仕事の判断が変わる 機械学習のキホン-第2回:“読む仕事”を減らす!問い合わせ・アンケートを自動で分類&要約する【機械学習をやさしく解説】
公開日
2026年1月21日
更新日
2026年1月27日
仕事をしていると、意外なほど多くの時間を「文章を読むこと」に使っていると気づきます。
問い合わせメール、アンケートの自由記述、社内報告、チャットログ。
1つ1つは短くても、件数が増えると話は別です。
読むだけで疲れ、判断まで含めると、気づけば1日のかなりの時間を取られてしまいます。
しかも文章を読む仕事は、ただの読書ではありません。
・これは質問か、クレームか
・急ぎそうか、後回しでいいか
・自分が対応するべきか、他部署に回すべきか
文章を読むたびに、私たちは小さな判断を何度も繰り返しています。
そこで今回は、文章データを使って、
「読む」「判断する」という仕事を、どこまで任せられるのかを、実務のケースで掘り下げます。
この記事の主な内容
ケース:問い合わせ対応に追われるサポート担当Bさん
Bさんは、カスタマーサポートの担当者です。
毎日、数十件、多い日には数百件の問い合わせが届きます。
内容はバラバラです。
・操作方法が分からないという質問
・請求や契約内容の確認
・不具合報告や、強い不満を含むクレーム
Bさんの仕事は、まず受信箱を開き、上から順にメールを読んでいくことから始まります。
1通読むたびに、頭の中で考えています。
「これは急ぎそうだ」
「これは定型対応でよさそうだ」
「これは別部署に回した方がいい」

【図1:問い合わせ対応の実際の流れ】
受信 → 全文を読む → 内容を判断 → 優先度を決める → 担当へ振り分け → 返信
この流れを、Bさんは毎日、何十回も繰り返しています。
文章を読むとは「分類」と「順位付け」をしているということ
ここで一度、Bさんが文章を読むときに何をしているかを整理します。
Bさんは、文章を読みながら無意識に次のことを判断しています。
・これは質問なのか、クレームなのか
・今すぐ対応しないと悪化しそうか
・どの順番で処理すべきか
つまり、文章を読む行為は、
分類(どの種類か)と、順位付け(どれを先に見るか)の連続です。
たとえば、
「返金」「最悪」「対応が遅い」といった言葉を見た瞬間、
全文を読まなくても「要注意そうだ」と感じた経験はないでしょうか。
文章データを使った機械学習は、
まさにこの人が無意識にやっている判断を肩代わりします。
文章データで任せられる3つの判断
① 問い合わせ内容の分類
過去の問い合わせと、その対応履歴が残っていれば、
新しく届いた文章に対して、
「これは請求」
「これは操作方法」
「これはクレーム」
といったラベルを、先に付けておくことができます。
人は、その結果を見て「変ではないか」を確認するだけで済みます。

【図2:問い合わせ分類のイメージ】
文章 → 分類ラベル(質問/請求/クレーム など)
② 優先度の判断(読む順番を決める)
問い合わせは、すべて同じ緊急度ではありません。
文章に含まれる表現や言い回しから、
「今すぐ対応が必要そうなもの」を上位に並べることができます。
これによってBさんは、
読む順番を考える仕事から解放されます。
③ 内容の要約
長文の問い合わせや、アンケートの自由記述は、
読むだけで大きな負担になります。
文章データを使うと、
要点だけを短くまとめた文章を先に確認できます。
要約を見てから全文を読むかどうかを決める。
それだけでも、読む量は大きく減ります。
導入して何が変わった?Bさんの仕事の変化
Bさんのチームでは、いきなりすべてを任せるのではなく、
まずは「分類」と「優先度付け」だけを仕組みに任せました。
すると、仕事の進め方が変わります。
・最初に目を通すべき問い合わせがすぐ分かる
・対応が遅れそうな案件を見逃しにくくなる
・精神的な負担が明らかに減る
ここでも、売上の話は出てきません。
ですが、
読む量と判断回数が減ることは、現場にとって非常に大きな価値です。

【図3:導入前後の作業比較】
Before:全文を読む → 判断する
After:分類・優先度を見る → 必要なものだけ読む
初心者が押さえておくべき線引き
任せやすい仕事
・件数が多い文章
・内容のパターンがある程度決まっている
・過去の対応履歴が残っている
任せにくい仕事
・前例がほとんどない相談
・感情や責任判断が強く求められるもの
文章データの機械学習は、
「読む仕事をゼロにする」ためのものではありません。
読む順番と量を減らすための道具です。
今日からできる一歩
今日すぐにできることは、次の2つです。
1)問い合わせや自由記述を、種類ごとにざっくり分けてみる
2)全部読まなくても判断できそうなものがないか考える
その作業自体が、文章データ活用の第一歩です。
まとめ
文章データを使うと、
人が無意識に行っている
・分類
・優先順位付け
・要点把握
といった判断を、部分的に任せられるようになります。
・読む仕事は減らせる
・すべてを任せる必要はない
・まずは分類と順番付けから始める
次回は、画像データを使って、
「見る仕事」をどこまで任せられるのかを考えます。
<文/岡崎 凌>





