「ミウラ折り」のすごさを体感してみよう|折り方・数学のしくみ・宇宙での応用
公開日
2019年12月22日
更新日
2026年7月26日
「ミウラ折り」という紙の折り方をご存じでしょうか。大きな紙を、対角線方向に軽く引っぱるだけで一瞬でコンパクトにたためる、そして同じ動作で一瞬で広げられる——そんな折り方です。
考案したのは航空宇宙工学者の三浦公亮(みうら こうりょう)さん。人工衛星の太陽電池パネルから片手で開ける折りたたみ地図まで、私たちの身のまわりで実際に使われている「役に立つ数学」の代表例です。この記事では、ミウラ折りがなぜそんなにすごいのかを、数学的なしくみと実際の折り方の両面からやさしく解説します。
この記事の主な内容
この記事のポイント
・ミウラ折りは、対角線方向に力を加える「1つの動作」だけで一瞬に開閉できる折り方
・折り目が平行四辺形に並んでいるため、山折りと谷折りが連動してひとりでに動く
・折り目が重ならず力が一点に集中しないので、何度たたんでも破れにくい
・人工衛星の太陽電池パネルや折りたたみ地図など、宇宙から日用品まで応用されている
結論|ミウラ折りのすごさは「1方向の力だけで一瞬に開閉できる」こと
ミウラ折りの本質を一言でいえば、「たたむ・広げるという動作が、たった1つの方向の力で完結する」ことです。左上と右下を持って対角線方向にぐっと力を加えるだけで、大きな紙が一瞬でコンパクトになります。広げるときも同じ、逆方向に引くだけです。

↓↓↓動画で見たい方はこちら↓↓↓
ミウラ折りとは?──宇宙で大きな膜を広げるために生まれた折り方
ミウラ折りは1970年代、宇宙構造物の研究のなかから生まれました。人工衛星に大きな太陽電池パネルを載せたくても、ロケットに積むときは小さくたたまなければなりません。しかも軌道上では、限られた電力と単純な機構で確実に広げる必要があります。
そこで求められたのが、「小さくたためて、単純な操作で確実に開く」折り方でした。ミウラ折りは、紙そのものを伸び縮みさせずに(=折り目だけで)たためる「剛体折り」であり、しかも動く自由度が実質1つしかないという性質をもちます。だからこそ、1か所を引くだけで全体が同じ形に開くのです。
言葉だけではしっくりこないと思いますので、実際の動きを動画でご覧ください。
↓↓↓実際にたたむ様子はこちら↓↓↓

蛇腹折り・くしゃくしゃ丸めと、何が違うのか
「小さくするだけなら蛇腹に折ればいいのでは?」と思われるかもしれません。しかし蛇腹折りは、山折りしてから谷折りして……と2方向の操作を順番に行う必要があり、片手でぱっと、というわけにはいきません。
では、くしゃくしゃに丸めるのはどうでしょうか。たしかに小さくはなりますが、何度も繰り返すと紙の一部分に大きな力がかかって破れてしまいます。折るたびに形が変わるので、再現性もありません。


それに対してミウラ折りは、折り目が重ならず、特定の場所に負荷がかからない構造になっています。だから何度たたんでも傷みにくく、いつでも同じ形に戻ります。宇宙で一度きりの展開を成功させなければならない構造物にとって、この「確実さ」は決定的な価値をもちます。
秘密は折り目の「平行四辺形」にある
ミウラ折りを広げて折り目をよく見ると、平行四辺形が規則正しく並んでいることに気づきます(すべてではありませんが)。蛇腹折りが長方形の帯を並べているのに対し、ミウラ折りは長方形を少しずつ斜めにずらした形になっているのです。

この「ずれ」があることで、横方向に縮めると縦方向にも自動的に縮み、横に広げると縦にも広がります。ふつうの材料は横に引っぱると縦が細くなりますが、ミウラ折りは逆に横に引くと縦にも広がるという珍しい性質(負のポアソン比)をもっているのです。この連動こそが、1方向の力だけで全体が開閉するしくみの正体です。
宇宙から地図まで──ミウラ折りの応用例
ミウラ折りは、さまざまなところで応用されています。先日セミナー中にお客様に伺ったところ、「地図で使われてますよね!」とおっしゃっていただきました。数学を専門にされていない方にも広く知られていることを実感します。
もっとも有名なのは宇宙での応用です。太陽電池パネルのような大きな膜を小さくたたんで打ち上げ、宇宙空間でぱっと広げる——この「展開構造物」の分野で、ミウラ折りは中心的な役割を果たしてきました。ほかにも、片手で開閉できる折りたたみ地図、大きな面をコンパクトに収納する製品設計など、応用は広がり続けています。

実際に折ってみよう|手順と失敗しないコツ
ここまで読んで「では折ってみよう!」と思われた方もいるかもしれません。ただし、正確に折るのはなかなか難しく、ちょっとでもずれるとうまく折れません(筆者も3回くらい失敗しています……)。
最大のコツは、折り目を強めにつけること。折り目が甘いと、一方向に力を加えても紙がゆがむだけで、きれいにたためません。
手順としては、まず紙を三つ折りにします。




この段階だと「ちょっとズレた蛇腹折り」と変わりませんが、折ったあとに折り目を付け替えれば、ミウラ折りの完成です。


正確に折る自信がない方には、市販の折り型キットもおすすめです。Amazonなどで「ミウラ折りエイド」というミウラ折りが簡単に実践できるキットが売っています。筆者もこちらを購入しました(笑)。
よくある質問(FAQ)
Q1. ミウラ折りは誰が発明したのですか?
航空宇宙工学者の三浦公亮(みうら こうりょう)氏(東京大学名誉教授)が考案した折り方です。宇宙構造物を小さく折りたたんで打ち上げ、軌道上で一気に展開するための研究から生まれました。
Q2. 蛇腹折りとミウラ折りは何が違うのですか?
蛇腹折りは「山折りしてから谷折りする」というように、たたむのに2方向の操作が必要です。一方ミウラ折りは折り目が平行四辺形に並んでいるため全体が連動し、対角線方向に引く/押すという1つの動作だけで開閉できます。
Q3. ミウラ折りはどんなところで使われていますか?
人工衛星の太陽電池パネルやアンテナなど、宇宙で大きな膜を展開する構造物のほか、片手で開閉できる折りたたみ地図などに応用されています。
Q4. ミウラ折りを自分で折るのは難しいですか?
はじめは難しく感じます。折り目が少しでもずれるときれいにたためません。紙をまず三つ折りにし、折り目を強めにつけることがコツです。市販の折り型キットを使うと格段に折りやすくなります。
まとめ|「紙を折る」だけの世界に、これだけの数学がある
ミウラ折りは、折り目を平行四辺形に並べるという一見ささやかな工夫だけで、「1方向に引くだけで一瞬に開閉できる」「力が一点に集中せず傷みにくい」という強力な性質を実現しています。そしてその性質が、宇宙開発から日用品まで実際の技術を支えています。
「紙を折るだけ」のように見えるかもしれませんが、折り紙の世界は数学的に非常に奥深く、その一端が見えてくること間違いありません。ぜひ一度お試しくださいね!
ちなみに体験授業でもミウラ折りをお見せすることができますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
あわせて読みたい:
・【和から株式会社】デザイン数学セミナー -折り紙と模様の数理編- 講義抜粋
・美しきタイリングの世界~数学を使った模様の捉え方~
・点対称と線対称の違い・見分け方|例題と図でマスター【算数】
●和からのセミナー一覧はこちら
●お問い合わせフォームはこちら
<文/堀口 智之>
⇒ 講師紹介ページへ
算数・数学を、大人になった今こそ学び直しませんか?
和からの「大人のための数学教室」では、プロ講師があなたのペースに合わせて算数レベルから伴走します。「四則計算や分数から自信がない」という方こそ歓迎です。無料の学習相談から始められます。
→ 大人のための数学教室(個別指導)
新着記事
同じカテゴリーの新着記事
同じカテゴリーの人気記事
この記事に関連する教室: 数学教室 → 社会人の学び直し講座 →



