現在重要視されているポータブルスキル-第3回:人を動かす“データコミュニケーション”の力
公開日
2025年11月7日
更新日
2025年11月4日
この記事の主な内容
はじめに:データを“読める”だけでは不十分
前回の記事では、「課題を見抜く力=データ思考」を通じて、問題の本質を明確にする方法を紹介しました。今回は、その次のステップ──人を動かすための“データコミュニケーション力”に焦点を当てます。
どれほど正確にデータを分析できても、その結果を伝えられなければ意味がありません。意思決定を動かし、チームを動かすためには、「数字の裏にあるストーリー」を描き、相手に伝える力が欠かせないのです。
データコミュニケーションとは?
データコミュニケーションとは、単にグラフを作ることではありません。数字をもとに“何を伝えたいのか”を明確にし、相手が理解・共感・行動できるように伝える力です。つまり、データを「言葉」と「物語」に変換するスキルです。
・分析結果を誰に伝えるのか(相手視点の設計)
・どのデータをどんな形で示すのか(伝達設計)
・どんなストーリーで結論に導くのか(論理設計)
これらを意識することで、数字の羅列ではなく「意思決定を促すメッセージ」に変わります。

なぜ今、データコミュニケーションが重要なのか
1. 情報過多の時代に“伝える力”が差をつける
私たちは日々、膨大な情報の中で意思決定をしています。だからこそ、「何を伝えるか」よりも「どう伝えるか」が問われる時代です。特にビジネスの現場では、複雑な情報を簡潔に要約し、相手が行動できる形に変換する力が求められています。
2. チームを動かす“共感のロジック”
データは客観的な事実を示しますが、人を動かすのは感情です。感情と論理の橋渡しをするのがデータコミュニケーション。数字で裏付けられたストーリーは、説得ではなく共感による納得を生み出します。
3. 経営層・顧客との対話力
上司や経営層、クライアントなど、立場によって求める情報は異なります。相手の関心軸に合わせてデータを整理し、「意思決定に必要な情報」を届ける力が、キャリアの信頼度を高めます。

良いデータコミュニケーションの3原則
① シンプルに伝える
数字をすべて並べるのではなく、“最も伝えたい1つのメッセージ”を決めること。グラフや表は1枚=1主張に絞ると、聞き手に刺さります。
② 見せ方にストーリーを持たせる
データの提示順序に物語を持たせましょう。「現状 → 問題 → 要因 → 解決策 → 期待効果」の流れで伝えると、相手の理解が自然に深まります。
③ 相手の“行動”で終わる
報告や説明で終わらせず、「次に何をすべきか」まで具体的に提案します。データを“動機”に変えることが、成果を生むプレゼンの鍵です。

ケーススタディ:数字を“伝える力”がチームを変える
あるマーケティングチームでは、施策報告がデータ中心で退屈だと感じられていました。しかし、データに“物語”を加える工夫をしたところ、会議の空気が一変。「この数字の背景には、ユーザーの行動変化があります」と語った瞬間、参加者が意見を出し始め、次の施策アイデアが次々と生まれたのです。
数字を伝えることは、相手の思考を刺激すること。データを物語として語れる人は、組織を動かす人になれます。
和からの学びにつなげる:データで伝える力を磨く
和から株式会社の講座では、「分析して終わり」ではなく「伝えて成果を出す」ためのスキルも重視しています。Excelやグラフ作成だけでなく、データの可視化・要約・ストーリーテリングを実践形式で学べるのが特徴です。
数字が苦手でも大丈夫。構造的に「見せる」「話す」「伝える」を学ぶことで、プレゼンや報告の質が驚くほど変わります。

まとめ:データで“共感”を生む人になる
ポータブルスキルは、業種や職種を超えて通用する力。その中でもデータコミュニケーションは、数字を通じて人の心を動かすスキルです。
事実で語り、感情を動かす。このバランスを取れる人こそ、AI時代に価値を発揮できるビジネスパーソンです。
次回は、ポータブルスキルを体系的に磨く「3ステップ成長モデル」について紹介します。データ思考とコミュニケーションを“実践的スキル”に変える方法を詳しく解説します。





