第7回|受注率だけ見る上司は危険だ:営業を数字で立て直すデータドリブンの基本
公開日
2026年1月23日
更新日
2026年1月20日
この記事の主な内容
はじめに:なぜ営業マネジメントは“数字を見ているのに”失敗するのか?
多くの営業組織では、毎月のようにこんな会話が起きています。
・「受注率が低い!」
・「もっとクロージング力を上げよう!」
・「案件数を増やせ!」
しかし、それだけでは根本的な改善につながらないことが多いのが現実です。
結論から言うと——
営業の数字は“結果”だけを見ても意味がない。プロセスまで見て初めて改善が進む。
今回は、営業マネジメントにおけるデータドリブンを、実例とともに解説します。
1|実例:受注率だけ見て誤った判断をしたケース
● 実例1:受注率が落ちた → 部下の努力不足?
ある営業チームで、受注率が前月より10pt下がったとします。
上司:
最近の受注率が低い。もっとクロージングを改善しろ!
しかし、数字の内訳を深掘りしてみると……
・新規リード数:先月比 −40%
・商談数:先月比 −30%
・成約率:ほぼ横ばい
つまり、受注率が下がった原因は「クロージング力」ではなく、
“上流のリード獲得の質と量が低下していた”ことでした。
正しい改善策は、
・広告ターゲティングの見直し
・休眠顧客掘り起こし
・パートナー経由の案件強化
など、“リードの質を戻す”ことです。
結果数字(受注率)だけを見て判断すると誤る良い例です。
2|実例:スーパースター営業の属人化が組織の成長を止める
● 実例2:トップ営業だけ数字が突出している
多くの営業組織に共通する悩みがあります。
・「Aさんだけいつもダントツで売る」
・「他のメンバーは平均的」
ここでも“データの分解”が重要になります。
Aさんの営業データを分析すると、
・担当業界:●●業界に強い
・商談パターン:初回で課題深掘りを徹底
・平均単価:他メンバーより15%高い
・提案回数:平均より少ないのに成約率が高い
つまり、Aさんの強みは
「業界特性を理解しており、最適な打ち手を知っている」
という“再現可能なスキル”だったのです。
これを組織に共有することで、
・メンバー全体の成約率が向上
・提案コストが削減
・営業プロセスの標準化が進む
という結果につながりました。
属人スキルは“分析”すれば再現できる。
3|営業をデータドリブンで改善する“3階層モデル”
営業改善は、次の3階層を順番に見ることで再現性が高まります。
● 階層1:結果(Outcome)
例:
・売上
・受注率
・平均単価
これはあくまで“結果”であり、原因ではありません。
● 階層2:プロセス(Process)
例:
・商談数
・提案数
・訪問数
・見積もり提出率
結果数字を動かしているのは、このプロセスです。
● 階層3:行動(Action)
例:
・ヒアリング項目を埋めた回数
・初回訪問時に課題を言語化できた割合
・顧客フォローのタイミング
行動が改善されれば、プロセスが変わり、結果が変わります。
“結果 → プロセス → 行動”の順に見て改善することがデータドリブン営業の基本。
4|今日から使える“営業1on1でのデータドリブンな問い”
営業マネジメントでは、1on1での問いがパフォーマンスを大きく左右します。
次の質問を使うだけで、部下との会話が劇的に変わります。
● 問い1:今月の数字の変化は、どのプロセスの変化が原因?
・商談数が減った?
・リード質が下がった?
・フォローが遅れている?
● 問い2:来月改善するために、一番効く行動はどれ?
・ヒアリング項目の見直し?
・初回訪問の設計?
・リードスクリーニング?
● 問い3:Aさん(上位メンバー)との違いは?
属人スキルを「見える化」する質問です。
● 問い4:その数字が変わると、他の数字にどう影響する?
数字の“つながり”を理解させる問いです。
5|まとめ:営業は“結果を見る仕事ではなく、結果を作る仕事”
最後に、このテーマの本質を一言でまとめます。
営業マネジメントは、結果だけを見て怒る仕事ではない。結果を生み出すプロセスと行動を整える仕事である。
データドリブンで営業を改善すれば、
・組織全体の属人化が減る
・再現性のある成長が生まれる
・打ち手が明確になる
・マネージャーの判断が速くなる
という効果が出ます。
次回予告:人事・タレントマネジメントのデータドリブン
次回は、
「“なんとなく優秀”をやめる:人材マネジメントをデータで見る」
を実例とともに紹介します。





