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代表値とは?平均と中央値の違い・求め方・使い分けをビジネス例でやさしく解説【統計学】

公開日

2025年10月8日

更新日

2026年7月26日

「うちの部署の平均売上は160万円です」と報告したら、上司から「でも実際のところ、みんなそんなに売れてるの?」と聞き返された——。データを扱う仕事をしていると、こんな場面に出会うことがあります。平均は誰もが知っている数字なのに、なぜか実感とズレる。その理由と対処法が、この記事のテーマです。

データの特徴を「たった一つの数字」で言い表したものを代表値といいます。代表値には主に平均値・中央値・最頻値の3つがあり、どれを使うかで見えてくる景色がまったく変わります。この記事(全2回の第1回)では、もっともよく使う平均値と中央値を取り上げ、計算の仕方から実務での使い分けまでを、数式が苦手な方にもわかるように解説します。

この記事のポイント

代表値とは、データ全体の特徴を1つの数字で表したもの。平均値・中央値・最頻値の3種類がある
平均値は「全部を足して人数で割る」。計算が簡単で総額の把握に強いが、極端な値(外れ値)に大きく引っ張られる
中央値は「小さい順に並べたときの真ん中」。外れ値の影響を受けにくく、年収・家賃・地価など偏りのあるデータで実態を表す
実務では「どちらか」ではなく「両方を並べて見る」のが正解。平均と中央値の差が大きいほど、データは偏っている

結論|平均は「総額感」、中央値は「実態感」。両方を並べて見る

先に結論からお伝えします。平均値と中央値は、どちらが正しいという関係ではありません。見たいものが違うのです。

平均値=全体をならした数字。「合計するとどれくらいか」を知りたいときに使う。
中央値=ちょうど真ん中の人の数字。「典型的な一人はどれくらいか」を知りたいときに使う。

そして実務でもっとも役に立つのは、この2つを並べて見たときの差です。平均値が中央値より大きく上回っていれば、一部の大きな値がデータを引き上げている=データは右に裾を引いた形をしている、と読み取れます。この一手間だけで、数字の見方は格段に正確になります。

▼動画でも解説しています(約5分)

そもそも代表値とは?

手元に100人分の売上データがあるとします。100個の数字をそのまま眺めても、全体像はつかめません。そこで「この集団を一言で言うと、だいたいこれくらい」という数字を1つ選びます。これが代表値です。

代表値には主に次の3つがあります。

代表値 意味 ひとことで言うと
平均値(へいきんち) すべての値を合計して個数で割った値 ならした値
中央値(ちゅうおうち) 小さい順に並べたときの真ん中の値 真ん中の値
最頻値(さいひんち) もっとも多く登場する値 いちばん多い値

この記事では平均値と中央値を扱います。最頻値については、続編の代表値② 最頻値と3つの使い分けで詳しく解説しています。

平均値とは?計算方法と特徴

平均値は、もっとも身近な代表値です。計算方法はシンプルで、全部足して、個数で割るだけです。

平均値 = すべての値の合計 ÷ データの個数

営業担当5名の今月の売上を例に計算してみましょう。

担当者 売上(万円)
Aさん 100
Bさん 120
Cさん 130
Dさん 150
Eさん 300
合計 800
平均値 160

合計800万円を5人で割って、平均は160万円。計算自体はまったく難しくありません。ところが、ここに落とし穴があります。

平均値の弱点:たった1人の「飛び抜けた値」に引っ張られる

もう一度、5人の数字を見てください。100・120・130・150・300。平均の160万円を超えているのはEさん1人だけです。残りの4人は全員、平均を下回っています。「平均160万円」と聞いて多くの人が想像する「だいたいみんな160万円くらい」という状態とは、まるで違いますね。

原因はEさんの300万円です。ほかの4人から大きく離れたこうした値を外れ値といい、平均値は外れ値に非常に弱いという性質を持っています。試しにEさんが400万円だったとすると平均は180万円に跳ね上がりますが、他の4人の売上は1円も変わっていません。

平均値は、一部の極端な値によって、集団の実態からずれてしまうことがある。これが平均値の最大の注意点です。

平均値の要点
・計算が簡単で、誰にでも伝わりやすい
・合計を人数で割るため、総額や予算の把握に向いている
・外れ値に弱く、少数の大きな値に引っ張られる

中央値とは?求め方と特徴

そこで登場するのが中央値です。中央値は、データを小さい順に並べたときにちょうど真ん中に来る値を指します。足し算も割り算も使いません。並べて、真ん中を指差すだけです。

先ほどの5人を小さい順に並べてみます。

100 → 120 → 130 → 150 → 300

5人の真ん中、3番目はCさんの130万円。これが中央値です。平均の160万円と比べると、30万円も低い値になりました。そして「5人のうち2人が130万円以下、2人が130万円以上」という意味で、この130万円のほうが典型的な担当者の姿をよく表しています。

代表値① 平均と中央値-:両方見る

データが偶数個のときは?

データが4個、6個…と偶数個のときは、ぴったり真ん中の1つが決まりません。その場合は真ん中2つの平均を中央値とします。

たとえば 100・120・150・300 の4人なら、真ん中の2つは120と150。

(120 + 150)÷ 2 = 135万円

この135万円が中央値になります。ルールはこれだけです。

中央値の要点
・小さい順に並べて真ん中を取るだけ。計算らしい計算が不要
・外れ値の影響をほとんど受けない(Eさんが300万円でも1,000万円でも中央値は130万円のまま)
・年収・家賃・地価・貯蓄額など、上に大きく偏るデータで実態をつかみやすい

なぜ平均と中央値はズレるのか

2つの値がズレる理由は、データの分布が左右対称ではないからです。

身長のように「平均あたりに人が多く、大きい方にも小さい方にも同じくらい散らばる」左右対称のデータでは、平均値と中央値はほぼ一致します。一方、年収や売上のように「下限はあるが上限がない」データでは、上のほうに少数の大きな値が長く伸びます。この形を右に裾を引いた分布と呼び、このとき平均値は中央値より大きくなります。

データの形 平均と中央値の関係 よくある例
左右対称 平均 ≒ 中央値 身長、テストの点数、製品の寸法
右に裾が長い 平均 > 中央値 年収、売上、家賃、貯蓄額、滞在時間
左に裾が長い 平均 < 中央値 満点に張り付く試験、達成率の高い指標

だから「平均と中央値の差」そのものが情報になります。差が小さければデータはきれいに散らばっており、差が大きければ一部の突出した値が全体を引き上げている、と判断できます。

実例|日本の平均年収と中央値

この違いがもっともよく表れるのが年収データです。ニュースで「平均年収は◯◯万円」と報じられると、「自分はそんなにもらっていない」と感じる方が多いのではないでしょうか。それは錯覚ではありません。

年収は0円未満にはなりませんが、上には数千万円、数億円という人が存在します。この少数の高額所得者が平均を押し上げるため、平均年収は、実際の「真ん中の人」の年収よりかなり高く出るのです。実際、公的統計でも平均年収と中央値には数十万円規模の差があり、中央値のほうが低くなります。

ですから「自分の年収は平均以下だ」と落ち込む必要はありません。比べるべきは中央値のほうです。同じことは家賃相場、マンション価格、ECサイトの注文単価にも当てはまります。

ビジネスでの使い分け

実務では、次のように使い分けると判断を誤りにくくなります。

場面 見るべき指標 理由
売上・予算の合計を見積もる 平均値 平均 × 件数 = 合計になるため、総額の計算に直結する
給与レンジを設計する 中央値 一部の高額報酬に引きずられず、標準的な水準を把握できる
家賃・物件価格の相場を知る 中央値 高額物件が平均を押し上げるため、実勢を表すのは中央値
ECの注文単価を分析する 両方 平均で売上インパクト、中央値で普段のお客様像をつかむ
品質管理で規格の中心を見る 平均値 左右対称に散らばるデータでは平均が最も安定した指標になる

代表値① 平均と中央値:中央値と平均の使い分け(採用広報/予算編成)

たとえば社員30名の会社で、平均年収500万円・中央値420万円だったとします。この80万円の差は「役員や一部の高給者が平均を引き上げている」というサインです。採用広報で「平均年収500万円」と打ち出すと、入社した方の実感とズレて不信感につながりかねません。一方、予算編成で人件費総額を見積もるなら、平均値 × 人数のほうが正確です。同じデータでも、目的によって使う数字が変わるのです。

かんたんチェックリスト

□ 外れ値に引っ張られていないか?(平均の弱点を意識する)
□ 典型的な値はいくつか?(中央値を確認する)
□ 伝えたい相手が知りたいのは「総額感」か「実態感」か?
□ 平均と中央値の差はどれくらいか?(差が大きければデータは偏っている)

代表値① 平均と中央値:かんたんチェックリスト

よくある質問(FAQ)

Q1. 平均値と中央値、どちらを使えばいいですか?

目的次第です。合計や総額を見積もりたいときは平均値、「典型的な一人」の姿を知りたいときは中央値が適しています。迷ったら両方を計算し、並べて示すのが最も誠実で、実務でも安全な方法です。差が大きければ、データが偏っているという追加の情報も得られます。

Q2. 中央値の求め方を教えてください。

データを小さい順に並べ、真ん中の値を取ります。データが奇数個ならちょうど真ん中の1つ、偶数個なら真ん中2つの平均が中央値です。たとえば100・120・130・150・300なら中央値は130、100・120・150・300なら(120+150)÷2=135になります。

Q3. なぜ「平均年収」は実感より高く感じるのですか?

年収は下限が0で上限がないため、ごく一部の高額所得者が平均を大きく押し上げるからです。このようなデータでは平均値が中央値を上回ります。実態に近いのは中央値のほうなので、自分の年収を比べる相手としては中央値が適しています。

Q4. ExcelやGoogleスプレッドシートではどう計算しますか?

平均値はAVERAGE関数、中央値はMEDIAN関数を使います。たとえばA1からA100にデータがあるなら、=AVERAGE(A1:A100) と =MEDIAN(A1:A100) を並べて入力すれば、両方を一度に確認できます。最頻値はMODE関数です。

Q5. 最頻値(モード)はいつ使うのですか?

「もっとも多く現れる値」を知りたいときに使います。サイズ展開の売れ筋やアンケートの最多回答など、数値の大小より頻度が意味を持つ場面で有効です。詳しくは続編の「代表値② 最頻値と3つの使い分け」で解説しています。

まとめ|平均で全体を、中央値で実態をつかむ

平均値は「全体をならした数字」、中央値は「真ん中の代表」。この2つは対立するものではなく、役割が違う2本の物差しです。平均だけを見ると一部の極端な値に判断を誤らされ、中央値だけを見ると総額の感覚を失います。

実務でおすすめしたいのは、レポートに平均値と中央値を必ず並べて書くという習慣です。たったこれだけで「このデータは偏っているのか、素直なのか」がひと目でわかり、報告を受ける側の理解も格段に深まります。数字の物語が立体的に見えてくる、というのはそういうことです。

次回は、もう一つの代表値である最頻値(モード)を取り上げ、平均・中央値・最頻値の3つをどう使い分けるかを具体例で紹介します。

あわせて読みたい:
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度数分布表とヒストグラム-【統計学をやさしく解説】
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<文/綱島佑介>

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