相関と回帰-第3回:施策判断に使える回帰の考え方【統計学をやさしく解説】
公開日
2025年12月26日
更新日
2026年1月13日
この記事の主な内容
はじめに|「どれくらい増やせば、どれくらい増える?」
相関と因果の違いを理解すると、次に出てくる疑問があります。
「では、実務ではどう使えばいいのか?」
第3回では、相関を“施策判断”に落とす方法として、回帰の考え方を紹介します。
今回の事例は、
・営業訪問回数
・受注件数
という、ビジネスの現場でよく使われるデータです。
1. 営業訪問回数と受注件数の関係
まずは、2つの数字を並べて見てみましょう。
・訪問回数が多い営業ほど
・受注件数も多い
という傾向が見られることは珍しくありません。
2. 回帰とは何か|「一番それっぽい線」を引く
散布図を見ていると、
「このあたりに線を引けば、全体を表せそう」
と感じることがあります。
その一番それっぽい線を、
回帰直線(かいきちょくせん)
と呼びます。
回帰とは、
・点と点の関係を
・1本の線でまとめる
考え方です。
3. 回帰直線が教えてくれること
回帰直線があると、次のようなことが分かります。
・訪問回数が増えると、受注はどれくらい増えそうか
・全体としての平均的な関係
重要なのは、個別の結果を当てるための線ではない
という点です。
4. 回帰直線の式をどう読むか
回帰直線は、次のような形で表されます。
受注件数 = a × 訪問回数 + b
ここで大切なのは、
・a:訪問回数が1増えたときの平均的な増え方
・b:訪問回数が0のときの基準値
という意味です。
計算方法より、
「何を表しているか」
を理解することが重要です。
5. 施策判断にどう使うのか
回帰の強みは、
「どれくらい変えれば、どれくらい変わりそうか」
を考えられる点にあります。
例えば、
・訪問回数を月5回増やしたら
・受注は平均でどれくらい増えそうか
といった施策レベルの判断ができます。
6. 回帰は万能ではない
ここで、もう一度大切な注意点です。
・回帰は予言ではない
・平均的な傾向を示すだけ
・前提が変わると、当てはまらない
という制限があります。
特に、
・営業の質
・案件の難易度
といった要因は、
回帰直線には直接表れません。
全3回のまとめ|相関と回帰をどう使うか
さて、3回に分けて相関と回帰についてみてきました。
第1回では、数字の関係をまず「見る」ことを学び、散布図と相関係数は、直感を裏切らずに全体像をつかむための道具として理解しました。
第2回では、その関係をすぐに信じない姿勢を身につけました。相関があっても原因とは限らず、第3の要因を疑うことが、判断ミスを防ぎます。
第3回では、相関を施策判断に使うための回帰の考え方を紹介しました。回帰直線は未来を言い切るためのものではなく、意思決定を支える“目安”です。
この3ステップ――
・見る
・疑う
・判断する
を意識するだけで、数字は「説明の道具」から「考える道具」に変わります。
統計は難しい計算ではなく、仕事でより良い判断をするための共通言語です。





