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プロンプトエンジニアリング完全ガイド|結果が10倍変わる7つの型

公開日

2026年6月4日

更新日

2026年6月3日

「ChatGPTやClaudeに同じ質問をしているのに、人によって返ってくる結果が大きく違う」——その差を生む要因の一つがプロンプトエンジニアリングです。本記事では、生成AIの回答品質を高めるために押さえておきたい7つの型と、業務別のプロンプト例、避けたいアンチパターン、実務で起こりやすい失敗事例を、累計3万人以上を指導してきた和からの視点で整理します。読了の目安は約16分です。

1. プロンプトエンジニアリングとは何か

結論:プロンプトエンジニアリングとは、生成AIから目的に合った回答を引き出すための指示設計の技術です。コードを書く人だけの専門技術ではなく、資料作成・企画・営業・人事・分析など、幅広い業務で役立つ新しいビジネスリテラシーです。

ChatGPT・Claude・Gemini・Copilotといった生成AIは、ビジネスの現場でも使われる場面が増えています。一方で、パーソル総合研究所の調査では、業務での生成AI利用率は全国の就業者で32.4%にとどまり、週4日以上使っているヘビーユーザーは11.7%でした。「試してはみたものの、期待した結果が出ない」と感じて使わなくなる人も少なくありません。その差は、ツールそのものの性能だけでなく、プロンプトの組み立て方にも大きく左右されます。

2. 結果が変わる7つのプロンプト型

ここでは、業務で使いやすい7つの型を紹介します。どれもそのまま覚えるというより、自分の仕事に合わせて少しずつ調整しながら使うのがおすすめです。

2-1. CRISPE型(万能型)

Capacity(専門性・役割)/Role(立場)/Insight(背景情報)/Statement(依頼内容)/Personality(トーン)/Experiment(追加検討)の頭文字を使った型です。背景や目的を整理して伝えやすく、多くの業務シーンに応用できます。

あなたは経験豊富なBtoBマーケティングコンサルタントです(C+R)。
私は中堅製造業のマーケティング部長で、新製品のターゲット選定に悩んでいます(I)。
ターゲット選定の判断軸を5つ提案し、それぞれの根拠と注意点を述べてください(S)。
論理的かつ実務的なトーンで、専門用語は最小限にしてください(P)。
回答後、別の視点から見た追加論点が3つあれば示してください(E)。

2-2. RTF型(最速型)

Role(役割)/Task(タスク)/Format(出力形式)の3点を指定する型です。短い指示でも回答の方向性をそろえやすく、日常業務で使いやすい定番の形です。

あなたは新卒採用担当です(Role)。
新卒向けの会社紹介メールの本文を書いてください(Task)。
件名・本文・署名の構成で、本文は400字以内にしてください(Format)。

2-3. COSTAR型(汎用バランス型)

Context(文脈)/Objective(目的)/Style(文体)/Tone(トーン)/Audience(読み手)/Response(応答形式)を整理する型です。読み手や目的を明確にしたい文章作成、企画書、提案資料などで使いやすい形式です。

2-4. TAG型(質問特化型)

Task(タスク)/Action(具体的な行動)/Goal(ゴール)を明確にする型です。質問への回答、課題整理、改善案の作成など、目的がはっきりしている場面で力を発揮します。

2-5. ICE型(ライティング特化型)

Instruction(指示)/Context(文脈)/Examples(例示)を組み合わせる型です。ブログ、メール、SNS投稿、プレスリリースなど、文章の雰囲気や書き方をそろえたい時に便利です。

2-6. Few-Shot Prompting(例示型)

「この入力には、このように返してほしい」という例をいくつか示してから本番の依頼をする方法です。出力フォーマットや文章のトーンをそろえたい時に効果的です。

以下の形式で社内通知を作成してください。

例1:
件名:[重要] サーバーメンテナンスのお知らせ
本文:6月3日(火) 22時〜24時にサーバーメンテナンスを実施します。

例2:
件名:[注意] 経費申請期限の変更
本文:経費申請の期限を月末から月20日に変更します。

本番:
内容:来週の全社ミーティングが30分早まる
件名と本文を作成してください。

2-7. Chain of Thought(段階分解型)

複雑な問題を一度に答えさせるのではなく、前提・分解・評価・結論の順に整理させる方法です。論理的な判断、数値を含む検討、複数条件の比較などで役立ちます。

以下の問題について、前提・数値分解・評価・提案の順に整理してください。
「3年で売上を1.5倍にしたい。現在の売上1億円、平均単価10万円、リピート率40%。
 何をいくつ伸ばすべきか、3つの戦略案を出してください。」

回答では、まず以下を整理してください。
1. 数値分解(KGI→KPI)
2. 各KPIの現在値と目標値
3. それぞれの実現可能性
そのうえで、最終的な戦略案を簡潔に提示してください。

プロンプトエンジニアリングの7つの型を示すサークル図
図1:プロンプト設計に使える7つの型(CRISPE/RTF/COSTAR/TAG/ICE/Few-Shot/CoT)

3. ChatGPT/Claude/Geminiでプロンプトはどう変えるか

モデル 得意なこと プロンプトのコツ
ChatGPT 汎用的な文章作成、企画、要約、画像生成との連携 役割・目的・出力形式を明確に指定する
Claude 長文の読解、要約、分析、コーディング支援 <context>や<task>のように情報を区切ると扱いやすい
Gemini Googleサービスとの連携、情報確認、マルチモーダル処理 確認したい情報や参照したい資料を明確にする
Copilot Microsoft 365連携、Excel・Word・PowerPointの業務支援 対象ファイル・セル範囲・作業内容を具体的に指定する

同じプロンプトでも、モデルによって出力の傾向は異なります。1つのモデルだけに固定するのではなく、目的に応じて使い分けることが、これからの生成AI活用では重要になります。

4. 業務別プロンプト例

4-1. 営業部門

あなたは法人営業のプロフェッショナルです。
以下の議事録から、お客様の懸念点を3つに整理し、
それぞれに対する回答案を300字以内で作成してください。
回答は誠実かつ論理的なトーンにしてください。

[議事録]:(ここに貼り付け)

4-2. 人事部門

以下の求める人物像から、面接質問を10問作成してください。
- 動機・志望度を確認するもの:3問
- 行動特性を測るもの(STAR法):3問
- 課題解決力を測るもの:2問
- 文化適合を測るもの:2問
各質問に「何を見たいか(評価ポイント)」も併記してください。

4-3. 企画・マーケ部門

あなたはマーケティングストラテジストです。
新サービス[サービス名]について、
1. ターゲットペルソナ(3パターン)
2. 各ペルソナのインサイト
3. それに対するキャッチコピー案(5案)
を作成してください。回答は表形式にしてください。

4-4. データ分析担当

以下のSQLを実行する目的を、ステップごとに解説してください。
さらに、パフォーマンス改善の余地があれば指摘し、
書き換えたSQLも提示してください。

SELECT ...(クエリを貼り付け)

なお、実務の議事録や顧客情報、社内データを貼り付ける場合は、機密情報や個人情報を含めないよう注意してください。必要に応じて匿名化し、社内ルールに沿って利用することが大切です。

5. プロンプトのアンチパターン|避けたい5つ

  1. 抽象すぎる依頼:「いい感じに作って」だけでは、何が「いい」のかAIに伝わりません。
  2. 役割を指定していない:「営業担当として」「採用担当として」などの前提がないと、回答が一般論になりやすくなります。
  3. 長いだけの前置き:情報を大量に入れても、目的や優先順位が分からなければ焦点がぼやけます。
  4. 出力フォーマットを指定していない:「箇条書き」「表」「JSON」などを指定しないと、毎回違う形式になりやすくなります。
  5. 一度で完璧を狙う:最初の回答をもとに、「もう少し具体的に」「表現を柔らかく」など、数回改善する方が品質は上がりやすくなります。

6. 実務で起こりやすいプロンプト失敗事例

プロンプトエンジニアリングは、うまく使うと作業時間を短縮できます。一方で、指示の出し方が曖昧なままだと、もっともらしいけれど使えない回答や、確認不足のまま社外に出せない内容が生成されることがあります。ここでは、研修や現場相談でよく見られる失敗を、個社情報が分からない形に整理して紹介します。

失敗事例を見るときのポイント

失敗の多くは、AIの性能不足だけでなく、目的・前提・制約・出力形式・確認方法のいずれかが抜けていることから起こります。「AIが間違えた」で終わらせず、どの条件が足りなかったのかを見直すことが大切です。

6-1. 失敗事例①:営業資料で、架空の競合情報が混ざった

よくある失敗:営業担当が「競合比較表を作って」とだけ依頼したところ、AIが実在する競合名に加えて、確認できない価格や機能まで表に入れてしまいました。見た目は整っていたものの、社外提案資料としては使えず、結局すべて人の手で確認し直すことになりました。

失敗しやすいプロンプト:
A社・B社・C社の競合比較表を作ってください。

原因:参照してよい情報源、推測してはいけない項目、不明な場合の書き方を指定していなかったことが原因です。AIは空欄を嫌うため、足りない情報を自然な形で補ってしまうことがあります。

改善プロンプト:
あなたはBtoB営業資料の作成担当です。
以下に貼り付ける情報だけを使って、A社・B社・C社の比較表を作成してください。

条件:
- 価格・機能・導入実績は、資料内に書かれている情報だけを使う
- 資料内にない情報は「未確認」と記載する
- 推測で埋めない
- 最後に「追加確認が必要な項目」を箇条書きで出す

出力形式:
比較表 → 補足コメント → 追加確認が必要な項目

[ここに公式資料・社内メモ・調査結果を貼り付け]

6-2. 失敗事例②:人事評価コメントが、抽象的で誰にでも当てはまる内容になった

よくある失敗:人事部門で評価コメントの下書きを作ろうとしたところ、「主体性がある」「今後の成長が期待される」といった、誰にでも使える一般的な文章ばかりになりました。そのままでは評価面談で使えず、管理職が大幅に修正することになりました。

失敗しやすいプロンプト:
この社員の評価コメントをいい感じに書いてください。

原因:評価軸、事実、避けたい表現、本人に伝えたいメッセージが指定されていなかったためです。評価コメントでは、抽象的な美辞麗句よりも、具体的な行動事実に基づく表現が重要です。

改善プロンプト:
あなたは人事評価コメントの作成を支援する担当者です。
以下の事実情報をもとに、評価面談で使えるコメント案を作成してください。

評価軸:成果、行動、協働、改善姿勢
条件:
- 事実に基づいて書く
- 性格の決めつけは避ける
- 過度に断定しない
- 本人が次に取るべき行動が分かるようにする
- 300字以内

事実情報:
[成果・行動・周囲からのフィードバックを箇条書きで入力]

6-3. 失敗事例③:データ分析で、相関を因果のように説明してしまった

よくある失敗:売上データと広告費データをAIに渡して「分析して」と依頼したところ、「広告費を増やしたため売上が増えた」と断定的なコメントが出ました。しかし実際には、季節要因やキャンペーン、在庫状況なども影響しており、広告費だけが原因とは言えませんでした。

失敗しやすいプロンプト:
このデータを分析して、売上が伸びた理由を教えてください。

原因:AIに「因果関係を断定しない」「仮説として扱う」「追加で確認すべき変数を出す」といった条件を伝えていなかったことが原因です。データ分析では、見た目の関係性と本当の原因を分けて考える必要があります。

改善プロンプト:
あなたはデータ分析担当者です。
以下のデータから、売上増加に関連していそうな要因を整理してください。

条件:
- 相関関係と因果関係を分けて説明する
- 断定せず、「可能性がある」「追加検証が必要」と表現する
- 季節性、キャンペーン、価格変更、在庫状況など、確認すべき追加要因も挙げる
- 最後に、次に行うべき分析手順を3つ提示する

[ここにデータ概要・集計結果・列定義を貼り付け]

6-4. 失敗事例④:社内通知メールが、対象者に合わないトーンになった

よくある失敗:全社員向けの制度変更メールを作成したところ、文章がカジュアルすぎたり、逆に堅すぎて要点が伝わりにくくなったりしました。内容自体は間違っていなくても、読み手や目的に合っていないため、問い合わせが増えてしまいました。

失敗しやすいプロンプト:
制度変更のお知らせメールを書いてください。

原因:読み手、目的、必ず伝える内容、避けたいトーンを指定していなかったためです。社内通知では、文章のきれいさよりも、「誰が、いつまでに、何をすればよいか」が伝わることが重要です。

改善プロンプト:
あなたは人事部の社内広報担当です。
全社員向けに、制度変更のお知らせメールを作成してください。

読み手:全社員(アルバイト・契約社員を含む)
目的:制度変更の概要と、各自が必要な対応を理解してもらう
必ず入れる内容:
- 変更開始日
- 変更理由
- 対象者
- 社員が行う手続き
- 問い合わせ先
トーン:丁寧だが、難しい法務表現は避ける
出力形式:件名、冒頭文、変更内容、必要な対応、問い合わせ先

6-5. 失敗事例⑤:機密情報をそのまま貼り付けてしまった

よくある失敗:議事録の要約や契約書レビューを急いで行う中で、顧客名、金額、個人名、未公開情報をそのままAIに貼り付けてしまうケースがあります。プロンプトの書き方以前に、入力してよい情報かどうかの判断が必要です。

原因:「何を入力してはいけないか」がチーム内で明文化されていないことが大きな原因です。プロンプトテンプレートを作る際は、便利な指示文だけでなく、入力前の確認ルールもセットで整える必要があります。

入力前チェック用プロンプト:
以下の文章をAIに入力してよいか確認したいです。
本文そのものは要約せず、含まれている情報の種類だけを分類してください。

確認項目:
- 個人情報が含まれているか
- 顧客名・取引先名が含まれているか
- 金額・契約条件・未公開情報が含まれているか
- 匿名化すべき箇所があるか

出力形式:
リスクあり/リスク低い/匿名化が必要、の3段階で判定してください。

このように、失敗事例をテンプレート化しておくと、チーム内で同じミスを繰り返しにくくなります。プロンプトは「うまくいったもの」だけでなく、「うまくいかなかったもの」も記録しておくと、組織全体のAI活用レベルを上げやすくなります。

7. プロンプトの再利用とテンプレ化

個人で蓄積したプロンプトをチームで共有できるようにすると、生成AI活用は個人スキルではなく組織の力になります。

  • Notion / Confluence:プロンプトライブラリページを作成する
  • 変数化:[商品名]、[ターゲット]、[期間]などを変数として共通化する
  • バージョン管理:v1、v2のように版を残し、後から比較できるようにする
  • レビューフロー:新しいプロンプトはチームで月1回見直す
  • セキュリティガイドライン:機密情報や個人情報を扱う場合のルールを明文化する

8. 和からの生成AI活用教室・法人研修

本記事をここまでお読みいただいた方に、和からのサービス内容も簡単にご紹介します。

  • 個人向け:社会人のための生成AI活用教室(マンツーマン中心)
  • 法人向け:生成AI法人研修(業種別カスタム、製薬・自治体・法律事務所などの支援実績)
  • 主要モデル横断:ChatGPT・Claude・Gemini・Copilotの実務での使い分けを学べます
  • セキュリティ・ガバナンス研修と組み合わせた設計も可能です
  • 渋谷・大阪・全国オンライン対応/文系出身講師も多数在籍しています

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9. よくある質問(FAQ)

Q1. プロンプトエンジニアリングは独学で習得できますか?

基本的な考え方は独学でも学べます。ただし、業務で成果につなげるには、自分の仕事に合わせた型やテンプレートを持つことが重要です。研修やマンツーマン指導を使うと、試行錯誤の時間を短縮しやすくなります。

Q2. プロンプトの違いで、本当に結果は大きく変わりますか?

変わります。同じ依頼でも、「いい感じに資料を作って」と書く場合と、「役割・目的・出力形式・制約条件」を整理して書く場合では、生成結果の使いやすさが大きく異なります。競合比較、評価コメント、データ分析のような実務では、条件が曖昧なままだと確認作業が増えるため、結果的に作業時間にも大きな差が出ます。

Q3. 機密情報を含む業務でプロンプトはどう扱えばよいですか?

入力内容の扱いは、利用するサービスや契約形態によって異なります。機密情報や個人情報を扱う場合は、個人向けサービスにそのまま入力せず、法人契約、社内ルール、情報管理ポリシーを確認した上で利用してください。

Q4. プロンプトエンジニアリングの知識はすぐに古くなりませんか?

個別のテクニックは、モデルの進化に合わせて変わっていきます。一方で、「目的を明確にする」「役割を指定する」「出力形式をそろえる」「制約条件を伝える」といった基本原則は、モデルが変わっても応用できます。

Q5. 学習期間の目安はどれくらいですか?

基本的な7つの型を理解するだけなら、2〜4週間ほどが目安です。実際の業務で安定して使えるようにするには、2〜3ヶ月ほどかけて、自分の業務に合わせたテンプレートを整えていくとよいでしょう。和からのマンツーマンでは、あなたの業務シーンに合わせた学習ルートを設計します。

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