ヒストグラムの「正解」はどこにある?理論と現場のリアルな最適解
公開日
2025年12月10日
更新日
2026年1月5日
みなさんこんにちは!和からの数学講師の岡本です。普段、データ分析や統計学の講座を担当していると、受講生の方から非常によくいただく質問があります。それが、「ヒストグラムの階級幅(棒の太さ)はどのように決めればいいのですか?」という質問です。
ヒストグラムはデータの分布を可視化する基本のグラフですが、この「区切り方」一つで印象がガラリと変わってしまうため、悩まれる方が多いようです。今回は、この階級幅の決定について、理論と実践の両面から解説します。
この記事の主な内容
1.理論的な正解?「スタージェスの公式」とは
統計学の教科書や理論的なアプローチとして、よく紹介されるのが「スタージェスの公式」です。これは、データ数\(n\)に対して、最適な階級数\(k\)(柱の本数)を求めるための公式で、以下のように表されます。
\begin{align*}
k = 1 + \log_2 n
\end{align*}
ここで\(\log_2 n\)は対数関数で、「2を何乗すればデータ数\(n\)になるか」を表しています。ざっくり言うと、「データ数が増えれば階級数も増やすべきだが、その増やし方は緩やかでいい」ということを示しています。
例えば、データ数が\(n=100\)の場合、\(\log_2 100 \approx 6.64\)なので、\(k \approx 1 + 6.64 = 7.64\)となり、階級数は大体8個くらいが適切だ、という目安を与えてくれます。

2.実務ではスタージェスの公式を使わない理由
「じゃあ、常にこの公式を使えばいいの?」と思われるかもしれませんが、実務の現場では、スタージェスの公式を厳密に使うことはあまりありません。なぜでしょうか?最大の理由は、この公式が「元のデータが正規分布(きれいな山型)であること」を前提としているためです。
実際のビジネスデータや観測データは、山が二つあったり、左右に極端に歪んでいたりと、綺麗な正規分布をしていないことが多々あります。そのようなデータに対してスタージェスの公式を適用すると、特徴をうまく捉えきれず、逆に分布の形をミスリードしてしまうことがあるのです。
3.結局どうすればいい?
では、実際にはどういう判断で階級幅を決めているのでしょうか?私のおすすめは、「まずはビンの個数(階級数)が10前後になるように設定してみる」というアプローチです。
10個程度に分割してみて、データの山が潰れすぎているなら数を増やし、逆にスカスカで歯抜けになっているなら数を減らす。このように、実際にグラフを見ながら微調整(試行錯誤)するのが最も確実です。
4.さいごに:データの可視化に「絶対の正解」はない
データの可視化において最も重要なのは、「データの内容や特徴を、いかにわかりやすく相手に伝えるか」です。
そのため、階級幅の決定に絶対的な正解はありません。分析者が「この幅が一番データの特徴を表している!」と確信を持って説明できるのであれば、それが正解なのです。公式にとらわれず、「わかりやすさ」を最優先にグラフを作ってみてください。
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<文/ 岡本健太郎>



