度数分布表とヒストグラム-【統計学をやさしく解説】
公開日
2025年10月7日
更新日
2025年11月5日
この記事の主な内容
はじめに:数字の山を整理する
会社で営業成績の一覧を見せられたとき、「数字がずらっと並んでいてよくわからない…」と思ったことはありませんか? 例えば30人の営業担当者の1か月の売上額が、100万円の人もいれば200万円の人もいる。平均を出すだけでは、全体像が見えにくいものです。
こうしたときに役立つのが 度数分布表(どすうぶんぷひょう) と ヒストグラム です。生データを「整理して」「見える化」することで、数字の中に隠れたパターンを誰でも理解できる形にできます。
度数分布表とは:数字をグループにまとめる
例:営業1人あたりの売上額(30人分)
仮に30人の営業担当の月間売上額(万円単位)が次のようにバラバラにあるとします。
85, 90, 95, 100, 102, 110, 115, 118, 120, 122, 125, 128, 130, 132, 135, 138, 140, 142, 145, 150, 152, 155, 160, 165, 170, 175, 180, 190, 195, 200
このままでは「誰が一番か」「全体の傾向はどうか」がわかりにくいですよね。そこで、数字を範囲ごとに区切ります。この範囲を 階級(かいきゅう) と呼びます。
度数(どすう)とは
■ 各階級に「何人入ったか」を数えたもの。例えば100〜120万円に5人、120〜140万円に7人…という具合です。
相対度数(そうたいどすう)とは
■ 全体の中での割合。たとえば「100〜120万円が5人=全体の16.7%」。
累積度数(るいせきどすう)とは
■ 下の階級から順に合計したもの。「140万円以下が何人いるか」といった見方ができます。
| 階級 | 度数(人数) | 相対度数(%) | 累積度数 |
|---|---|---|---|
| 85〜108 | 5 | 16.7 | 5 |
| 108〜131 | 8 | 26.7 | 13 |
| 131〜154 | 8 | 26.7 | 21 |
| 154〜177 | 5 | 16.7 | 26 |
| 177〜200 | 4 | 13.3 | 30 |
→ これで「どの金額帯に人が多いか」がはっきり見えてきます。
ヒストグラムとは:表をグラフにする
度数分布表をさらに直感的に見える形にしたのが ヒストグラム です。見た目は棒グラフに似ていますが、違いは「棒と棒の間が詰まっている」こと。これは金額が連続した値だからです。
実例:営業売上のヒストグラム

このグラフを見ると「120〜140万円に最も多くの営業がいる」「200万円近いトップ営業はごく少数」といった分布の特徴が一目でわかります。
専門用語をやさしく解説
■ 分布(ぶんぷ):データが全体でどう散らばっているか。
■ 山の形:
・左右対称 → 平均的にばらけている
・右に裾を引く → 高額の人が少数いる(上位営業が目立つ)
・山が二つ → グループが分かれている可能性がある
棒グラフとの違い
■ 棒グラフは「カテゴリー別比較」(例:部署ごと)に使う。
■ ヒストグラムは「連続する数値の分布」(例:売上金額)に使う。
度数分布表とヒストグラムを使うと見えること
■ 平均ではわからない全体像:平均売上が130万円でも、実際には100万円前後が多いのか、200万円の人が引き上げているのかが分かる。
■ 戦略に役立つ気づき:「売上が120万円前後に集中している=多くの営業が同じ壁にぶつかっている」「トップ層が少数だが突出している=成功事例の共有が有効かも」。
■ 教育や研修の材料に:度数分布表を作ってグラフ化するだけで、チームの課題が浮かび上がります。
まとめ:数字を整理して“物語”を読む
度数分布表とヒストグラムは、「バラバラな数字」を「意味のある形」に変える道具です。
売上データ、顧客単価、アンケート結果など、ビジネスのあらゆる場面で活用できます。
次のステップでは「代表値(平均・中央値・最頻値)」を学ぶことで、分布の中心や典型的な値をさらに深く理解できるようになります。
数字をただ眺めるのではなく、そこから“物語”を読み解く力を、ぜひ身につけていきましょう。
<文/綱島佑介>





