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【ロマ数トレラン】「素粒子物理学入門~超ひも理論への道~」のご紹介

公開日

2021年8月3日

更新日

2021年8月3日

※本記事はロマ数トレラン「素粒子物理学入門~超ひも理論への道~」の講師である酒井義彦先生によるセミナーの紹介記事になります。ご興味を持った方は是非ゼミにご参加ください。ガイダンス回は無料となっております。

ロマ数トレラン「素粒子物理学入門~超ひも理論への道~」の詳細、お申し込みはこちらのページよりお願いいたします。⇒https://peatix.com/event/2524140/view

はじめに

物質は究極的には一体何でできているのか?」という疑問を持っている方は多いと思います。20世紀の初めには物質の単位は原子であるとされていましたが、その原子も原子核と電子から出来ていることが分かり、更に原子核も陽子と中性子から出来ていることも分かりました。これは、中学や高校でも学んだことでしょう。

これらの粒子の世界には、我々の身近に存在する物体の運動を扱うニュートン力学、いわゆる古典力学を適用することができず、量子力学というミクロの世界を扱う新しい力学が必要になります。微積分や線形代数、確率論、フーリエ解析といった、様々な数学の道具を駆使して作られた量子力学でミクロの世界を理解することができます。

時代が進むと量子力学でも説明できない現象も発見されます。ベータ崩壊(中性子が崩壊して陽子と電子とニュートリノに分かれる現象)がありますが、これは粒子が変化してしまうため、量子力学説明が不十分になってしまいました。そこで作られたのが場の量子論です。これにより、研究が進むと陽子や中性子といった核子もクォークといった素粒子からできていることもわかりました。実際にクォークをはじめとする素粒子がいくつも発見され、また、我々の知っている粒子とは別に反粒子なるものも発見されました。これら素粒子を議論するために作られた標準理論は功績を収めてきました。段々と素粒子の姿が見えてきました。

しかし場の量子論にも限界がありました。今まで素粒子は点と考えられ、大きさはないものとして色々な現象を説明してきました。しかし考えてみたら不思議です。例えば、電子という素粒子は電荷も質量もあるのに大きさがなかったら、密度が無限大になってしまいます。これらの疑問を解決する可能性のある新しい素粒子論が提唱されました。自然界に存在する4つの力(強い力、電磁力、弱い力、重力)が存在しますが、これら4つの力を統一的に考えると疑問が解決されそうなのです。それが、超ひも理論(超弦理論)です。この理論は宇宙の初期を理解する上でも期待がされます。難解な理論ですが、物質の究極の姿を知りたくないですか?

核力とパイ中間子

20世紀初め頃まで物質の基本単位は原子と思われていましたが、やがて原子もプラスの電荷を持つ原子核とマイナスの電荷を持つ電子から出来ていることがわかりました。その後、さらに原子核もプラスの電荷を持つ陽子とプラスでもマイナスでもない中性子から出来ていることも分かりました。原子番号(陽子の数)が増えると、いろいろな様々な原子ができるのですが、ここで、皆さんは疑問に思うことはないでしょうか?なぜ、プラス同士の陽子やプラスでもマイナスでもない電荷のない中性子がくっついて原子核を作るのでしょう?

これを解決したのは日本人で初めてノーベル物理学賞をとった湯川秀樹です。彼は、パイ中間子と呼ばれる未知の素粒子を交換することによって引力を及ぼし合うという中間子理論を提唱しまし、その後予想通りの粒子が発見されました。

β崩壊(ニュートリノと弱い相互作用)

1930年代β崩壊という現象に物理学者たちは頭をひねっていました。β崩壊とは放射性物質がβ線(電子)を放出して崩壊し、原子が変化する現象です。普通の化学変化では原子自体は変化しません。しかし、研究が進むと中性子が崩壊し、陽子と電子とニュートリノに変化することが分かりました。このときに発生する力が弱い相互作用と呼ばれる力です。これは場の理論を駆使することにより、説明できることが分かってきました。

粒子・反粒子の対生成・対消滅

物質は(今のところ)究極にはクォーク、レプトン(電子)から出来ていると考えられています。そしてこれらの素粒子には必ず反粒子が存在します。光子、グルーオン、Zボソン(ウィークボソンの一種)、ヒッグス粒子のように、たまたまその反粒子と自分自身が同じ素粒子もあります。宇宙の温度が高くて、これ以上のエネルギーを持った光子が沢山いれば、トップと反トップ・クォークによる対消滅が、また光子同士の対生成が頻繁に起こっていて釣り合っています。

温度が175GeVより低くなると、トップと反トップ・クォークを対生成できるだけのエネルギーを持った光子がなくなり、上の対消滅だけが起こります。最後に約3億度まで冷えたところで電子と陽電子(=電子の反粒子)の対生成が起こらなくなります。

もし対消滅が終わる前に粒子と反粒子の数が全く同じだったとすると、すべて対消滅して光子になってしまい、星や銀河、私たちの体も出来なかったことになります。ところが私たちは存在しています。つまり私たち自身が、対消滅が完全に起こらなかったことの証拠なのです。

超ひも理論

今まで素粒子は点と考えられ、大きさはないとして色々な現象を説明してきました。大部分はそれで物理現象を説明するのには困らなかったのですが、どうしても限界があります。考えてみたら不思議です。例えば、電子などの素粒子は電荷も質量もあるのに、大きさがなかったら、密度が無限大になってしまいます。この矛盾を説明するために、素粒子はある大きさを持ったものだと考えた研究者がいました。素粒子は点ではなく、ひもだと。このひもが振動する振動数などの違いなどでいろいろな粒子に見えるというのです。この理論は自然界の4つの力を統一的に考えることが出来る可能性があり、究極の理論が出来そうです.ワクワクしますね。この理論に少しでも近づいてみませんか?

<文/酒井義彦>

ロマ数トレラン「素粒子物理学入門~超ひも理論への道~」の詳細、お申し込みはこちらのページよりお願いいたします。⇒https://peatix.com/event/2524140/view

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