現在重要視されているポータブルスキル-第2回:課題を見抜く“データ思考”がキャリアを強くする
公開日
2025年11月6日
更新日
2025年10月31日
この記事の主な内容
はじめに:問題の“本質”を見抜ける人が生き残る
前回の記事では、ポータブルスキルの中核として「現状を把握する力」を紹介しました。今回はその延長線上で、「課題を見抜く力」、すなわち課題設定力に焦点を当てます。
課題が山積みの現代ビジネスでは、「何が問題なのか」を正確に見極める力が求められます。多くの人が目の前の現象に引っ張られ、「売上が落ちている」「ミスが多い」といった結果だけを見てしまいがち。しかし、そこから一歩踏み込んで「なぜそうなったのか?」を考えることこそが、真の課題設定力です。
この課題設定力を支えるのが、“データ思考”。感覚ではなく、事実と数値から問題の本質を探り出す力です。どんな業種でも、データを使って考えられる人ほど成果を出しやすく、キャリアの持続力が高まります。
課題設定力とは?-問題解決のスタート地点
厚生労働省が定義する「課題設定力」とは、現状と理想のギャップを明確にし、解決すべき課題を定める力です。単なる“課題発見”ではなく、「どの課題に取り組むべきか」を見極める選択力でもあります。
・現象を観察して、何が起きているかを把握する
・データや事実を集めて、原因を分析する
・理想(あるべき姿)と現状の差を整理する
・最も効果的に成果を出すための課題を定める
これらのステップを踏むことで、表面的な問題に惑わされず、「根本原因」に迫ることができます。まさに、課題設定力はすべての問題解決スキルの出発点です。

データ思考が課題設定力を強くする理由
1. 感覚ではなく事実で語れる
「売上が落ちている」という現象に対し、感覚的に「景気が悪いから」と結論づけるのは危険です。データ思考を使えば、「購買単価の低下」「特定顧客層の離脱」「リピート率の変化」など、数字で裏付けされた原因を特定できます。事実をもとに考えることで、誤った方向に進むリスクを減らせます。
2. 本質的な課題を見極められる
データを分析することで、「見えている問題」と「本当の問題」を区別できます。例えば、“売上減少”の本質が実は“在庫管理のミス”や“マーケティング施策の誤り”にある場合もあります。数値を深掘りして因果関係を見抜く力が、真の課題設定力です。
3. 他者を納得させる説明ができる
職場では、自分の意見を通すために「説得力」が必要です。感覚ではなくデータを根拠に話すことで、上司や顧客を納得させやすくなります。データ思考は「コミュニケーション力の強化」にも直結するのです。

データを活かす“問いの立て方”
データ思考を活かすには、「何を調べるべきか」という問いを立てる力が欠かせません。たとえば、
・「なぜ顧客の離脱が増えているのか?」
・「どの施策が最も費用対効果が高いのか?」
・「どの部門がボトルネックになっているのか?」
といった質問を自ら設定できるかどうかで、分析の質が変わります。良い問いは、良いデータ活用の起点です。
ケーススタディ:数字で“課題の正体”を暴く
ある営業チームでは、前年より売上が10%減少していました。チーム内では「景気のせい」「競合の影響」と感覚的な議論が飛び交っていましたが、データを分析した結果、「リピート率の低下」が主因であることが判明。リピート顧客へのフォロー体制を改善した結果、半年後には売上が回復しました。
このように、データは現場の思い込みを修正し、正しい意思決定を後押しします。データ思考を持つことは、キャリアにおいても「判断の精度」を高める武器となるのです。
和からの学びにつなげる:データ思考の第一歩
「データ分析」と聞くと、難解な統計やプログラミングを想像するかもしれません。でも本当に必要なのは、データを“使って考える”習慣です。数字の読み方やグラフの解釈ができるだけで、課題設定の精度は格段に上がります。
和から株式会社のオンライン講座では、文系出身でも理解できるように、Excelや身近なビジネスデータを使った分析トレーニングを行っています。数値を扱う力を磨くことは、ポータブルスキルを強化する最短ルートです。

まとめ:データで考える人が、変化に強い人になる
ポータブルスキルの中でも、課題設定力は“問題の本質を見抜く力”です。そして、その力を支えるのがデータ思考。感覚ではなく、事実で語れる人ほど、どんな職場・業界でも通用します。
次回は、データをもとに「人を動かす」力、つまりデータコミュニケーション力について掘り下げます。データを“読める”だけでなく、“伝えられる”力を身につけることで、あなたの仕事の影響力が一段と高まるはずです。





