マツナカクエスト”キラキラ数学を探せ!” -第1話-
公開日
2024年11月5日
更新日
2025年1月18日
松中宏樹の「キラキラ数学」
第1話:無限の大きさって本当にあるの?
こんにちは!数学を愛してやまない松中宏樹です。本シリーズでは、日常生活ではなかなか触れることのない数学の魅力や、不思議で面白いテーマをお届けします。今回は、誰もが一度は考えたことがあるかもしれない「無限」についてです。
「無限って果てしないけど、大きさに違いがあるってどういうこと?」と思われるかもしれません。私たちの直感では捉えきれない無限の世界、その秘密を少しずつ紐解いていきましょう。
「無限にも大小がある」とは?
まずは、小さい子どもがよく言う「俺の力は無限だ!」というようなイメージを思い浮かべてみてください。その「無限」にも、実は「より大きな無限」と「より小さな無限」があるのです。これを理解するために、もっと馴染みのある「2と3のどちらが大きいか?」というテーマから始めましょう。
2と3、どちらが大きい?
「3の方が大きい!」と即答する人がほとんどだと思います。この大小関係は、数学的には「集合」という概念を使って説明することができます。集合とは、複数の要素が集まったものです。
たとえば、「2」という数字は、「2つの要素を持つ集合」と考えることができます。同様に「3」は「3つの要素を持つ集合」です。ここで、それぞれの要素を1対1で対応させてみます。すると、「3」の集合の方が「余る要素」があることがわかります。この余りが出ることで、「3の方が大きい」と解釈されるのです。
線分の点の数も無限!それでも大小はない?
次に、「無限」が関係する、さらに興味深いテーマについて考えてみましょう。それは「線分」の点の数です。
長さ2cmと6cmの線分を比べてみる
長さ2cmの線分と6cmの線分を用意したとします。直感的には「6cmの方が長いから、含まれる点の数も多い」と思いがちですよね。しかし数学的には、どちらの線分も「無限個の点が集まった集合」として扱われるため、点の数には違いがないのです。
では、どのように「点の数が同じ」と判断できるのでしょうか?ここでも、1対1対応の考え方が登場します。
1対1対応とは?
長さ2cmの線分と6cmの線分の点をそれぞれ対応付ける方法を考えます。例えば、2cmの線分上の1つの点に対して、6cmの線分上の1つの点を対応させるとしましょう。これを正確に行うと、どちらの線分の点も「余り」が出ることなく対応付けられるのです。この状態を数学では「全単射」と呼びます。
全単射が成立するとき、2つの集合(この場合は線分上の点の集合)の大きさは同じとみなされます。直感的には6cmの方が「点が多い」と思えるかもしれませんが、無限の世界ではそうした感覚が通用しないことがあるのです。無限が絡むと、直感に反する不思議な現象が次々に現れるのが魅力です。