マツナカクエスト”キラキラ数学を探せ!” -第3話-
公開日
2024年11月17日
更新日
2025年1月30日
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◾️第3話:ミニチュア数の世界 – 有限の数で数学を楽しもう!
こんにちは!数学大好きな松中宏樹です。
本シリーズでは、数学の不思議で美しい世界をわかりやすくお届けしています。
今回は、通常の数の世界を少し離れ、「ミニチュア数の世界」をご紹介します。これは有限個の数で四則演算を楽しむことができる不思議な数の世界です。しかも、最終的には「素数ってすごい!」と感動する内容になっていますので、ぜひお楽しみください!
この記事の主な内容
ミニチュア数の世界って何?
普段私たちが使う数の世界では、例えば「3 + 5 = 8」や「3 × 5 = 15」といった計算が当たり前ですよね。しかし、今回はちょっと変わった世界の話です。
このミニチュア数の世界では、なんと「3 + 5 = 2」や「3 × 5 = 3」になるのです!
一見すると「何それ?」と思うかもしれませんが、この仕組みは「余り」を使うことで成り立っています。
6で割った世界 – Z₆の世界
まずは「6で割った余り」を使った世界を考えてみましょう。この世界では、すべての計算が「6で割った余り」で表現されます。
例えば:
– 3 + 5 = 2:普通なら8ですが、6で割ると余りが2になります。
– 3 × 5 = 3:15を6で割ると余りが3になります。
このように、通常の計算結果を6で割った余りとして扱う世界を、数学では Z₆(ゼットシックス) と呼びます。ここでは、登場する数は「0, 1, 2, 3, 4, 5」の6種類だけです。この数たちを使って四則演算を楽しむのが、ミニチュア数の世界の魅力なのです!
5で割った世界 – Z₅の世界
次に「5で割った余り」を使った世界、Z₅ の話をしてみましょう。この世界では、登場する数は「0, 1, 2, 3, 4」の5種類です。この数たちで足し算や掛け算を行います。例を見てみましょう。
◾️足し算の例
足し算のルールは簡単です。普通に計算して、5で割った余りを求めればOKです。
– 1 + 3 = 4:普通に計算しても4。
– 1 + 4 = 0:5を超えた場合は余りを取ります。
– 2 + 3 = 0:同じく5を超えたので余りは0です。
◾️掛け算の例
掛け算も同様です。普通に計算して、5で割った余りを取ります。
– 2 × 2 = 4:余りはそのまま4。
– 2 × 3 = 1:6を5で割った余りは1。
– 3 × 4 = 2:12を5で割った余りは2。
このように、通常の九九とは少し異なる掛け算表ができますが、計算はシンプルです。
◾️割り算はどうなる?
では、このミニチュア数の世界で「割り算」はどうなるのでしょうか?普通の世界では、「3 ÷ 2 = 1.5」のような結果が得られますが、Z₅の世界には「1.5」という数は存在しません。ここで割り算を行うには、次のルールを使います。
「割り算は掛け算の逆」
つまり、「3 ÷ 2」は「2を掛けて3になる数」を探すことと同じです。
◾️具体例
Z₅の世界で「3 ÷ 2」を計算する場合:
掛け算表を見ると、「2 × 4 = 3」という結果があります。
つまり、この世界では「3 ÷ 2 = 4」になります。
この方法を使えば、Z₅の世界でも割り算が可能です。ただし、0で割ることだけはできないというルールは、この世界でも変わりません。0を何倍しても他の数にはならないからです。
素数で割った世界の特別さ
ここで重要なポイントが1つあります。
それは、「素数で割った世界」には特別な性質があるということです。
例えば:
Z₅(5で割った世界)では、すべての数が1対1に対応し、割り算も問題なく行えます。
一方で、Z₆(6で割った世界)では、割り算がうまくいかない場合があります。
なぜなら、6は「素数」ではないからです。素数ではない数で割った世界では、割り算が成立しない場合があるのです。この違いが「素数が特別である理由」の1つです。
応用 – 素数と暗号の関係
ミニチュア数の世界は、実は暗号技術などに応用されています。特に「素数で割った世界」は、情報の安全性を確保するために重要な役割を果たします。
銀行やオンラインサービスのセキュリティ技術の裏側にも、このミニチュア数の考え方が隠されているのです。