーケティング担当者)
「あのさ、今やってる既存顧客向けのアップセルを目的にしたメール施策、もっと効率よくしたいんだけど、
サイトの来訪データから、追加購入しやすい顧客を見つけられないかな」
分)(分析担当者)
「了解です。そしたら、閲覧したページの組み合わせと追加購入に至ったかどうかのデータから
追加購入しやすい顧客の閲覧パターンを出してみますね。」
さて、先ほどの会話で依頼があった場合、どんな対応をしますか?
「閲覧ページのデータを、どうやってデータ加工しようかな」
「協調フィルタリングを使って、閲覧ページの組み合わせと購入有無のパターンを見てみようかな」
など、具体的な分析プロセスを思い浮かべる方もいると思いますが、
大切なのは、その前行程。
つまり、分析に入る前に確認すべき重要なことがあります。
このマーケティング担当者は、一体何を求めているのでしょう?
この会話をそのまま受け取れば、知りたいことは購入しやすい顧客の識別です。
広告の運用を効率化したいというのが根底にあるのは、よくわかりますね。
でも、今回はそこではなく、このマーケティング担当者が前提にしていること。
それは、「結果を使って何をするか?」です。
この会話の中で伝えているのは、アップセルを目的としたメール施策の効率化、
つまり、最終的にはメール配信に活用できるアウトプットがほしい、ということです。
この部分を把握せずに分析に着手すると、どうなるでしょう?
恐らく閲覧したページの組み合わせごとに、CVRのリフト値一覧が出てきて、
分)「◯◯さん、追加購入しやすい顧客というのは、こういうページを閲覧した来訪者です!」
マ)「お!なるほどな!面白い結果だね!」
「で、どうやってこの結果を活かすの?」
分)「それはわからないので、◯◯さん考えてください」
マ)「…」
さすがにこの例にあるように、マーケティング担当者に突き返すようなことはないまでも、
これに類似したことが、日常業務の中では起こりがちです。
こういったことが続けば、「データ分析担してもイマイチ使えない、使いづらい」といった、
残念な印象を与えかねませんし、これからデータ分析を社内に導入し、浸透させていこう、という企業においては
「やっぱりデータ分析なんか使えない」と言って、浸透しないまま、分析チームが断ち消えてしまうことまで想定されます。
成果につなげるために必要なのは、実は分析手法以外の知識
上記のようなことを防ぐには、どうすれば良いでしょう?
それを考えるためには、今回のような事例が起こる原因を知らなけれなりません。
今回のやり取りの中で最も重要なポイントは、「前提」としている認識がズレていたということです。
マーケティング担当者としては、言葉として発してられていませんが、これから自分たちが施策をする上で
より高い効果を出すという前提で業務をしています。当然、その目的に合致しない要求はありません。
一方、分析担当者は、解を出すことが目的ですので、記載の通り目的の解が出せる分析を行い、回答しました。
こう書くと、「前提を話してないマーケティング担当者が悪いんじゃ」となりそうですが、
同じ会社の中で批判しあっていても仕方ありません。
仮にマーケティング担当者が、オーダーの中で伝えていたとしても、分析担当者がその内容を理解できていなければ
やはり同様のことが起こります。
では、分析担当者は、何をしなければならないのでしょう?
依頼をしてきた人の業務を知る
これは、一朝一夕にはできないことですが、日頃からマーケティング担当者の業務を把握しておくことが必要です。
あくまで個人的な感覚ですが、分析担当者は、機械学習や新しい分析プログラムの習得・活用方法に関する情報収集は積極的に行うのですが、
それを生かす先を知ろうという意識が相対的に低いことが多いように思います。
どんなに分析手法を身に受けても、それを生かす先を知らなければ、価値を発揮することはできません。
マーケティング業務を支援する分析を行う場合であれば、担当者の日頃の目標や、関心を持っている事例を知ることは、
分析手法のバリエーションを増やすことと同じくらい大切な事です。
1:担当者に業務の説明をしてもらう
2:社外パートナーとの打ち合わせに同席させてもらう
3:マーケティング担当者が興味を持ったWEBサイトの記事をシェアしてもらう
4:マーケティング担当者が興味を持った外部のセミナーに参加する
5:マーケティング担当者が行っている業務に関連した書籍を読む
どれも当たり前の要素ですが、日頃からコミュニケーションをとり、分析を生かせる下地を作っておきましょう。