ベクトルの内積でおすすめ商品がわかる!?数学の概念が何に活用されているか分かりやすく解説
公開日
2021年3月9日
更新日
2021年3月9日
先日ベクトルの外積について書かせていただいた記事が好評でしたので、今回は似たような言葉であるベクトルの「内積」についてご紹介します。
ベクトルの外積についての記事はこちら↓
外積と紛らわしいベクトルの内積ですが、実は内積も非常に有益な計算を行うことができ、現実の様々な場面で活用されています。
この記事の主な内容
ベクトルの内積とは?
ベクトルの内積は英語の「dot product」から来ており、外積を表す「cross product」と同じ「product(積、掛け算のこと)」という語が使われています。果たして、この内積がどのように使用されているかを見てみましょう。
内積でどんな計算ができるの?
まず、次の表をご覧ください。2020年に放送されたドラマと、それぞれのドラマのジャンルをまとめたものです。例えば「私の家政夫ナギサさん」は、「恋愛」と「コメディ」、さらに「医療」要素もあるので「1」、それ以外は該当しないと考えて「0」としています。
そして、今年の4月に放送される新ドラマ「恋はDeepに」のジャンルは次の通りです。
ここで、先に挙げた3つのドラマのうち、どれが最も近いジャンルだと言えるか考えてみましょう。実は、この計算に「内積」の計算を活用することができます。
それでは計算してみましょう。計算といっても構える必要はなく、内積の基本は掛け算と足し算です。例えば「私の家政夫ナギサさん」と「恋はDeepに」の内積を計算する場合は、まずそれぞれのジャンルの数字を掛け合わせます。例えば、「恋愛」ジャンルはどちらも1なので、掛け合わせた結果も1となります。
計算し終わったら、足し上げることで内積を求めることができます。
他の映画との内積も計算してみましょう。
この中で内積がもっとも大きいのは「私の家政夫ナギサさん」ですね。つまり、「恋はDeepに」というドラマにもっともジャンルが「類似」している映画であることが計算によって求められます。この方法によって、映画作品どうしの類似度を求めることができるのです!
この内積の性質を利用して計算したものに、「コサイン類似度」があります。この計算は類似の商品を探して紹介するレコメンデーションエンジン(いわゆる「おすすめ映画」、「おすすめ商品」)として、様々なウェブサービスに活用されています。ご興味が湧いた方は調べてみると良いでしょう。
終わりに
いかがでしたでしょうか。数学は教科書だけ読んでいると「計算が大変」「普段使わないことばかり」とイメージを持たれがちですが、実は概念は単純であることも多く、私たちの見えないところで活用されているものもまた数学です。日常的に利用する意外なサービスに数学が隠れているので、ぜひ調べてみてください。
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それではまた。
<文/岡崎 凌>
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