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日常・ビジネスにおける決定プロセスで必要とされる概算力(2018年「数学教育学会」春季年会発表)を公開

公開日

2022年4月4日

更新日

2022年4月4日

堀口です。いつもありがとうございます。

さて、2018年「数学教育学会」春季開催回にて、「概算力」について発表させていただいた内容をこちらで無料公開したいと思います。概算はあまりに重要であるにも関わらず、一言「四捨五入」くらいで語ることくらいしかないように思われてしまっていますが、大人にとってみれば非常に大切な考え方です。ぜひ教育業界の多くの方の参考にしていただけたら何よりです。

日常・ビジネスにおける決定プロセスで必要とされる概算力

概要

現代の科学・技術の発展において、”正確”な計算は非常に重要であり、暗号論を用いた通信のように、精密な計算が我々の「安心」を支えているケースは少なくない。しかし、実際の日常・ビジネスにおける決定プロセスにおいて、細かい計算が必要なケースは意外に少ない。上2桁程度の概算で済んでしまう。どんな場面で概算が求められるのか、概算においてどの程度の誤差が許されるか、考察する。

1.背景

 例えば、飲み会のお金を集める場面。合計38,780円を13人で割るときに、「1人、2,983円集めると1円足りない。」という計算が求められているのではなく、「1人3,000円で足りる。」という計算が求められる。このような現実のシチュエーションでは、一般的な常識と照らし合わせて、大きな誤差が出ないように、かつ、金額が足りるように、かつ、面倒な金銭のやりとりをしないで済むように、「ざっくり計算をする」という概算力が必要になる。
 他にも、会社の配布資料で、「29,325.189.035円」とあったとき、皆、読み方は習っているので読めるのだが、読むのに時間がかかるからこそ、ほとんどの場合はざっくりとさえも読まずに読み飛ばす。また、口頭で読むにも、この金額は300億としてしまってよいのか、もしくは、293億の方がよいのか、といった、その場のシチュエーションに応じた許容誤差の認識が問題になってくる。
 他にも様々な場面でこういったケースは多く現れる。

2. 現状

上記のように仕事・日常生活中で必要とされる「概算」について、大きく次の3つの力である。「大きな数の読解力」、「概算力」、「許容誤差の割合を認識する力」。(※)これらは義務教育で学ばないわけではないのだが、習慣化されていないのが大きな問題である。
現代では、電卓やExcel、iPhoneのSiriに代表される音声計算機能などの計算ツールが普及しているにも関わらず、筆算をはじめ、正確な計算が重要視される教育、社会風潮がある。実生活で必要な3つの力は、社会生活の中で自ら身につけるしかないのが現状である。

3.まとめ

仕事や日常生活での「決定プロセス」において、一の位までぴったり合うといった細かい計算は必要なく、むしろ、上2桁だけの計算で十分である。
さらに言えば、上3桁目以降は省略してしまった方がより量に対する認識を得やすい。
社会人向け数学塾を8年ほど運営してきた中で、「多くの方が概算の活用を習慣化できていない」ことに大きな課題を感じている。
弊社では、このような計算の概念を「データセンス」を身につけるためのセミナーとしてコンテンツ化し、月間100名以上の方に受けて頂いている。そこで得たノウハウをまとめ、引き続き、このような場で提示していきたい。
※「大きな数」については小学校の算数の教育課程に入っている

参考

数学教育学会

 

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<文/堀口智之>

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