仕事の判断が変わる 機械学習のキホン-第4回:“いつもと違う”に気づける!売上・アクセス・ログで異常と先読みをする【機械学習をやさしく解説】
公開日
2026年1月28日
更新日
2026年1月23日
仕事の中には、「数字の変化」を見て判断する場面が数多くあります。
売上、アクセス数、在庫数、問い合わせ件数、システムのログ。
これらはすべて、時間の流れに沿って記録されたデータです。
・昨日と比べてどうか
・先週と同じ動きか
・いつもと違う変化が起きていないか
こうした確認は、ほとんどの職場で日常的に行われています。
そこで今回は、時間とともに変化するデータを使って、
「異変に気づく」「先を読む」判断をどこまで任せられるのかを考えていきます。
この記事の主な内容
ケース:売上とアクセスを毎日チェックする担当Dさん
Dさんは、Webサービスの運営担当です。
毎朝、ダッシュボードを開き、前日の数値を確認するところから1日が始まります。
見る指標は決まっています。
・日次売上
・アクセス数
・コンバージョン数
数字を見ながら、Dさんは頭の中でこう考えています。
「今日は少し下がっているな」
「これは曜日要因だろうか」
「何か問題が起きていないか」

この作業を、Dさんはほぼ毎日繰り返しています。
人は「時間の流れ」を頭の中で再生している
Dさんが数字を見るとき、単に「今日の値」だけを見ているわけではありません。
・最近の平均と比べてどうか
・増えている流れか、減っている流れか
・過去に似た動きがなかったか
つまり、頭の中で過去から現在までの流れを再生しながら、
「今は正常か、異常か」を判断しています。
この「いつもと違うかどうか」を見つける作業は、
時系列データを使った機械学習が、非常に得意とする領域です。
時系列データで任せられる3つの判断
① 異常の検知(いつもと違う動きを見つける)
過去のデータが十分にあれば、
「だいたいいつもはこれくらい」という範囲を学習できます。
そこから大きく外れた動きが出たときに、
「いつもと違う可能性が高い」として知らせることができます。

② 変化の兆しを早めに捉える
急激な変化だけでなく、
じわじわと続く下落や上昇も、見逃しがちです。
時系列データを使うと、
「最近、少しずつ下がり続けている」
といった兆しを捉えることができます。
これにより、問題が大きくなる前に、手を打つ余地が生まれます。
③ 近い未来の予測
過去の流れが似ていれば、
近い将来の動きも似やすい、という性質があります。
これを使って、
「このまま行くと、数日後はこの水準になりそうだ」
という目安を出すことができます。
完璧に当てる必要はありません。
先を少し見通せるだけで、判断はかなり楽になります。
導入して何が変わった?Dさんの判断の変化
Dさんのチームでは、まず「異常っぽい動き」を知らせる仕組みを導入しました。
すると、次のような変化が起きます。
・毎日すべての数字を細かく見る必要がなくなった
・注意すべき日だけを重点的に確認できるようになった
・問題への初動が早くなった
ここでも、売上が必ず上がったという話はしていません。
ですが、異変に早く気づけることは、
ビジネス上、非常に大きな価値があります。

初心者が押さえておきたい線引き
任せやすい判断
・日次や週次で定期的に記録されているデータ
・過去のデータ量が十分にある
・急激な変化や傾向を知りたいもの
任せにくい判断
・イベント要因が毎回大きく変わるもの
・人の意図や背景理解が必要な判断
時系列データの機械学習は、
最終判断を置き換えるものではありません。
「気づく役」を任せるための道具です。
今日からできる一歩
今日すぐにできることは、次の2つです。
1)毎日・毎週見ている数字を1つ決める
2)「いつもはどれくらいか」を言葉で説明してみる
その感覚を言語化できれば、
時系列データ活用の準備はできています。
まとめ
時系列データを使うと、
人が行っている
・異変への気づき
・流れの把握
・先読み
といった判断を、部分的に任せることができます。
・すべてを見る必要はない
・異常や兆しだけを拾えばよい
・人は対応と意思決定に集中する
次回はいよいよ最終回。
これまでの内容をまとめて、
「どのデータから始めるべきか」早見表を作ります。
<文/岡崎 凌>





