相関と回帰-第1回:売上と広告費の関係を可視化する【統計学をやさしく解説】
公開日
2025年12月24日
更新日
2026年1月13日
この記事の主な内容
はじめに|「広告費を増やすと売上は伸びる」は本当?
「広告費を増やした月は、売上も伸びている気がする」
ビジネスの現場では、こんな感覚的な判断がよく使われます。しかしこのとき、本当に広告費と売上には関係があるのか?を数字で説明できるでしょうか。
このシリーズ「相関と回帰」では、
・数字の“関係性”をどう見ればいいのか
・どこまで言い切ってよくて、どこから危険なのか
を、統計が苦手なビジネスパーソン向けに、できるだけやさしく解説していきます。
第1回のテーマは、関係を「見える化」すること。
難しい計算の前に、まずは「並べて見る」ことから始めましょう。
1. 2つの数字を同時に見るという発想
売上だけ、広告費だけをそれぞれ見ていても、2つの関係は分かりません。
ここで登場するのが、二変数(にへんすう)という考え方です。
・広告費(いくら使ったか)
・売上(いくら売れたか)
このように「同じタイミングで観測された2つの数字」をセットで見ると、初めて“関係性”が見えてきます。
2. 散布図とは何か|点を並べるだけ
2つの数字の関係を一目で見るための道具が、散布図(さんぷず)です。
散布図とは、
・横軸に1つ目の数字
・縦軸に2つ目の数字
を取り、データを点で打っていくグラフです。

3. 散布図から何が読み取れるのか
散布図を眺めると、次のようなパターンが見えてきます。
① 右上がりに点が並ぶ
広告費が多い月ほど、売上も高い傾向があります。
→ 正の相関(せいのそうかん)
② 右下がりに点が並ぶ
広告費が多い月ほど、売上が下がる傾向です。
→ 負の相関(ふのそうかん)
③ バラバラに散らばる
広告費と売上の間に、はっきりした関係が見えません。
→ 相関なし
この段階では、
「関係がありそうか、なさそうか」
を目で判断するだけで十分です。
4. 相関係数とは何か|関係の強さを数字にする
「何となく右上がり」に見える関係を、数字で表したものが
相関係数(そうかんけいすう)です。
相関係数は、
・−1 〜 +1 の間の値をとる
・0 に近いほど関係が弱い
・±1 に近いほど関係が強い
という特徴があります。
ざっくり覚えると
・+0.8:かなり強い正の相関
・+0.4:弱めだが関係はありそう
・0.0:ほぼ関係なし
・−0.6:負の相関がある
5. Excelで相関係数を出してみよう
実務では、計算を覚える必要はありません。
Excelが全部やってくれます。
考え方はシンプルです。
・広告費のデータ列
・売上のデータ列
この2つを指定して、CORREL関数を使います。
6. ここで言えること/言えないこと
相関係数が高かった場合、言えるのは次のことだけです。
「広告費と売上は、一緒に動く傾向がある」
ここでは、
・広告が売上を伸ばした
・売上が伸びたから広告費を増やした
どちらが原因かは、まだ分かりません。
この重要な話は、次回で詳しく扱います。
まとめ|第1回のポイント
・2つの数字の関係は、まず散布図で見る
・散布図は「点を並べるだけ」のシンプルな道具
・相関係数は、関係の強さを表す数字
・相関があっても、原因はまだ分からない
次回予告
第2回:なぜ伸びた?を誤解しないために
相関と因果の違いを知らないと、
数字はあなたを助けるどころか、判断を誤らせます。
次回は、ビジネスでよくある「数字の勘違い」を解きほぐします。





