第6回|声の大きいお客様だけを見ない:本当に大事な顧客をデータで見極める方法
公開日
2026年1月22日
更新日
2026年1月20日
この記事の主な内容
はじめに:なぜ“声の大きい顧客”に振り回されるのか?
現場でよく聞く言葉があります。
・「◯◯さん(特定の顧客)からクレームがあったので、急いで対応します!」
・「あの顧客がこう言ってたから改善しなきゃ!」
・「この要望、多い気がします!」
しかし、その“声”が売上や利益にどれほど影響しているかを数字で確認している企業は多くありません。
結果として——
声の大きい顧客の意見に引きずられ、重要顧客を見落とすという事態が起こります。
今回のテーマは、データドリブンで「本当に大事な顧客」を見極める方法です。
実例とともに、誰でもすぐ使える判断軸を紹介します。
1|実例:クレーム常連の顧客に振り回された結果…
● 実例1:クレーム率は高いが売上は低い顧客
ある企業では、毎日のようにクレームを入れてくる顧客がいました。
担当者:
またA社からクレームです!すぐに対応しないと…!
しかし、顧客データを確認してみると——
・A社の年間売上:全体の1.2%
・対応にかかった時間:年間120時間
・他顧客からの紹介数:0件
一方で、静かに継続してくれるB社は——
・年間売上:全体の8%
・クレーム:ほぼゼロ
・紹介:年間3件
つまり、会社にとって最重要なのはA社ではなくB社でした。
「声が大きい=重要」ではない。
この誤解を解消するために、データドリブンな顧客評価が必要なのです。
2|顧客をデータで可視化すると“優先順位”が変わる
顧客を正しく理解するには、以下のような指標で可視化するのが有効です。
● 指標1:売上(LTV)
・その顧客は長期でどれくらい利益を生むか?
● 指標2:取引期間
・長く取引してくれる顧客は安定性が高い
● 指標3:クレーム件数・対応コスト
・手間ばかりかかる顧客は優先度を下げるべき場合もある
● 指標4:紹介実績
・紹介が多い顧客は“間接的な利益”が大きい
これらの指標を組み合わせると、静かな優良顧客が見えてきます。
3|実例:顧客を“3タイプ”に分けたら改善が進んだ
ある企業では、顧客を次の3つに分類しました。
● タイプA:売上が高く、手離れが良い(最重要)
● タイプB:平均的だが継続率が高い(大事にすべき)
● タイプC:クレームが多く、売上が低い(優先度低)
これを元にリソース配分を変えたところ、
・A・B層へのフォローが強化
・C層への対応を標準化・簡略化
結果、
・全体売上:前年比112%
・顧客満足度:大幅改善
・対応コスト:大幅削減
顧客を分類すると、戦略が変わる。
4|今日からできる“顧客を見極める3つの問い”
難しい分析は不要。管理職でも現場でも使える3つの質問があります。
● 問い1:この顧客はどれだけ会社に貢献している?
・売上
・利益
・継続年数
ここを見るだけで優先度の大半が決まります。
● 問い2:この顧客の対応に、どれだけ時間を使っている?
・クレームの頻度
・訪問回数
・特別対応の量
“時間”も大事なコストです。
● 問い3:この顧客は他の価値を生んでいる?
・紹介
・口コミ
・勉強になるフィードバック
売上以外の価値も重要な判断軸です。
5|まとめ:大事な顧客は“静かに価値をくれる”ことが多い
最後に、本質を一言でまとめます。
声の大きさではなく、貢献の大きさで顧客を見る。
データドリブンで顧客を評価すれば、
・本当に大事な顧客に集中できる
・対応コストが削減される
・利益率が上がる
・チームが振り回されなくなる
という効果が生まれます。
次回予告:営業マネジメントに効くデータドリブン
次回は、
「受注率だけ見る上司は危険だ:営業を数字で立て直す基本」
を実例とともに紹介します。





