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万能零点サーチャーでリーマン予想にたどり着く

公開日

2025年1月22日

更新日

2025年2月23日

リーマン予想はゼータ関数の零点の位置に関する予想です。複素関数論に登場する偏角の原理を使えば、ある範囲に零点があるかどうかを判定できます。偏角の原理を用いて「万能零点サーチャー」を開発し、ゼータ関数の零点を探してみました。

●参考記事

偏角の原理を使って五次方程式を解く

https://wakara.co.jp/mathlog/20201223

偏角の原理を使ってゼータ関数の零点を見つけよう!

https://wakara.co.jp/mathlog/20211221

●講師紹介:松中宏樹

https://wakara.co.jp/instructor/hirok…

●和からHP

https://wakara.co.jp/

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リーマン予想とは

リーマン予想とは、ゼータ関数という関数の非自明な零点が、

すべて実部が1/2の直線上に並んでいるという予想です。

ゼータ関数の零点には2種類あります。

自明な零点:負の偶数(-2, -4, -6, …)の点。

非自明な零点:それ以外の点で、今のところ見つかっているのは全て実部が1/2のライン上にある。

リーマン予想が主張しているのは、

**「すべての非自明な零点は、実部が1/2の直線上に存在する」**ということです。

この予想が正しければ、素数の分布が驚くほど正確に予測できるため、

数論の聖杯とも言われています。

逆に、もしこの予想が崩れれば、素数の分布に予想外の不規則性があることになります。

ゼータ関数の零点にたどり着く難しさ

リーマン予想を考える上で、ゼータ関数の零点を見つけることが重要です。

しかし、これが非常に難しい。

なぜなら、ゼータ関数の零点は複素数の世界にあり、

その位置を正確に特定するのが容易ではないからです。

リーマン自身は、4つの非自明な零点を見つけました。

しかも、1800年代の手計算で。

どうやってそんなことができたのか、考えれば考えるほど謎が深まります。

私も以前、ゼータ関数の零点を手計算で求めてみようと試みたことがあります。

6時間かけても、10と15の間にあるということしかわかりませんでした。

計算量が膨大で、現代でもコンピュータを駆使しないと難しい問題です。

そこで、私は新しいアプローチを試してみることにしました。

それが、「万能零点サーチャー」 です。

万能零点サーチャーとは

万能零点サーチャーは、複素関数の零点を効率よく探し出すためのツールです。

その核となるのが、**「変形の原理」**という数学の定理。

変形の原理とは

• 複素関数 f(z) が与えられたとき、

複素平面上に領域 D を考え、その周りの曲線 C に沿って積分します。

\oint_C \frac{f{\prime}(z)}{f(z)} dz を計算すると、

領域 D 内に存在する零点の個数がわかります。

要するに、ある範囲に零点がいくつあるかを調べることができるという、

**「零点の数を数える探知機」**みたいなものです。

万能零点サーチャーの仕組み

万能零点サーチャーは、魚群探知機を持った船のようなものだと考えてください。

• 複素平面上に円を描いて、その中に零点がいくつあるかを調べます。

• 零点が見つかったら、さらに小さい円を描いて、零点の位置をより正確に絞り込みます。

• この操作を繰り返していくことで、零点の位置を特定していきます。

例えるなら、ソナーを使って魚の群れを探すようなものです。

まずは広範囲にソナーを当てて魚のいる場所を探し、

見つけたら徐々に範囲を狭めて正確な位置を突き止めるのと同じです。

実際に使ってみた結果

万能零点サーチャーを使って、まずは自明な零点を探してみました。

• 最初の自明な零点:-2

• 次の自明な零点:-4

これらの点をきちんと捉えることができました。

「自明な零点」は比較的簡単に見つかるため、

万能零点サーチャーが正しく機能していることを確認できました。

次に、いよいよ非自明な零点に挑戦。

最初の非自明な零点は、実部が1/2、虚部が約14.134のところにあります。

• 万能零点サーチャーを動かしてみた結果、見事にこの零点を捉えることに成功しました。

2つ目、3つ目の非自明な零点も同様に発見。

特に3つ目は、非常に高い精度で位置を特定することができました。

これは感動もので、まさにリーマン予想の舞台に足を踏み入れた気分です。

万能零点サーチャーの凄さ

万能零点サーチャーの凄さは、以下の3点です。

1. 複素関数にも使える

• 通常、数値関数は中間値の定理を使って零点を探しますが、

複素関数には使えません。

• しかし、万能零点サーチャーは変形の原理を使うため、

複素関数にも対応できるのです。

2. 少しの誤差は無視できる

• 積分の結果が整数になるため、少しの誤差は四捨五入すれば良い。

• 精度が高く、安定して零点の位置を見つけられます

3. 零点がないこともわかる

• 零点が存在しない領域を探索すると、**「零点は存在しない」**という結果が出ます。

• これは、リーマン予想を検証する上で重要な情報です。

次の一歩

万能零点サーチャーを使って、

ゼータ関数の非自明な零点を次々と見つけることができました。

これを繰り返していくことで、すべての非自明な零点が実部1/2の直線上にある

というリーマン予想の検証に一歩近づくことができます。

私は、この万能零点サーチャーを使って、

さらに多くの零点を探し、リーマン予想の真相に迫っていこうと思っています。

もしかすると、この先にあるのは数論の聖杯かもしれません。

次はもっと深い探求をしていきますので、どうぞお楽しみに。

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