疑似相関シリーズ 第10回(最終回)|ミーティングが多いほど成果が低い?
公開日
2026年1月15日
更新日
2026年1月27日
この記事の主な内容
いきなり結論
会議が成果を下げたんじゃない。成果が悪い(迷っている・炎上している)から会議が増えただけかもしれない。
「ミーティングが多いチームほど成果が低い」
この相関、ほぼ確実に見えます。
すると、つい言いたくなる。
「会議を減らせば成果が上がる」
でもこれは、疑似相関の王道。
会議は悪者にもなり得るけど、同じくらい“状況のサイン”でもあります。
相関はヒント。因果は証拠。
最終回は、シリーズの総まとめとして「会議が多い=悪」を一段深く分解し、
成果を上げるために会議をどう扱うべきかを、初心者でも実務で使える形にします。
1. なぜ「会議が多いほど成果が低い」が起きるのか
まず、よくある2つの状況を並べます。
状況A:順調なチーム
・やることが明確
・意思決定が速い
・会議:少ない
・成果:高い
状況B:苦しいチーム
・何を優先すべきか迷っている
・調整が多い/炎上している
・会議:多い
・成果:低い
これをデータでまとめると、当然こう見えます。
会議が多いほど、成果が低い
ここで危ないのが、次の飛躍。
「会議が成果を下げている」
もちろん、会議が長すぎたり多すぎたりすれば生産性は落ちます。
でも多くの場合、本当の因果はこうです。
成果が悪い(迷い・炎上) → 確認と調整が増える → 会議が増える(逆因果)
つまり会議は、原因というより症状であることが多い。
2. 用語を“日本一やさしく”整理する
今回のキーワードは、シリーズで何度も出てきた3つです。
相関(correlation)
Aが増えるとBも増える(または減る)という「いっしょに動く」関係。
会議と成果が一緒に動くことは、普通にあります。
因果(causation)
Aが原因でBが起きるという関係。
相関だけで「会議が成果を下げた」とは言えません。
逆因果(reverse causality)
結果が先に起きて、その結果に反応して“原因っぽいもの”が増えること。
今回なら、
「成果が悪い → 会議が増える」
が典型です。
交絡因子(confounder:こうらくいんし)
会議と成果の両方に効く“黒幕”。
このケースの黒幕候補はだいたいこれ。
・仕様変更が多い(迷いが増える)
・関係者が多い(調整が増える)
・役割が曖昧(決まらない)
・情報が分散(確認が増える)
・優先順位が不明(話し合いが増える)
黒幕が強いほど、会議も増えるし、成果も落ちやすい。
3. 「これは本当? 嘘?」をちゃんと分ける
今回も2つに分解します。
Q1:相関(会議↑ 成果↓)は本当?
本当です。
炎上時ほど会議は増え、成果も落ちやすい。
Q2:因果(会議を増やすと成果が下がる)は本当?
嘘かもしれない。
少なくとも相関だけでは因果は言えません。
むしろ疑うべきは次。
・成果が悪いから会議が増えた(逆因果)
・黒幕(仕様変更・関係者過多・役割不明)が両方に効いている
・会議の“設計ミス”が生産性を削っている
4. ビジネスでの“実害”:会議を減らしても成果が上がらない
ここでやりがちな誤判断はこれです。
・間違い:会議数を減らすことだけをゴールにする
・正しい:会議の役割を分け、決めるべきことを決める
会議が増える本当の理由は、たいていこうです。
・決まらない
・伝わらない
・責任が曖昧
・情報が散らばっている
会議を減らしても、黒幕が残っていれば、成果は戻りません。
つまり大事なのは、
会議の数を減らすことではなく、会議の“往復”を減らすこと
です。
5. 今日から使える:会議のワナチェック「3つだけ」
初心者でも迷わないよう、3つに絞ります。
チェック①:会議が増えたのは「成果が落ちた後」では?(時間順)
原因なら先に起きているはず。
・遅延が発生 → 進捗会議が増える
・クレームが増加 → 対策会議が増える
この順番なら、原因は会議ではなく“炎上”です。
チェック②:会議の種類は何?(決める/共有/相談)
会議が多いチームは、たいてい全部が混ざっています。
・決める会議(意思決定)
・共有会議(情報共有)
・相談会議(詰まり解消)
混ぜるほど長くなり、決まらず、増えます。
チェック③:会議後に「決定」と「次の担当」が残ってる?
会議が増える最大理由は、ここ。
・結論が曖昧
・誰がやるか決まってない
・期限がない
これだと、同じ話を何度もします。
6. 実務の最小アクション:会議を「成果の武器」に変える
最小手を3つ紹介します。
シリーズ全体の“現場テンプレ”として、そのまま使えます。
最小手①:会議を「決める」だけに寄せる
情報共有は会議でやると増えます。
共有は文章、会議は決定。
・事前に資料を配る
・会議では「決める」だけ
これだけで会議時間は落ちます。
最小手②:アジェンダを「質問形」にする
おすすめはこれ。
・今日決めたいこと:◯◯はA/Bどちらにする?
・判断材料:◯◯
・結論の条件:◯◯
質問形にすると、会議が“結論”に向かいます。
最小手③:議事録は1行でいい(でも必ず残す)
会議後に残すのは、これだけ。
・結論:◯◯
・担当:◯◯
・期限:◯◯
これが残ると、会議の往復が止まります。
まとめ(シリーズ総まとめ)
このシリーズで言いたかったことは、これだけです。
・相関は“手がかり”であって、“犯人”ではない
・疑うべきは「逆因果」と「黒幕(交絡因子)」
・分けて見る、時間順を見る、条件を揃える——これで9割防げる
そして今回の最終回。
・会議が多いほど成果が低い相関は出る(これは本当)
・でも「会議が成果を下げる」とは言い切れない(これは嘘かもしれない)
・正体は、逆因果(成果悪化→会議増)+黒幕(仕様変更・関係者過多・役割不明)+設計ミス
・打ち手は「会議を減らす」ではなく、会議を決める場にし、往復を減らす
最後に一言(最終回)。
数字は、あなたをだます。だから、あなたが数字を使いこなす。
(完)





